複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

「哀の弾。」
日時: 2018/05/28 20:13
名前: Roo__onn__N (ID: x2.6ndGE)

その日は、酷い雨だった。
前々から話題になっていた、日本列島を襲う「台風」だ。
関西の方は晴れ、一方関東は雷雨を伴う台風が真上に位置していて、天候の差は激しい。

そんな煩い雨の音を描き消すようにクラシックの音楽が鳴り響く。
父と僕の二人を包むにはゆったりとし過ぎた空間に置かれ、食事をしている。
二人のそれぞれ好みの焼き加減に調整された肉を食べやすい様に切り、慣れた手つきで口に運ぶ。
そんな父を直視することが出来ず、僕は枯れた声を喉から絞り出す。

「…僕さ、」

血の気が引いた気がした。何故か少し寒気がして、手が小刻みに震える。

'''好きな人が出来たんだーー'''

僅かに光が差し込む窓から、雷の光が家中を不気味な明かりで包んだ。
煩い雨の音と雷の音は直ぐに音楽へと化けて何もなかった様にまたナイフを差し込んだ。

心なしか、肉が喉を通らなくなった様に感じた。


歩く度に水を踏み散らす汚い音を立てる。
ズボンの裾に綺麗だとは言えない水の滲みを作って歩き続ける。

いつもなら煩いぐらい賑わっていた街も。
雨が静寂の背景となって、目が眩む程の灯りも、嘘みたいに消えて。

「ここにいたんだ」

僕一人には広すぎる街を歩き、路地裏へと入る。
見慣れた少女を見て、一言、声をかける。

「…幾つだっけ」

「…16、」

徐に年を聞いた。
綺麗に透き通った声は雨で掻き消されるようだった。

長く伸び切った髪は、フードに包まれていてよく見えない。
フードの先には、何処か無邪気な笑顔が見える。

「…犯罪だね。」

黒光りした、雨の視界が歪む中でも存在感を放っている、「拳銃」。
この国では18歳以下は所持、使用が出来ないことが定められている。

「見られちゃった…か。」

透き通った声、緩んだ表情筋に、恐怖は感じない。
少女は静かにポケットに乱雑に入れられた弾を取り出して、入れる。

「…、」

不気味な笑みを浮かべて、銃口を此方へと向ける。
引き金に指をかけ、そっと。


その瞬間、銃弾は僕の方へと撃たれた。
雨で濡れた銃弾は、僕の体を貫き、少女の笑顔を意識が朦朧とする中、目の焦点をずらさず、ずっと。

山積みにされた塵に体を預け、静かに雨を感じる。
血は体を伝って水に溶ける。
綺麗な水彩の様になって彼女の足元へと流れる。



それは、「死」を意味するものなのに。

僕は、いつまでも死ねないままで。

死ぬことを許されていない。
死ぬ権利を与えられず産まれた、哀れな人間だ。

夜明けの薄暗い空を見て、僕はそっと息を吐いた。





「哀の弾。」ーPrologueー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めましてー。ろんと申します。名前はろんだと単調でつまらないのでカッコつけてるだけです。))
読みづらくてごめんね。

適当にこれから小説書いていくんで、読んでくれれば幸いです。
飽き性なので上手く話が続かなかったら辞めてしまうので、その時は「読んでるぞー」とでも言ってくれるとやる気も出ますし嬉しいです。

たまに誤字脱字があるかもしれませんが、その時は言うなり放っておくなり馬鹿にするなりしていただいても構いません。))

それでは。


小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。