複雑・ファジー小説
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- かみさまのラルム
- 日時: 2018/01/29 23:04
- 名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: Q8MrRCmf)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs4/index.cgi?mode=view&no=10076
私達を作った貴方は、私達の名前を覚えることはない。
いつか、貴方が私達のことをその両の手で掬い上げ、慈しむ時はきっと全てが終わる時だ。それでも私達は終わることのない悠久の時の中で、遠く離れた島に焦がれ、また夢を見る。
(おうい、また海を見ているのかい。)
君はきっと私の夢を理解できないと泣いてしまうだろうから、私は凪いだ海が好きだと嘘をつく。いつか飛べない魚達と、空から離れ海の底へと行こう。そうして次は遠く離れた島の海岸に足を無くしながらたどり着いて、心優しい誰かに拾われる事を祈ろう。
——————ねえ、この夢に君はなんて名前を付けるんだい。
【きっと大勢の方がはじめまして。ゆきしまです。
この作品はオリジナルなりきりにございます、かみさまのラルムの前日譚、または小噺詰めです。オリジナルなりきりのほうへ設定など書いてある場合がございますので、もしお暇なときにご覧下さい。】
- Re: かみさまのラルム ( No.1 )
- 日時: 2018/05/22 23:59
- 名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: IhKpDlGJ)
【序章】
月も出ていない、灯りなんてものはない、ただ周りを支配するのは暗闇と静寂である。そんな中に僕は生まれた。何もない辺りに、キイイイイインと、甲高い音が鳴り響く。まずは瞳が顕現した。が、夜と同じその色は、隠れるように姿を現さなかった。次に髪の毛。しかし、それも闇夜の中に姿を隠して出てくることはない。暫くの時が過ぎて、段々と闇夜とは異なる色が顕現してきた。陶器のような白い肌が、まるで月明かりのように輝いていた。暗闇の中に、ほんの少しの白目と、白い肌が目立つ。一糸纏わぬその姿の僕に、どこからかやってきた、水色に光る蝶が留まった。
(そう、これは蝶だ。)
知っている。この生き物が蝶と呼ばれるものであることを。
(そして、これは夜という時間帯で、)
知っている。今が夜と呼ばれる時間帯であることを。
——————そして、僕は?
僕は、僕の名前は。そう、生きていくのには名前が必要で。その名前は誰に決められるわけでもないってわかっているけれど、僕の名前は、僕の名前はもうあるんだ。でも、誰かに、誰かに言ってほしいな。僕の名前を、僕が生を受けた故の言葉を、僕の存在を。
「——————ブラック。」
誰、君は。僕の、僕を呼ぶ君は。そう、そう、ああ、分かった。いいよ、僕も君を呼んであげよう。
「ホワイト。」
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