複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- コメディ・ライトの方に移動しました
- 日時: 2019/04/24 02:30
- 名前: まくら (ID: HptiZu8f)
幼馴染みの裕翔に秘かに恋する美鈴は、ある日、裕翔が女子生徒に告白されるところを
目撃してしまい、その衝撃で前世の記憶を思い出す。
そして、この世界が実は現世でやっていた「花嫁この手に駆け抜けろ」という
ギャルゲーだと思い出す。そのゲームのキャラクター美鈴は幼馴染みで振られ役。
結ばれることがない唯一のキャラクターだった。
「だったら、魔法を極めてやる!」
振られるぐらいだったら恋を捨て、勉学へと決意した!はずなのに…
いつの間にかイケメンに囲まれていた。
「ギャルゲーから乙女ゲーへルートが変わることなんてあるの…」
〜〜〜〜〜〜
【登場人物(増える予定)】
・平良美鈴
ギャルゲーの主人公の幼馴染みキャラであり、唯一主人公とは結ばれない。
ある日突然、前世を思い出す。
・中野裕翔
ギャルゲーの主人公。
一部の女子にはモテている。
・櫻田響
優しい、爽やか、王子様という王道派イケメン。
ファンクラブがあるらしい。
・斉藤栞
美鈴のクラスメイト。
学級委員でクールな性格。
・白銀透
美鈴の隣の席。
誰に対してもツンとしてる。
・近藤東
図書室の幽霊と噂になってしまった図書委員。
人と交流しない。
・高坂和希
明るい、元気、お調子者で裕翔の親友。
ギャルゲーでは攻略キャラたちの情報を裕翔に教えるサポートキャラ。
- Re: ギャルゲーキャラだったはずが乙女ゲーになっていた件について ( No.1 )
- 日時: 2019/04/20 16:29
- 名前: まくら (ID: HptiZu8f)
プロローグ.ギャルゲー世界に転生しました
「好きです!貴方のことが…好きなんです!」
桜が舞う春。
たまたま寄り道をした私は告白現場を見てしまった。
これが知り合いじゃなければ、私は頬を赤く染めながらどうなるんだろうと見ていただろう。
そう、知り合いじゃなければの話だ。
「裕翔くん、好きです!」
しかも知り合いどころか、幼馴染みの人で好きな人だったら、
こんなに顔を真っ青にして、私は見ていないだろう。
「えっと…」
裕翔の答えを聞くのが怖くて、私はその場から逃げた。
逃げるのと同時に何故かいろいろなことを思い出す。
朝、私は遅刻しそうになって食パン咥えて走った。
そして、曲がり角で転校生に会えたらな〜なんて思いながら曲がったときだった。
車に轢かれたのである。
轢かれて…死んだはずだ。
「死んだはず…だよね?」
家に着き、ただいまも言わずに自室へ行き鏡を見る。
「平良美鈴…」
この顔。
ツリ目、金髪、ポニーテール。
この顔はゲームで見たことある…そのゲームは
「ギャルゲー」
つまりは、
「この世界はギャルゲー…?」
そして、私、平良美鈴は主人公の幼馴染みで
このギャルゲーの攻略キャラとして含まれていない唯一の振られ役。
「いや、そんなわけ」
呼吸を整えて鏡をもう一度見る。
何度見ても、この顔は平良美鈴だ。
「…転生かよーーーーー!?!?」
そう叫び、私は倒れた。
- Re: ギャルゲーキャラだったはずが乙女ゲーになっていた件について ( No.2 )
- 日時: 2019/04/20 16:28
- 名前: まくら (ID: HptiZu8f)
1.この世界
母親の声で私は起きた。
夕飯の時間になるまで寝てしまったのか。
夕飯よ〜と言われ、はーいと返事をする。
改めて鏡で自分の顔を確認すると、やはり平良美鈴だった。
ため息をつき、階段を降りて、急いで夕飯を食べ終わらせた。
「もういらないの?」
「うん、ご馳走」
そう言い、自室へすぐ戻る。
やっぱり、何度見ても平良美鈴。
そろそろ五月蠅いだろうと思うが、信じられないのだ。
ギャルゲー世界に転生する、なんて。
「この世界についてまとめよう…」
ノートを取り出し、ペンを出す。
この世界は私が前世でやっていた「花嫁この手に駆け抜けろ」というギャルゲーだ。
気になるあの子の好感度を上げてハッピーエンドに辿り着くゲーム。
今でも鮮明に覚えている。
パッケージのイラストは攻略キャラが花嫁衣装を着て主人公を中心に囲んでいた。
内容も王道という感じだった。
主人公は昔、ある女の子と出会い、その女の子のことが徐々に好きだと気付き、告白するが
女の子はダメと振ってしまう。
でも、といい彼女はある約束をする。
「君の誕生日、高校生の三月三十一日の夜、この木の下で」
と言い、二人は約束した。
そして、高校一年生になった主人公は攻略キャラたちと学園生活を送るというストーリーである。
攻略キャラの好感度を上げ、高校一年生の初の誕生日、三月三十一日の夜。
パーティーから抜け出した主人公はその木の下に行き、そこにいた攻略キャラの誰かが
居ればハッピーエンドで恋人同士になる。
きゃーロマンチック!となるだろうが続きがある。
全攻略キャラをクリアすると、昔出会った女の子を攻略できる!
