複雑・ファジー小説

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表裏一体
日時: 2018/10/08 09:41
名前: 麗楓 ◆F.XzXC1pug (ID: cetVlQWk)


おはこんにちばんわ〜麗楓と申します。
この小説は「表裏一体〜100degrees〜」のリメイクです。
ほぼ前作の内容を引き継がず、ほぼ更新もしないであろう...。


何のためにスレッド立てたのか分かりませんが、更新してなかったら「あ、コイツ飽きたな」と笑って許して下さい。

Re: 表裏一体 ( No.1 )
日時: 2018/10/08 09:51
名前: 麗楓 ◆F.XzXC1pug (ID: cetVlQWk)



最近とあるボカロPさんにハマっています。
何故か分かりませんが、「あ、この曲綺麗! 歌詞も良いし好き!」と思った曲は絶対に、そのボカロPさんの作詞作曲なんです。
自分自身から狂気的な愛を感じます笑
それでは第1話どうぞ。



1.とある事象



 高校1年生の冬、粉雪が舞うなか俺は「とある事象」について考えさせられた。

 「何で俺って———」

 口に出した言葉は雪に身を包まれて音を失う。コンビニで買った温かいコーヒーとあんまんはいつの間にか冷めていた。
 今まで勉強に全ての身を捧げ、周辺の大人が言うことには常に従っていた。それが正しいと思っていたから。
 小さい頃から握ったのは色鉛筆ではなく鉛筆。
 誕生日に買ってもらったのはミニカーではなく、算数のドリル。
 英才教育だか何だか知らないが、うちの両親は特に勉強に関しては厳しかった。
 でも、それって———。


 「つまんない」


 隣で腕組みをし佇む少女は呟いた。
 紫色の髪は粉砂糖の被ったケーキのように雪で白く、長い睫毛には雪が被さり、黄金色のつり上がった瞳。
 スレンダーな美少女は制服の上にダッフルコートなどは着ず、マフラーや手袋を穿かずに、身体をカタカタ震わせていた。

 「そう思わない!?」
 「いや何が!? ……ですか」

 いきなり声をかけられた俺は身体をビクッと震わせた。よく見ると目尻が赤く腫れている。先ほどまで泣いていたのだろうか。

 「今日占いで『運命の人に出会う』って言われたのに、全然そんな人現れないの! 絶対に外れることなんて無いのに〜」

 その細々と消え入りそうな声と、思わず見惚れてしまう泣き顔に俺は思わず後ずさりする。

 「いや俺占いとか信じないですし……」
 「役立たず」
 「いや塩対応にも程が……あの、自分の人生は全部自分で決めるんです。占いなんかに惑わされちゃダメですよ。最終的に全てを選択するのは自分なんだから」

 ポカーンとした表情で俺を見つめてくる。しまった、少し言い過ぎただろうか。
 しかし眼鏡の向こう側に映る彼女は、口角がだんだん上がり頬が薔薇色に染まり、その笑顔の破壊力は計り知れない。
 彼女の周辺に薔薇が一面咲いたような感覚だった。

 「そうよねっ! 占いだけの人生なんて、つまらないもの! 貴方名前は?」
 「え? 赤木あかぎ鈴りん……」
 「……リン! ありがとう元気出たわ!」
 「あ、これ」

 俺は先ほど買ったコーヒーとあんまんを渡した。時間が経っているからか既に冷めていたが、彼女は黄金色の瞳をさらにキラキラと輝かせる。

 「冷めちゃったけど、良かったら。いい人に出会えると良いね」
 「リンって優しいのね。この恩は必ず返すわ!」
 「え、恩とか別に」
 「それじゃあ!」

 そう言って雪道にも関わらず、猛スピードで走り抜けていった。
 まるでマシンガンのような人間だったな。何故猛スピードで駆け抜けていくのに滑って転ばないのか不思議だ。
 最初に思考していた「とある事象」のことなど、とうに忘れていた。
 来月からの新学期に向けて、春休みの課題を終わらせようと家へ帰った。


 この後彼女に、「紫乃巨峰」に振り回される日々が来るとは思いもしなかったのだ———。

 

Re: 表裏一体 ( No.2 )
日時: 2018/10/14 12:04
名前: 麗楓 ◆F.XzXC1pug (ID: G9VjDVfn)



先日、ついにとある小説を読み終えました。
長かった...( ・◇・)
しかし上巻だけなので、下巻と外伝も読まなければならない。
さらに言うと、他に読まなきゃいけない本があと2冊ある。
受験勉強に手がつかないわけだ(`・ω・)



2.行動は予測不可能。



 始業式が始まったにも関わらず、周囲の人間は春休み明けに語りたいことがあるのか、小声でずっと喋っている。その喋りが絶えることはない。
 大半の生徒は、生活指導の先生の話には耳を傾けていないので、適当に相づちをして流す。どこからか、あくびする声すら聞こえた。

 『次に生徒会執行部発行会です。生徒会長に任命された生徒は、登壇して下さい』

 俺は眼鏡をクイっと上げて首を傾げた。
 生徒会執行部発行会なんて聞いたことがなかった。去年も行っていたか記憶が怪しい限りである。
 行っていた気もするが、何故か周りは不穏な空気が漂っていた。ひそひそ話をする人もいる。

