複雑・ファジー小説
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- キャラソース【完結】
- 日時: 2018/09/17 21:07
- 名前: 流聖 (ID: 8vMNebk7)
キャラソース
急にどうした私。衝動的に書いたものです。短いです。
- Re: キャラソース ( No.1 )
- 日時: 2018/09/17 20:25
- 名前: 流聖 (ID: 8vMNebk7)
ソース(16)
キャラ(16)
「はぁ〜……きっつー」
ソースの息は上がり、足は既に限界をとうの昔に越え、まだ真冬だというのに汗をびっしょりかいていた。
何故なら今は体育の授業で、マラソンをしているから。距離は5km。グラウンド2周と半分。口で言うのは簡単だが、実際に走ってみるとなかなかキツい。吐く息は白く靄になり、地面の霜柱はザクザクと音をたてて崩れていく。
「まあそう言わずにさ、がんばろ?」
汗びっしりで苦渋の顔のソースとは対照的に、隣で走るキャラは爽やかな笑顔でそう言ってのけた。キャラとソースは他の子に差をつけて、かなり速いペースで走っている方だが、キャラは息が上がるどころかまだまだ余裕そうだ。
「おう」
ソースは少し返事が素っ気なかったかもしれないと不安になった。だからと言って言い直すのもおかしいし、何よりなんと言うのが正解なのかわからない。こういうのを世間一般はコミュ障と呼ぶのだろう。
針のような鋭さと三白眼の凍てつく冷たさを持ち合わせるソースの瞳。もともと目付きが悪いソースは、それを自覚しコンプレックスとして気にしているが、加えてコミュ障だなんてもう救いようがない。
そのせいで人が寄り付かないというのに、キャラだけは例外だ。不思議である。こいつはソースに気軽に声をかけ、しっかりと目を見つめて接するのだ。からかうでもいじめるでもなく、それが純粋な友情からくるものなのだと、ソースは最近わかってきた。
「お前、眼鏡外さねえの?」
今のように走るときや大きく動くときは眼鏡をかけていると不便ではないのか。眼鏡をかけたことがないソースにはよくわからないが、なんとなくそう思って聞いてみた。
「んー……眼鏡をかけてると見えなくなるからいいんだ」
「……眼鏡なのに?」
「うん」
それはおかしいんじゃないだろうか。眼鏡はよく見えるためにかけるのであって、眼鏡をかけて見えなくなるということは度が合っていないのかもしれない。しかし見えなくなるからいいとはどういうことだろう。
気になるが野暮な詮索はよくない。本来ならその理由だって聞かなくてもキャラは教えてくれる。言わないということは聞くなということだ。
スタートから反対の位置でゴールすると、他の子がゴールするまで休憩していていいと先生に言われたので二人は水呑場に向かった。
「はぁ〜……うっめえ」
蛇口を捻ると水が溢れ出てきた。冬だからかいつもより冷たい。
走って疲れたあとに飲む水は一層美味しく感じられる。カラカラの渇いた喉にひんやりと冷たい水が通っていくのがわかる。
ソースは数口飲んで終わりにしたが、キャラはじゃばしゃばと顔を洗い始めた。体操服の裾でごしごしと顔を拭いてから、水を飲んでいる。
「ふぅ……」
さすがのキャラも一息ついている。見れば汗をほんのりとかいていた。ゴールの方を見ると他の子の大体がゴールし終えて並んでいた。
「戻るか」
「そうだね」
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