複雑・ファジー小説

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花束。
日時: 2018/03/17 01:12
名前: さっこ (ID: 7POxSCHv)

仕事が終わって、成人式から1年後の酒を飲んできた帰り、
懐かしい所を見かけた。入るしかなかった。
その中のある1つの教室にはいる。
「おい。」
後ろから、声がした。
ここは立ち入り禁止のオンボロ学校。
こんなところに人がくるはずがない。
そう思ったんだけど、少し期待して振り返ってみる。
何に期待をしたのかは、わからない。それでも振り返ってみる。
そこにいたのは、昔の彼氏だった。
「なんでこんなとこにいんだよ。」
懐かしいぶっきらぼうな言い方。少し安心してしまった。
「そっちこそ、なんでいるのよ。」
付き合ってた頃を思い出して、少し口元が緩む。
「知らねぇのか?お前。ここで同窓会やる予定だっただろーが。」
あぁ、そんなのあったなぁ。彼の言葉を流してく。
「……で、結局、違う場所でやることにしたんだよ。

「へー。」と適当に返事をする。
「少しはしっかり聞けよ…本当に変わってないな。咲口。」
名前を呼ばれて少しドキッとしてしまった。
「そっちもね。宮田。」
今は頼りない月明かりが教室をぼんやりと照らすだけ。
少し薄暗くて、彼の顔は見えなかった。
「今は、楽しいか?」
「うん。楽しいよ。」
なんていう世間話やお互いの最近について話していると、ふと昔のことを思い出した。

初めて友達に、宮田が彼氏だって伝えるとき。
待ち合わせしていたのにこいつは中々来なかった。
「由衣の彼氏遅いねー」「てか、本当にいるのー?」
なんで来ないのよ!?なんて思いながらイライラ宮田を待っていると、
「悪い!遅くなった!」
後ろから声をかけられた。遅い!と文句を言おうとすると、目の前が桃色に染まる。
「…え?」
顔を上げると、目の前にあったのは、チョコの詰め合わせが花束になっていたものだった。
「えと、遅くなったからお詫びに…」
彼は頬をかいて少しは俯く。
「ね?自慢の彼氏でしょう?」
と友達にいった。彼と腕を組みながら。

「なぁ、咲口。」
という、彼の声で現実に引き戻される。
「ん?」
「悪い、遅くなった。」
その瞬間、目の前が赤色に染まる。
「……へ?」
顔を上げると目の前にあったのは、真っ赤な薔薇の花束だった。
「由衣がいつか花束が欲しいって言ってたから…」
と頬をかく。
「本当に、変わってないなぁ。」
彼に抱きつく。
「またやり直そう!」
少し大きな声で言う。
「ああ、そうしよう……!」
少しちいさな声で言う。
「また、花束。ありがと。」
「どういたしまして。」


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