となるのが普通だが、そうは行かなかった。
結論から言うと、その女の子は美鈴である。
美鈴はコンプレックスだった髪を黒で染めて、公園へ遊びに行った。
その時に主人公と会い、主人公と遊んでいくうちに好きだと気付く。
女の子扱いをされるのが嫌いな美鈴。
そんな女の子扱いをせず、平等に見てくれる主人公。
彼女もまた主人公のことが好きだと気付くが、コンプレックスの髪を言えずにいた。
そんなときに主人公は告白する。
彼女は自分が情けない、立派な女の子になって、彼の隣に立ちたい。
だからこそ、弱い自分を強い自分にするために彼女は主人公を振るが約束をした。
月日が経ち、五年後、十歳のときに彼女は主人公がいる街へ転校してきた。
主人公がいることを知らない彼女だったが、クラスへ着くと主人公を見つけてしまった。
約束を破ってしまった、と思った彼女だが主人公は彼女、美鈴のことは覚えていなかった。
いや、これは覚えていないというより、分からなかったという方が正しいだろう。
何せ、出会ったときの姿は黒髪で髪の毛も短かったのだから。
一安心した彼女だが、主人公のお隣さんになってしまい、幼馴染みとなってしまった。
子供のころからとても立派な考えを持つ美鈴ちゃんのハッピーエンドは
主人公のハーレムエンドを見て終わるエンドである。
は?と思った?私も思った。
しかも、ハッピーエンドで美鈴は
「ずっとアンタに嘘をついていた。だから、アンタの隣にいる資格なんてない。
立派になろうと決めたはずなのに、ごめんなさい。
それから…ありがとう、私の初恋。さよなら」
そう言い、ハーレムの中で笑う主人公と遠くの方で泣きながら微笑んでいる美鈴のスチルだった。
しかも、この最後の台詞は主人公の耳には届いていなかった。
レビューでも真のエンドルートを見た人たちは
「美鈴が可哀想すぎる」「全キャラ攻略してどれもよかったって思ったのに最後がこれかよ」
「ハーレムエンドの中に美鈴ちゃんも入れてあげて!!」「主人公クソすぎる」
など、美鈴可哀想コメントが多かった。
ちなみに美鈴のトゥルーエンドもバッドエンドも主人公とは結ばれないのである。
その代わり、トゥルーエンドはちゃんと真実を話し、主人公は二番目に好感度が
高かった攻略キャラと結ばれる。
バッドエンドは主人公は約束の場所へ行くが誰も現れず、美鈴はごめんなさいと言いながら、
外国へ行ってしまうルートである。
とにかく、この平良美鈴は振られ役で主人公とは何が何でも結ばれない
可哀想なキャラクターである。
そんなことをノートにまとめ、改めて美鈴が可哀想だと思った。
いや、これ製作会社酷すぎない…?
主人公と幼馴染みキャラどんだけ結ばせたくないんだよって思った。
私も全部クリアした(美鈴エンドも含めて)が、美鈴エンド意外はマジで最高に良かった記憶がある。
ハッピーもバッドもトゥルーも。
なのに、美鈴だけ理不尽だった。
クリア特典で聞ける裏話の話のやつで美鈴の声優さんも
「いや〜…美鈴ちゃん、結ばれなかったですね…。悲しいです」
って言ってたよ。
その後に「続編出たら、是非、美鈴ちゃんが主人公と結ばれるように!」と言っていたが、
あの製作会社は絶対、美鈴を結ばせるつもりはないだろうなと思う。
「はぁ…」
思い出したら泣きそうになった。
取り敢えず、今日はもう寝よう。
寝て、また明日、頭の中を整理しよう。
「明日は休日だし」
ベッドへダイブすると、段々と眠たくなっていった。
Page:1