複雑・ファジー小説
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- 25歳年上、既婚、子持ち男性と恋に堕ちたら
- 日時: 2019/05/06 23:32
- 名前: わたあめ (ID: ec7C5mAV)
【 登場人物 】
@羽野 鳴海(うの なるみ) 23
光と婚約しているがちょっとした不満が募っている。
@桐山 誠(きりやま まこと) 47
鳴海の上司。
@三島 光(みしま ひかる) 25
鳴海の婚約者。
@岸谷 玲菜(きしたに れな) 23
鳴海の友達。
@桐山 綾子(きりやま あやこ) 43
@桐山快斗(きりやま かいと) 12
誠の妻子。
@灰原 圭太(はいばら けいた) 20
誠や鳴海の部下。
2人の不倫に気づいている。
- Re: 25歳年上、既婚、子持ち男性と恋に堕ちたら ( No.1 )
- 日時: 2019/05/07 00:01
- 名前: わたあめ (ID: ec7C5mAV)
#01【 はじまりはじまり】
浮気。不倫。
現代ではよく耳にする言葉。
私は浮気とか、不倫とか、嫌いだった。
どうして好きな人がいるのに他の人に目がいくのか。
そしてなぜ境界線を越えてしまうのか。
意味が分からなかった。
どこからが浮気だとか、不倫だとか、人それぞれ基準は違えど、ハグをしたらとか、キスをしたらとか、セックスをしたらだとか、大体その辺が多いだろうな、なんて思う。
私はーーーーーー。
たぶんキスをしたら、浮気。不倫。
ハグまでなら、とは思うけれど、ハグもお互いに好意がなければ私の中では普通しない。
週刊誌を見れば、いつ見ても不倫の報道が後を絶たない。
「あ、それショックだったな、あたし結構好きだったのに」
コンビニでたまたま手に取った週刊誌を見ていると、横から玲菜が言った。
「ああ、玲菜は好きって言ってたね」
それは、アイドルと俳優の熱愛報道だった。
だけど、俳優の男性は既婚者。子持ち。
「ほんと、子供が1番かわいそ〜」
玲菜はそう言いながら携帯をいじっている。
「彼氏?」
鳴海が聞くと、玲菜は「ああ、うん」と微笑んだ。
「玲菜幸せそうだね」
「なに?それ?嫌味〜?鳴海はそろそろ三島と結婚でしょ?」
玲菜はムッとした表情で言う。
「んー、まあね」と鳴海。
「ん?なんかあった?」
「ああ、ううん。その、実感なくて」
鳴海が微笑むと、玲菜は「まあ、そうだよね」と言って携帯をしまう。
「鳴海と三島、付き合って3年だっけ?それで結婚か〜いいなあ!まあ、こないだプロポーズされたばっかだしそりゃ実感湧かないかあ」
「うん、まったく湧かない」
「でもいいじゃん?女子社員の憧れの的との結婚。あ、あたしは違うからね」
「わかってるよ。玲菜は最初から光のこと、どこがいいの?ってすっごい聞いてきてたもんね」
鳴海はそう言ってクスッと笑った。
「そーよ。イケメンくんは信用ならないからね〜。まあでも、三島は大丈夫そうで良かった。行こっか」
そう言って2人はコンビニを後にした。
『今夜、19時で大丈夫?』
光からだった。
『うん、いいよ』
そう返すと、すぐに『楽しみにしてるね』と返ってきた。
今日は鳴海と光が付き合って3年の記念日。
そして婚約祝いの日だった。
時計を見れば、18時を過ぎていた。
待ち合わせの場所までは会社から20分。
あと40分あれば終わるか·····。
鳴海はそう思いながら、静かにキーボードを叩く。
「鳴海、今日三島とごはんでしょ?もう帰ったら?あたしやっとくし」
隣りの席から玲菜が言った。
「ありがとう。でも大丈夫。もうすぐ終わりそうだし」
「本当?ならあたし帰るけど大丈夫?」
「ああ全然大丈夫!ごめん気遣わせて」
「いいよ、大事な日でしょ?じゃまた来週ね」
そう言って玲菜は立ち上がり、カバンを持つと鳴海に軽く手を振り会社を後にした。
18時25分。
やばい、まだ終わりそうにない。
「おつかれ!はいこれ飲んでな〜」
そんな声と同時に、鳴海のデスクにコーヒーが置かれた。
「桐山主任〜!ありがとうございます」
見上げると、そこには桐山が微笑んでいた。
鳴海はそう言ってコーヒー缶を手に取った。
ブラックコーヒーだった。
「羽野はブラックだろー?俺は絶対むり」
桐山はそう言って微笑み、微糖の缶コーヒーを見せた。
「主任は子供ですね」
「甘党なの、かわいいだろ」
「ハハ、可愛い可愛い〜」
桐山主任は、いつも笑わせてくれる。
そんな人だ。
ただ、それだけ。
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