複雑・ファジー小説

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きっと、君は自由なままに。
日時: 2018/06/08 18:21
名前: 一青色 (ID: TbyJL/UG)

複雑・ファジーで書くのは初めてです。
コメディ・ライトの方でも書いています。

感想とかよかったら下さい。


キャラ紹介

椿井 穂乃花
女子高生。17歳。
自由。
祖父がハーフ。先祖返りで、金に近い茶髪。

緋色 映斗
養護教諭。27歳。
駄目な大人の見本。
生徒から人気が高い。

Re: きっと、君は自由なままに。 ( No.1 )
日時: 2018/06/08 18:43
名前: 一青色 (ID: TbyJL/UG)

0.

空が高い、そんなことをふと、上を見上げ思う今日この頃。
何故だろう。
自分から決別を切り出したくせに、自由というのを具現化したような君ことが恋しい。
「(強いて言うなら...好きだった)」
嫌いじゃなかった。強いて言うなら好きだった。
別れの言葉は俺の強がりばかりが色濃く混じっていた。
君にとってこの言葉は喜びを与えるよりも哀しみを与える残酷なものであったに違いない。
屋上で、本当は君が嫌いな色素の薄い髪を風にたなびかせ。
君は振り返り、自由なままに笑うのだ。
言いたいことはズバズバと言い、笑いたいときは笑い、怒りたいときは怒り、泣きたいときは泣く。
楽しげに駆け回り、笑い転げ、ふと悲しげに目を伏せる。
俺は君に何か与えられただろうか。
例えば、それは"愛"。否、違うだろう。
ただ共依存しあっていただけの関係に愛なんてきっとなかった。
例えば、それは"哀"か。
寄り添って、突き放して、理不尽な怒りを君にぶつけた。
君は何も言わなかったけれど、これはきっと"哀"に
等しい。
濡れた頬に違和感。
「(何故、俺は泣いてるんだ...?)」
君の来なくなった屋上で、1人煙草を吹かす。
嗚呼、空が高い。
風が緩やかに吹き、それが葉を揺らす。

これは俺が俺であるために、君が君であるために訪れた出会いと別れー...俺の失恋の話だ。

Re: きっと、君は自由なままに。 ( No.2 )
日時: 2018/06/08 18:55
名前: 一青色 (ID: TbyJL/UG)

1.立ち入り禁止の屋上で。
とん、とん、冬の階段をゆっくりと上る。なるべく足音をたてないように。けれど、リノリウムのそれは俺の足音を響かせる。
寒い、と白衣の上に着たコートのポケットに手を突っ込む。
授業中の廊下は静かだ。
校則の厳しいうちは生徒がおとなしく、問題児という問題児はいない。
静かすぎて不気味に思えてくる程だ。
"立ち入り禁止"そう書かれた紙が屋上の扉に貼られていた。俺はそれを完全無視で、鍵を差し込む。
かちゃり、手応えを確かめ、そっとドアノブを回す。

Re: きっと、君は自由なままに。 ( No.3 )
日時: 2018/06/08 23:41
名前: 一青色 (ID: TbyJL/UG)

扉を開けば、吐いた息が白いまま宙を浮かんで消えた。
「やっぱ寒いな」
誰に聞かせるでもない独り言はなんか寂しい。
白衣の胸ポケットから煙草を取りだし、火をつける。
シュボっと火のつく音が静かな屋上に響いて聞こえた。
雪でも降るのだろうか。
肌を刺すような寒さに外へ出たことを後悔する。いや、階段を上っている段階ですでに後悔はしていたが、どうしても1本吸わなければ落ち着かないとやってきたのだ。

Re: きっと、君は自由なままに。 ( No.4 )
日時: 2018/06/11 23:32
名前: 一青色 (ID: TbyJL/UG)

「いけないんだ、先生なのに」
どこからか悪戯な声がする。それはどうやら貯水タンクの上からのようだ。
「何年何組、名前は?」
姿は見えないがそこにいるのは確かだろう。
「2年A組椿井穂乃花でーす」
と、すらりとした長い足が投げ出され、パタパタと動く。
「...どうやって入ったんだ?鍵は閉まっていただろう?」
降りてきなさい、そう促す。
はーい、と間延びした返事に少しイラつく。
何故休憩時まで教師をせにゃならんのだ、そう思った。


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