複雑・ファジー小説

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私の言葉
日時: 2019/03/17 16:30
名前: まるまる (ID: X3bFI.eb)

「あ、あの」
美しい夕日を見ているとそんな言葉が聞こえた。
振り向くとそこには見知らぬ女の子が居た。
「そ、そういうのはさ、やめた方がいいんじゃない
かな。」
無理やりな笑顔を作ってその子は言う。
内心焦っているのだろう。まあ無理もない。
女の子を見つめたままフェンスから手を離す。
「あぁ、じ、自殺したって誰も良い思いはしないよ」
「そんなの、分かってるよ」
「じゃあなんで____」
「もう疲れたの」
そう 私は屋上から゛飛び降りようと゛している。
彼女はそれを止めたいのだろう。
無駄な良心だなと、そう思った。
「やるやらない、生きる生きないも私の勝手でしょ? 口出ししないでちょうだい。」
彼女は今にも泣きそうだ。
あぁ カワイソウだなぁ。
でもそんな感情もこれっきりだ。
「それとも、なに?私に好意でもあったの?」
嘲笑うかのように言う。
「……ぅ…だ…ょ…」
「え?」
「そうだよ!私は優しい貴方が好きだった 優しい貴方と友達になりたかった!でも今の貴方は自分のことしか考えてない!」
彼女は泣きながら言う。
「私は貴方に死んで欲しくないだけなの!変わって欲しいの!」
驚いた。この子がこんなことを思っていたなんて。
涙が零れた。素直に嬉しかった。
私のことをまだ好きだった人がいたんだ。
「………ありがとう」
「だからもう、やめよう?こんなこと。」
「うん…………」
嘘でも本当でもいい、私は嬉しい。
この子の気持ちに気づけて本当に良かった。



彼女はフェンスを跨ぎ内側に戻って来た。
「本当にありがとう。」
彼女が言う。
「いいの。私はただ気持ちを伝えたかっただけだから。」
私がそう言うと彼女は微笑んだ。
彼女も本当は死ぬのが怖かったのだろう。
あぁ なんで可愛らしい。
「ねぇ 一緒に帰らない?」
嬉しい。私と一緒に帰ってくれようとしてるのね。
貴方って本当に優しい!
「いいけど、ちょっと用事があるから先に玄関の外で待ってて」
「分かった。」
そう言って貴方は行ってしまう。
まぁ、もう悲しくないけれどね。
彼女に気持ちを伝えられた。もう満足。
「さぁてと。」
フェンスを跨ぐ。
下を見ると ちょうど彼女が外に出てきた頃だった
フェンスから手を離す。
「さようなら」
私はそう言って飛び降りた。


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