複雑・ファジー小説
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- 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜
- 日時: 2019/01/13 13:55
- 名前: 如月唯奈 (ID: jmXt2.HO)
- 参照: http://kisaragiyuina
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ここは科学ではなく、魔法が発展した世界……
この世界では殺し屋の王と言われる【紅蓮の死神】がいた。彼、【紅蓮の死神】は闇に紛れるように黒いコート、白と水色のマフラーを身に纏っている。
そして……【紅蓮の死神】のトレードマークでもある、赤い血のような目と大きなカマと目だけが隠れるような純白の仮面。
……一部では【架空の人物】として、また裏の世界では【殺戮の神】として崇められていた……
今は夜中の2時を過ぎたところ。月明かりさえ届かない狭い路地を、一人の子供は歩いていた。
「おい、そこの者、止まれ。」
こんな時間に子供一人で出歩くのはおかしい。不審に思った見回りの兵士はその子供に声をかける。
「なーに?兵隊さん。僕、忙しいんだけど。」
無邪気な声でゆっくりと振り返る。
少年が振り返った途端、驚いた。なんと、少年の体には赤い血がベッタリと付いていたのだ。
「き、君……その血は!どうし……っ!」
と言いかけて、気づいてしまった。その少年の正体に。
すると少年はニタリと嗤うと、右手に持っていた鷹の爪のような鋭いカマを男の首に降り下ろすと、静寂に包まれていた街に断末魔の声が響いた────
✂─────キリトリ─────✂
この小説は、【占いツクール】様でも書かせていただいています。
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- Re: 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜 ( No.4 )
- 日時: 2019/01/12 23:25
- 名前: 如月唯奈 (ID: 8.sEFFTR)
- 参照: http://kisaragiyuina
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振り返ると、緩いパーマがかかった金髪の女性が立っていた。服装からして、恐らく教師なのだろう。生徒は皆、紺いろのローブなのにこの先生は深緑のローブを羽織っている。
見た目は20歳位なのだがどこか大人の雰囲気を漂わせている、面白い人だ。ローブ越しでもわかる胸は少し動く度に効果音をつけて揺れている。
「あ、はい。高等部に入学することになった、サクヤ=フローディアです。」
「よろしくね、私はあなたの担任のフィーネ=ペティングよ。」
と、にっこり笑う。普通の男子ならこれでイチコロだ。だが、鈍感なサクヤは何も感じないのであった。
「じゃあ、校長がお呼びなので行きましょうか。」
学園の中は一言で表せば【城】だった。中に入ると、両脇には赤い絨毯が敷かれた長い階段真上にはきらびやかなシャンデリア。
よく道に迷う生徒や教師がいるので、所々には地図がおいてある。
20分程かけて校長室に着くと、ここもまた一際目立つドアをフィーネはノックした。
「失礼します、フィーネ=ペティングです。例の入学生を連れてきました。」
「入りなさい」
中からは、年をとった男性の声がした。フィーネがドアを開けると声通りの50代後半の男性が手を組んでにこやかに微笑んでいた。
「君が、新入生のサクヤ=フローディア君ですね。私はここの校長のオルガ=フランクです。よろしく」
「よろしくお願いします」
「では、この学校の説明と教科書を渡します。」
オルガは指を鳴らすとサクヤの目の前のテーブルに教科書が現れた。一冊はかなり分厚くて1000ページを越えるものが殆どだ。
「この学園では【ボックス】に教科書等を入れて、移動しています。もしあなたも使えるなら使ってください。」
【無属性魔法 中級 ボックス】これは普通の人は使えないが、この学園ではレベルが高いので殆どの生徒は使えるらしい。
「すみませんが、フィーネ先生。少し外に出てもらってもいいですか?」
フィーネは少し眉間にシワを寄せながら、失礼しますと部屋を出た。
ここからは本題だ。校長は結界を張ると話始めた。
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- Re: 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜 ( No.5 )
- 日時: 2019/03/19 00:07
- 名前: 如月 唯奈 (ID: d2ww6FUd)
