複雑・ファジー小説

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badly
日時: 2019/04/28 08:27
名前: もすこ (ID: RO./bkAh)

自由自在すぎん?

Re: badly ( No.1 )
日時: 2019/04/28 08:49
名前: もすこ (ID: RO./bkAh)

第1話 北高のホシ

ちょっと待って、今のヤバくない?

それよりも子川柚衣子は左ふくらはぎから激痛が走り、その場にペタンと座り込んでしまった。駅のホームは騒然としていて、緊急停止出来ないまま呆気なく電車は来てしまった。悲鳴と、多分スマホのカメラか何かフラッシュや音が鳴り止まない。

「うわ…血…」

左ふくらはぎから足首にかけて、何かで切られたような跡があるが、血によって傷口が見えないし血でごった返している。足の切り傷にしては過度な出血である。だんだん視界が真っ白になり、吐き気をも擁してきた。あ、貧血。そのまま柚衣子は後ろに倒れてしまった。

「おい、大丈夫か」

サラリーマンらしき男性が気づいて駆け寄ると若い女性、高校生らしき男子の集団が周りを囲んだ。そのうち駅員たちが担架を持ってきて、柚衣子を乗せていった。

4月15日 午後7時 R駅ホームにて

Re: badly ( No.2 )
日時: 2019/04/28 09:09
名前: もすこ (ID: RO./bkAh)

人身事故の影響で電車が遅れている。しかも帰宅ラッシュ、最悪だ。

「なぁ、俺歩いて帰るわ」
「光はさすがに無理だべ」
「わかんね。とりあえず歩くか」

八洲光と鷹木龍也は改札を抜ける前に、天井からぶら下がっている(?)モニターを確認して、駅から出た。龍也は歩いて20分もすれば家に着くが、光はそこから2時間半歩かなければならない。

「人身事故って何だよもう」
「実際見たらトラウマじゃん?」

光は花粉症でくしゃみが止まらない。龍也と光は駅前のアーケードを抜けた。交差点の向こうにあるスクリーンに、ニュースキャスターが映し出されているのが目に入った。

「先程午後7時頃、R駅で人身事故が発生しました。調べによりますと、事故が発生した際に遺体の一部が飛散し被害が出た模様です。」

龍也は顔を歪ませた。

「…遺体の一部ってさ」
「指とか腕。ぶつかって轢かれたとき飛んできて失明したり、切れたりするんだって」
「うぇー、気持ちわりぃ」

日常的に有り得ることであり、飛び降り自殺ではよくある。青信号になり2人は歩き出した。左から救急車が来ている。信号で止まった。

「あの救急車に乗ってたりして!」
「あるかもな」

サイレンはけたたましく響いている。

Re: badly ( No.3 )
日時: 2019/04/28 09:33
名前: もすこ (ID: RO./bkAh)

病院に柚衣子の母がやって来た。会社の制服を着たままである。

「あの、搬送された子川柚衣子の母です」

不安な表情のまま受付に身を乗り出すと、少し経って医者が直々にやって来て病室に案内された。

「あ、お母さん」

足に包帯が巻かれているが、顔色は戻っている。ベッドから身を起こした。

「柚衣子、大丈夫?」

柚衣子の母は、柚衣子を抱きしめて頭を撫でると泣き出してしまった。

「うん。歯が飛んできたみたい」
「歯?」

涙が引っ込んで、目を丸くした。

「さっきR駅で人身事故あったんですよ。その時に居合わせてたみたいで、足にご遺体の歯が飛んできてふくらはぎから足首にかけてパックリと裂けてしまったようです。15針縫いました」
「そんなことが…お母さん知らなかった」
「目の前で人が轢かれたっぽいんだけど、それよりも足が痛すぎて事故の印象が全くない」

大分ショッキングな映像が鮮明に映されていたが、その瞬間に柚衣子はもう倒れていた。おかげでトラウマを産まずに済んだのが、どうなのか。母は柚衣子がいつも通り話すのを見て少し胸を撫で下ろした。

「3日程は歩くのはなるべく控えてください。抜糸は5日後に行います。運動は1週間後からお願いします」
「ありがとうございます」

柚衣子はホームに飛び降りた人が女性ということまでは覚えている。確か制服を着ていた。そのような思い出しを他所に、母は医者に向かって頭を下げている。

「あとからお父さん来るからね。ちょっと治療費の手続きしてくるわ」

母と医者が病室を出ていった。携帯を開くと、LINEが何件か来ている。友だちの変顔や部活の連絡事項が送られてきた。

事故った
足ぱっくり

こういう重要なことを送る友人は数人しかいない。そのあとすぐ既読がついて、

どうしたの?!
大丈夫??

R駅で人身事故あったんだけど
そのときに轢かれた人の歯が飛んできた
足にクリティカルヒット笑

え、 ガチやん
お見舞い行こか??

もう帰れそうだから大丈夫!
ありがとー

お大事に(泣き顔の絵文字)

と共にスタンプが送られてきた。友人の長谷川彩七は小学校からの幼なじみである。いつもどこかに飛んでいる柚衣子のアシストが上手いが、ちょっと神経質なところがある。とりあえず、大事に至らなくてよかった。あれが顔に飛んできたり、首なんかかき切られたらこの世の終わりであったのだから。


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