 「噂の"あの"奇才が会長らしいけどね」
 「マジで? あの異才がなったら学校崩壊寸前じゃないの?」

 これじゃあまるで、生徒会長に不満があるというような———。
 気味の悪い噂話は雑音でしかなかった。
 生徒会長と呼ばれた生徒は綺麗な紫色の髪をリズムよく跳ねらせ、鼻唄を歌いながら登壇した。


 その好奇心溢れる黄金の瞳に皆が釘付けだった。

 彼女が一斉に800人の全校生徒に向けた笑顔は、まさに「華」だった。

 「初めまして! 紫乃しの巨峰ですっ!」


 名前に相応しい紫色の髪、惹き付けられる程の睫毛の長さと目力。
 一目で分かる胸の大きさと身体つき。
 そして誰もが目を見開いた、先程の生活指導の先生の話は、まるで無かったように扱われるピンクのカーディガン。
 そして俺は一瞬で悟った。

 この前の占いの人ではないか。

 また目を付けられると面倒なので、あまりステージの方に目を向けないようにする。

 「あ、あそこね! おーいっリン!」
 「いや気づくの早っ」


 「皆さん! 今あそこに居る少し赤毛のアカギリン、彼が副会長です。私が任命しました!」


 瞬く間に過ぎていった彼女の言葉。
 だが誰もの耳にはちゃんと残ったはずだ。
 アカギリン=副会長、と。
 俺は開いた口が塞がらなかった。眼鏡がずり落ちているのに、それを上げる気力すら湧かなかった。

 「えっと……紫乃さん? あの、言ってる意味がちょっと」
 「あら? 恩は必ず返すって言ったわよ?」
 「え、まさか副会長になったことが恩返し?」
 「ええそうよ。私と居ると絶対———」

 紫乃巨峰、彼女は。

 「楽しいことだらけになるわよ!」

 この学校で最も扱い辛い人物である。
 故に出来事は多少予測可能な時もある。
 しかし予測不可能なこともあるのだ。

Re: 表裏一体 ( No.3 )
日時: 2018/10/21 20:09
名前: 麗楓 ◆F.XzXC1pug (ID: caCkurzS)


模試の結果が酷すぎて落ち込んだ麗楓です。
グダクダしても無駄なので、とりあえず更新。
昨日「びっくり!!○ンキー」で、ハンバーグとパフェを食べてきました。
ところで、○ンキーって北海道だけですかね?(´・ω・`)



自己紹介



 「副会長に選ばてたね! おめでとう!」
 「なんせ生徒会長が直接任命しちゃうんだからね」
 「このクラスの誇りになるね!」

 始業式の後、俺の周りには人だかりが出来た。口角を無理矢理上げて「ありがとう」と言葉を返す。
 彼らの言葉は軽薄で、決して俺の心の底までは沈まない。
 水に浮かんだ軽い発砲スチロールのような言葉は、うわべだけの響きに聞こえた。

 ———凄いね、おめでとう、このクラスの誇り?

 バカバカしい。そんなこと一言も思っていないくせして。

 「リーン!!!」

 そんな心情すら全てかき消される彼女の声は、いつにも増して大きい。
 出たな奇才だとか言われてる生徒会長。
 紫乃巨峰が現れた瞬間、誰もが後退りをする。
 空中に靡く紫色の髪は誰が見ても美しいと感じるだろう。
 クラスの女子は彼女の美しさに目を細め、クラスの男子は頬を赤く染めながらヒソヒソと話していた。

 「遅いわよ? 待ちくたびれたじゃない」

 彼女は俺の手を握り、全力疾走で廊下を駆け抜ける。俺は彼女についていくことに必死で、後半は引きずられていた。



 「まずは自己紹介から始めましょう!」

 唐突に中庭で始まった自己紹介。
 中庭の日陰には、まだ溶け残った雪がちらほら見受けられる。春に生えてきた緑の草と白い雪のコントラストが、鮮やかに見えた。

 「あのさ、何で俺が副会長なの、紫乃さん」
 「"紫乃"で結構よ。貴方が副会長になれば好都合なのよ?」
 「……じゃあ何が好都合なの?」
 「それはもちろん———」

 こちらを振り向いてニマっと笑う。
 体育館で全校生徒に見せた笑顔だ。それを間近で見ると物凄い迫力である。

 ———ああ、やっぱり華だ。

 一面に薔薇が咲き誇るような美しさ。

 「貴方のことが好きになっちゃったからよ?」


 「……は?」
 「だから校長先生にお願いしたのよ。快く承諾してくれたわ」


 まだ彼女と親しくないにも関わらず、これだけはハッキリ分かった。
 嘘はついていない、と。
 嘘偽りないその微笑みは、俺の胸を高鳴らせた。
 こんなにもハッキリと告白されたのは、初めてだ。

 「と、いうわけで、これから———」

 彼女がクイっと俺の手首を引っ張る。そのまま重心が傾き、彼女の方へ倒れ込む。
 そして彼女が俺に顔を近づける。
 フワッと柔らかい唇に包み込まれる。
 暖かいその感触はまるで———。

 「よろしくお願いします」

 唇と唇が触れあった後の彼女は、いつもより頬が赤く染まり、目を細めた。
 波乱万丈な生徒会人生、今ここに開幕。


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