「さて、サクヤ君。いや【紅蓮の死神】さん。君の姿を見たとき驚いたよ、あの殺し屋がまだたったの15歳だってね。
それはさておき、話は聞いたよね?私は出来ればこの噂を広めたくない。だからあえて殺し屋の君を選んだんだ。それなりの金額は払うからよろしくね?」
「分かりました。ですが、僕には金は要りません。だから報酬は……そうですね、僕が通う料金を無料にしていただけませんか?」
校長は暫し考えると肯定した。
「君がそれで良いなら、オーケーだよ。さあ、そろそろフィーネ先生が心配する。話はまた今度だな。」
「では、失礼しました。」
「ああ、いい忘れてたよ。君の正体を知っているのは私だけだからね。呉々もバレないように、ね?もしものことがあったらフォローするけど。」
部屋を出ると、フィーネ先生がいた。
「じゃ、転移するから掴まって。」
そう言われ、フィーネと腕を組むと一瞬で景色が変わった。目の前には【1-A】と書かれた看板がドアの真上に立て掛けられている。
「あら、凄いわね。普通の子なら目を瞑ってでも吐いちゃうのに。」
と、ニコリと微笑む、が、細められた目はしっかりとサクヤを捉え、観察をしている。
怪しまれるのも無理はない。この時期に新入してくるのは滅多にいないし、いたとしても上級貴族の子だけだ。それに比べサクヤは、親も住所もあやふや。そんな子どもがエリート学園に通える程の金を持っているのは不思議だ。
後で聞いた話だが、この学園でも【上級魔法 転移】を使えるのは教師かごく一部の3年生しかいないそうだ。サクヤは少し冷や汗をかきながら、誤魔化す。ここで正体がバレるのは入学した意味が無くなるし【目的】が果たせなくなる。
「いや、知り合いの人と前に何度かやってもらったので。」
「へ〜そうなの。あ、いけないホームルーム始まっちゃうわ。サクヤ君、私が声をかけるまでそこで待ってて。」
フィーネは中に入っていった。暫くすると、声がかけられる。
フィーネのとなりに立つ。紫の瞳に、黒に近い紫の髪歩く度に右耳だけに付けられた赤い雫型のピアスが左右に揺れる。一見、人懐こい感じだが、その雰囲気は狼のような飄々としたのを纏っている。
「サクヤ君、名前と属性、ギルドランクを言ってね。」
「サクヤ=フローディアです、水と風が使えます。ギルドランクはBです。どうも」
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- Re: 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜 ( No.6 )
- 日時: 2019/03/19 00:08
- 名前: 如月 唯奈 (ID: d2ww6FUd)
ギルドランクとは強さを表すランクのことだ。下からD、C、B、A、AA、S、SS、SSS、そしてX、だ。これはXに近づく程強いのだ。サクヤは今はXランクだが、この世界にXランクは【紅蓮の死神】と皇帝と呼ばれる人物しかいないので無難なBにしている。
「サクヤ君は、そうね……ソフィアちゃんの隣に座ってね。」
そう指定された席は窓側の一番後ろの席だった隣にはソフィアという水色がかった白の髪の少女がすわっている。
席に着くと、フィーネは授業の説明をする。1時間目は魔法史のようだ。
ホームルームが終わるとクラスの女子が殆ど集まって質問してくる。はっきり言ってウザい。
全ての質問に無視していたせいか、殆どの生徒が諦めて席に戻っていった。チャイムが鳴り、先生が来る、来たのはフィーネだった。
「今日は、前回言っていた通り【紅蓮の死神】について説明します。誰か説明できる人は?」
【紅蓮の死神】その単語を聞いただけで体がピクリと反応する。手を挙げたのは一人だけ。
「じゃ、ロア君。」
「はい、【紅蓮の死神】は王とも呼ばれる殺し屋です。5年前に現れるようになりました。容姿は大きなカマを持っていて、赤い目をした少年だ、と言われています。」
「はい、ありがとう。ロア君の言っていた通り、【紅蓮の死神】は五年前の大量殺戮事件に現れるようになりました。確か……イアロス村かな?当時は最も栄えていた有名な村だったんだけど、この事件をきっかけに300人いた全員が殺されたの。」
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- Re: 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜 ( No.7 )
- 日時: 2019/03/19 00:09
- 名前: 如月 唯奈 (ID: d2ww6FUd)
「さ、300人⁉」
嫌な汗が背中をつーと、流れる。ここで僕の正体がばれるとヤバい……。
「あの……大丈夫?ですか?」
声をかけてきたのは隣の席のソフィアだった。本人曰く、冷や汗が出ていて顔が真っ青だったらしい。「うん、少し目眩がしただけだから。」と言って反対側の外を見る。
