複雑・ファジー小説
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- ラットの日記~始まり~
- 日時: 2019/06/15 14:50
- 名前: 丘田 あすか (ID: nZ60vFmZ)
————オレの名前は、ラット。〈アル王国〉っていう国に住んでいる、12才。この王国のお偉いさんだという父の後ろに続いて、お城に通っていたからか、王様の一人娘のアイナとは、幼なじみだ。今は父と共に、お城で働いている(といっても、オレは雑巾がけとか、それぐらいだけどね)。
ところで、この国には、言い伝えというか、伝説がある。童話のようなもので、この国の子供たちはその童話を一度は聞いて育つ。その童話というのが、これだ。
——あるところ(月)に、「月の女神様」がおられた。女神様は大変お美しく、はきはきと物事を言う、慈悲深い御方だったので、月の住民たちの憧れだった。……しかし、当の女神様は悩んでいた。
「遠く離れたある国の文化を知りたい……。そして、この月の発展に生かしたい!……しかし、どうすればよいか……」
そして、女神様は考えた末、ある苦渋の決断をした。
……最愛の一人娘である「月の巫女」に、ある国の視察を頼むことにしたのだ。
ふつうの月の住民は、ほかの星や国で歩いたり、その地域の言葉を話すことはできない。しかし、月の長の家系は、それができる。……かといって自分自身が行くと、たちまち月は混乱し、不安定になってしまう……。
そこで、自身の娘に頼むことにしたのだ。
母の命令を受けた月の巫女は、すぐにその国へと向かい、5年後にまた戻ってきた。
報告を終えた月の巫女は、母の反対を押し切って、またある国へと、行ってしまった。
実はこの月の巫女、この国で、「これまたお美しい&お優しい」と評判になった。するとたちまち、「この国を治めてください」と言われるほどにまでなった。
優しい月の巫女は民の願いを断ることができず、少しずつ、仕切るようになった(この国には当時、王様はいなかったのだ)。
そそくさといってしまったのには、そんな理由があったのだ。
そのことを密かに知った月の女神様は、すぐにそのことを許し、娘のいる国を月光で明るく照らしたという。
それは今でも、ずっと……。——
……っていうお話。このお話に出てくる国っていうのが、われらの〈アル王国〉だって言われているんだ。
つまり、この王国の王族(アイナの家系)のルーツは、月の巫女かも……ってわけ。
しかも、当の王家はそんなおとぎ話を信じていて、「この王国には、月の巫女が植えた魔法の花がある」って言われてるし……。