複雑・ファジー小説

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エスラの箱庭
日時: 2019/03/27 18:55
名前: 銀竹 (ID: wC6kuYOD)


「初めは、生きとし生ける者達、全てに知能を分け与えました。意味を持った言葉を交わし、意思を持って地を駆けるのは、決して人だけではなかったのです。けれどそのせいで、争いが起こりました。生き者達はそれぞれの優位性を主張し、他を蔑み、排除し合うようになったからです。だから二度目は、就中力の弱かった人間だけに、傑出した知能を与えました。人という生き物が万物を統べり、世の導き手になれば良いと、そう願って……」

 吹き寄せる火の粉が、ゆらゆらと舞う。
広大な城下に揺れ広がる陽炎は、東雲の空に、煙霧と共に立ち昇っていった。
街並みを飲み込む紅蓮の炎は、抜身の刃のように人々に襲い掛かり、切り刻み、鮮やかだった景色を、みるみる消し去っていく。
そこには、色味のない光と影の往来が、ただただ存在するのみであった。

「……しかしそれでも、争いは起こりました。人は同種同士でも戦い、皆一様に幸福を願いながらも、それを実現することができぬ、哀れな生き物だったのですね。……もう、この世界は終わります」

 時折強く吹く風が、大気の熱波を揺する度、その雪のような髪も、ふわりふわりとさらわれていた。
伏せられた睫毛さえ白銀の、極めて華奢な少女の形をしたそれは、しかし、人ではなく、恬淡とした神秘的な雰囲気を醸している。
燃える紅を白皙に受けながら、眼下で灼ける世界に微笑むその姿は、さながら悪魔のようであった。

「再び世界を壊し、新たに造り変えます。今度は、人間の存在しない世界に」

 上へと細い両腕が伸びれば、東の空に、一筋の光が走った。
光は、寂寞とした人々の慟哭の残滓を切り裂き、空をより白く、空虚な色へと染めていく。

 これは、償いだ。
純粋無垢で、穢れのない、彼女なりの贖罪。

「我が名は、エスラ=アスラ。人間を滅ぼすために生まれた、創造主たる大地の意思です」

 そう言って、神は嗤う。
白く塗り潰されていく世界を、私は、呆然と見つめていることしか出来なかった。


………………

 こんにちは、銀竹です(^^) 

 闇の系譜最優先でいきたいので、今すぐ続き書くかは分からないですが、中編くらいのファンタジー書きたいなーって思ったので、もしかしたら合間に更新するかもしれないです。
明るくもないけど、言うほど暗くもない。
老年の騎士と創造の神様が、世界を滅ぼすお話。
こういう書きたい設定がちょこちょこあるんですよね、闇の系譜完結するまでは手出す気ないけど(笑)

 まだ決めてないですが、闇の系譜ほど分かりやすさ特化にしないかもしれないです( ;∀;)
文体はちょっと考え中。
読みづらかったらごめんなさい。


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