────────5年前────────
その日はいつも通り殺し屋の依頼が来ていた。【あの日】から、僕の職業は【殺し屋】になった。依頼内容は、イアロス村の村長とその息子の暗殺。
人殺しはもう慣れた、初めの頃はしょっちゅう嘔吐していたけど2日位経つとなにも感じなくなる。今ではむしろ楽しいと思うようになってきた。
村に着くと夜だからだろうか、誰一人とも会わない。それもそのはず、今は夜中の2時だ。こんな時間に仕事をするのは暗い方が姿を隠しやすいからである。村長の家は地図に描いていたから簡単に見つける事ができた。そっと忍び込み気配を消す。寝ている村長の首を斬った。血が滴り、ピチャンと音がする。
『次は息子の方か……』と思い、体動かそうとした直後、
『誰だっ!』
いきなり扉がガラリと開かれた、油断した、と思いながら息子の首に向かってカマを降り下ろす。が、右手に持っていた剣で止められる。確か依頼人が言っていたが、息子はギルドランクAAらしい。
胸中で毒づき、カマを上げると……ザシュッと鈍い音がした直後胸が熱く、痛くなった。刺されたのだ。
痛みに耐えながらカマを降り下ろしたが、避けられてしまう。一旦距離を離して相手が気付かないように地面の砂を掴んだ。
此方に向かってくる息子の顔に思い切り砂をかけた。これで暫く目が見えなくなるだろう。今のうちに、とカマを息子の首に降り下ろそうとすると、
『だめぇー‼』
小さい影がサクヤと息子の間に入ってきた。月明かりに照らされたそれは、4歳か5歳くらいの小さな少女だった。体を大の字に広げ、必死にサクヤを睨んでくる。
『……だめぇ……お父さんを……殺さないでっ!』
『……っ!』
その強い眼差しは、6年前、つまりサクヤが9歳の時に死んだ【妹】と重なった。思わず振りかけていたカマを持った手が止まってしまう。
───だが、これは【仕事】だ。殺し屋は、仕事に私情を持ち込んではならない。──
気持ちを落ち着かせ、無表情になる。そして躊躇なく父親と娘を右手のぎらついた漆黒のカマで斬り殺した。
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- Re: 紅蓮の死神〜最強の殺し屋は魔法学園の落ちこぼれ生徒!?〜 ( No.8 )
- 日時: 2019/03/19 00:11
- 名前: 如月 唯奈 (ID: d2ww6FUd)
彼女を斬り殺した後、サクヤを強烈な吐き気が襲う。呼吸が荒くなり、涙まで出てきた。
そして、あの時の記憶がフラッシュバックした。
腕の中には、まだ温かい【何か】に濡れたモノ。───それは、かつて自分を『お兄ちゃん』と呼び慕ってくれた【妹】の死体だった。
自分よりも少し薄い紫色のガラスのうような瞳を見開き、仰向けに倒れている。斬られた傷口からは滝のように赤黒い水が流れ出ていた。
そして、その隣にはかつて自分を愛してくれた【母親】。いくら揺すぶってみても、ぴくりとも動かない冷たく石のようになった、身体。
そして、辺り一辺、血の海だった。
───────────────────────
「……ヤ……サクヤ……サクヤ君!」
はっと、我に帰り振り向く。そこには、ソフィアが心配そうな顔をしていた。
「大丈夫ですか?凄く青い顔をしていたから……」
「ありがとう、でももう大丈夫だから。」
と、作り笑いを浮かべる。いつも誰かと話すときは作り笑いが一番良い。
妹が死んで6年、かなり時間が経った筈なのに未だにあの日のことを思い出すと息苦しくなる。
ソフィアは「次は数学ですよ?」と、言い残し教室を出ていった。どうやらすでに授業は終わっていたらしい。まだ何人かはノートをとっているが、殆どの生徒は片付けを始めている。
「……痛っ!」
教科書を持つと、鋭い痛みを感じた。手のひらを見ると爪の跡がくっきりと見え、血が滲んでいる。過去の事を思い出しているときに、無意識に握りしめていたらしい。
─────────5年前────────
また、あの時の発作が起きてしまった。このままだったら【目的】が出来ない。ギチリと歯が音を鳴らし、鉄臭い味が口に拡がる。
───もっと、強くなりたい。今の自分ではアイツを殺すことは出来ない。もっと、もっと強くならなくては───
そう、思った時だった。自分の真下に直径2m程の血色の魔方陣が拡がる。体を動かそうにも、石のように指一本も動かすことが出来ないのだ。その魔方陣は普通とは違っていた。
通常ならば、【カタル語】と呼ばれる、この世界の共通語が刻まれるのだが、これは【カタル語】ではない別の文字が刻まれていた。
その瞬間、目の前が光に包まれサクヤは黒い空間に立っていた。
《お前、強くなりたいのか?》
突然後ろからしゃがれた声が聴こえ反射的に振り返った。
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