複雑・ファジー小説

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夜明けは君と
日時: 2018/05/12 19:21
名前: もるぴん (ID: e22GBZXR)

初めまして皆様、もるぴんと申します!
今回は異世界風のファンタジーに挑戦していきたいと思います。遅筆ですが、完結目指して頑張ります*\(^o^)/*

【世界観】
6つの大国とその他無数の小国から成る中世ヨーロッパ風の世界。今回の舞台はグルートハイス大国。魔法の技術は主に北方の国で発達しており、南西に位置するグルートハイス大国では代々騎士団が国を護り続けている。科学技術、医学技術共に国同士の差はほとんどない。

【登場人物】
◎ティナ・アネーリオ(18)
各国を旅する少女。基本は天真爛漫で自由人
◎クラウス・ヴィンケルマン(27)
グルートハイス大国の騎士団長。無愛想
◎ルディ・ウォン・グルートハイス(24)
グルートハイス大国の王子
◎ヴァイ(20)
騎士。人懐っこい
◎レーク(20)
騎士。冷静

Re: 夜明けは君と ( No.1 )
日時: 2018/05/14 02:07
名前: もるぴん (ID: e22GBZXR)



風を受けて草原がさわさわと鳴き声をあげたのを、少女は心地よく感じた。
グルートハイス王国の首都、ノイスハレン。
その西門では、訪問者の審査のため、連日多くの人で賑わっている。そして今もまた例外なく、門の前には蟻のような長い行列ができているのだった。
近くからだと少し見上げるだけでは全貌が見えないほど巨大な鉄製の門。その前には地平線が果てしなく広がっている。
なんでも、この国ではいつでも敵国からの侵略に対応するために、この見晴らしの良い草原を城壁の上から常に見張っているのだそうだ。
少女は列に並びながら、ここへ来る途中で聞いた話を思い出し、ぼんやりと草原を見つめていた。

「身分証を」

少女はハッとなり、長い金の髪をなびかせながら振り返った。
いつの間にか自分の番が回ってきたようだ。目の前には羽振りの良さそうな男が大理石で出来た机の前の椅子にどっかりと座っている。
彼女は懐から紙を取り出して男に渡した。男はひったくるようにそれを受け取ると、その身分証と少女を厳つい顔で見比べる。

「ラメニールド王国のティナ・アネーリオで間違いないな?」
「はい」
「……その剣はなんだ?」

少女──ティナは、男が自分が腰に差しているサーベルの事を言っていると理解した。

「ああ、これは……護身用といいますか」
「……ふむ、なるほど」

ティナが人懐っこい笑顔で微笑んでみせると、男は少し思案する素振りを見せたが再び身分証に目を落とし、ドスンと大きな音を立てて判子を押した。

「これはノイスハレンの立ち入り許可証だ。くれぐれも無くさないようにしろ」
「わわ、ありがとうございます」

投げ捨てるように渡された身分証と許可証を受け取る。許可証は騎士がモチーフの小さなピンバッジだった。
ティナはそれを襟の部分に付けると、男から鉄門の横にひっそりと佇んでいた木製の門の所へと案内された。どうやらここからノイスハレン領内に入るらしい。
では、あの大きな門は何に使うのだろうか。
そんな事を疑問に思いながら、ティナは木製の門から首都ノイスハレンに足を踏み入れた。

Re: 夜明けは君と ( No.2 )
日時: 2018/05/15 00:03
名前: もるぴん (ID: e22GBZXR)


「わー、すごい人だなぁ……」

流石大国の都と言うべきか、そこは静謐な門の外からは想像出来ないほどの多くの人で賑わっていた。
目の前は広場のようになっていて、様々な出店が並んでいる。活気のあるその広場を一目見るだけでこの国が栄えている事が分かった。
少し視線を巡らせると、遠方にあるパン屋の出店が目に付いた。次いで風に運ばれてきたパンの香ばしい匂いがティナの鼻腔をくすぐる。

(そういえば、朝から何も食べていないなぁ)

先程の審査の待ち時間が長く、日は既に天高くまで登っている。ティナは少し腹ごしらえをすることに決め、そのパン屋へと足を運んだ。

「すみません、クロワッサン一つくださーい!」
「はいよ。そろそろ焼き上がるから少し待っててねー」

店の中には、白いものが混じった赤髪を持った気前の良さそうな女が立っていた。
ノイスハレンに限らず、この国で生まれた人々はほとんど髪が赤系である。
グルートハイス人が集まっているところを遠くから見ると、まるで燃え盛る炎のように見える。また、その国民性も情熱的で熱血な人が多いことが、この国が別名“焦熱の国”と呼ばれる所以だ。

Re: 夜明けは君と ( No.3 )
日時: 2018/05/15 00:01
名前: もるぴん (ID: e22GBZXR)



「アンタもよそから来たのかい?」

女はカウンターに頬杖をついてニッコリと笑った。フレンドリーで親しみやすいのもグルートハイス人の特徴だ。

「ええ。さっきこの街に来たばかりです」
「そうか。門での身分審査は厳しかっただろう」

そう言われてティナは首をかしげた。確かに待ち時間は長かったが、これといって厳しい問答はなく、すんなりと入れた。

「まあ、剣の事は言われましたけど……そんなに厳しくはなかったかな?おじさんは少し怖かったですけど」
「へー、そうなの。ま、アンタみたいな人畜無害そうな子にならそんなに厳しくはしないのかもね」

人畜無害。その響きがなんだかおかしくて少し笑ったが、そんなティナを気にする素振りも見せず女店主は話を続ける。

「ところでアンタ、旅芸人だろ?一芝居打ってくれよ」
「旅芸人?」
「それ、劇で使うんだろ?」

ティナは女店主の指がサーベルを指していることに気が付く。
どうやら、自分のような若い女が剣を持っている事から旅芸人だと勘違いしているようだ。
確かに旅芸人は即興劇で剣舞を舞ったり劇で殺陣に使ったりする。その為女が偽の剣を帯びていることは珍しい事ではない。


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