複雑・ファジー小説
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- 314の能力者達(今年中に連載再開)
- 日時: 2020/03/13 07:32
- 名前: 河跡サザン (ID: clpFUwrj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=12587
※現在書き直し中。申し訳ございませんが今しばらくお待ちください。今の小説は内容が変わる恐れがあります。
はじめまして。サザンは他のところでとある小説を書くつもりでいる作者の、別名です。比較的気楽に書くつもりでサザンはここに小説を初投稿します。更新ペースはあまり早くないかもしれませんが、完結させようとは思っております。バットエンドではないですが、少し重たく、読みにくいかもしれません。本当の作者の作品と違い、完結させてから載せるわけではありませんので、適宜修正をさせていただきます。(読み進めるのに、支障はないようにします)至らない所もありますが、どうか温かく見守ってください。応援のコメントをいただければ、何よりもの支えになります。よろしくお願いします。
【登場人物】
竜巻 白水(たつまきいずみ
一ノ瀬 聖夜(いちのせせいや
雷(??
菊池市太郎(??
斎藤エマ (??
(超能力者の会の5人
(眼鏡の女の子
(存在しない人
ACT:0 For readers
やあやあ。こんにちは。
あんまりしゃべりはうまくないんだけどな。
僕は竜巻。竜巻なんて仰々しい名前をもってるけど、インキャで存在感のない僕であります。
おお。ですます調なんて、いつぶりに使ったのかわからないね。
…
ほら言っただろ、僕はそんなにしゃべるほうじゃないんだって。
…
さて、何の話をしようか。
僕的にはこんなにキャッチ—じゃない物語の始まり方はどうかと思ってるところなんだ。
何か興味深い出来事から始まるわけでもない。
情景描写をするわけでもない。
かといって、セリフから始まるわけでもない。
やあやあ。こんにちは。は、セリフじゃないよ。ただの挨拶だ。
誰に挨拶しているのかもイマイチわからない。
題名の説明をしようか?
ああ、舞台設定を初期から、でなくても何にしろ説明するのはよくないね。
意図もなく、物語の面倒な設定を説明したところで意味はわからないではないか。
そう思わんかね、君は。
そろそろ茶番は終わりにしようか。
これではストーリーもまるでありゃしない。
ああ、君は高額な金額、一億とかじゃなくて、もっと安い。
具体的には1010万円を払って魔法使いになりたいか。
駄目だね。話が点々としていて、何を言ってるかわからないよ。
何を言っても意味なんかありゃしないさ。
じゃあ、ここはもう。
こんにちは。僕のいる世界にようこそ。
||||||||||||||||||
ドウゾオタノシマレテクダサイ
- 314の能力者達 ACT: 1 ① ( No.1 )
- 日時: 2019/07/08 21:27
- 名前: 河跡サザン (ID: clpFUwrj)
ACT:1 Illegal
夕方。とはいえ天気が悪く一日中暗くて夜の訪れを感じさせない。気温のぬるさと都会ならではの空気のぬるさが、肌に気持ち悪い。
ニュースキャスターのキテイが、その面長の顔に似合わぬ高く響く声でニュースを読み上げる。イヤホンを伝わって聞こえてくる甲高い声はほとんど聞き取れない。この町に来て一か月がたとうとしているが、その男にはまだキテイの言葉を使いこなす兆しがみえなかった。それでもニュースを聞いているのは、少しでも周囲の音を拒絶することで、殻に閉じこもりたいからなのか。もっとも、聴覚以外の感覚は外の空気と接しているし、完全に町の音がかき消されているわけでもないのは言うまでもない。
イヤホンの男はコンビニの前の階段に座り、階段を通ってそこに出入りする客たちを血色の悪い顔で眺めている。入口から二メートルほど離れたこの地点は、防犯カメラの死角だと思っているのだ。監視という言葉にどうしても払いきれない嫌悪感がある彼にとって、カメラに写っているという意識は不快感極まりない。ただし真実は苦く、入り口から店内に向けて設置されたこのカメラは、店の外でも半径三メートル、勿論男が座っている位置も、記録として積み重ねていた。店内を一台で撮影するこのカメラの性能は、少し理解のあるつもりの人間の想像を超えていたのだ。
文明。利器。そうだここはキテイ達の文明が起こっている場所かもしれない。このコンビニだけじゃない。町の全てが、人間の理解範囲を超えているのだろうか?
男は、紙のカップに入ったホットミルク檸檬ティーをすする。
『次のニュースです。今月10日、418番目の能力の競りが行われました。勝ち取ったのは、嵯城レントンハウス副会長の長谷川静子さん40歳。落札価格は4億2千万円です。…』
能力の競り。それはこの国で最近のトップキーワードの一つであろう。非科学的、いや、最先端ともいえようこのことは、いやでも注目が集まる。
しかし最近は落札価格があがらない。その背景には無数のパイプが繋がりあっているが、
‘単純に418個目ともなって、この金額では張り合う人が少ないのだろう。それよりも、ただでさえ未知のものを体に入れるのには抵抗があるうえ、能力保持者は厳重に管理されるという。それが何よりも怖いというのが原因だろう。まるで実験用のモルモットだ。’
というのが、世間一般の声であった。
初めの方は、今まで一般人には手の出せなかった能力付与が、安全にしかも合法にされることに大きな注目が集まった。素晴らしい、この国が先頭を切って新たな時代に進む時が来た。そんな風潮が少なくとも半分はあった。しかし内容が内容なだけに、反感を覚える人もゆっくりと増えていく。
男もはじめは盛り上がって、能力の添付者を全員覚えてやろうと思っていた。しかし、2桁に入る頃にはもう飽きがきて、今や確認すらしない。今日の情報すら把握できているとはいいがたい。
さて、男も完全に興味を失ったわけではない。目的もあった。ただしこの制度に賛成している人数が案外多くない。そのことが男のこれからの行動を、いや目的を揺さぶっている。もう一般的なことだが、善悪というのは一概に付けられないのだ。
こんなに混乱した状況の中なのだから、とにかく様子を見ておくかな。男はついさっきまでそう思っていた。なぜかわかりやすく自分をストーキングしてくるやつがいなければ。どうしても自分に相手をしてほしそうだったため、男は意味の分からぬニュースを聞きながら、一方的にきっかけを投げかけてみた。そろそろ、来るはずだ。
- 314の能力者達 ACT: 1 ② ( No.2 )
- 日時: 2019/07/17 16:13
- 名前: 河跡サザン (ID: 5VUvCs/q)
「こんばんは。あなた、お一人ですか?」
突然降りかかった声に、男が見上げると、赤茶色に髪を染めた男性がニヤニヤしながら見下ろしていた。睫毛が長く、眉毛と目が少し垂れ、酔っ払ったように笑っている。いや、男は手に持ったチューハイの缶を見て、酔っ払っているのだと確信した。時間帯のせいもあるのか、何だか密会に来た悪代官、細身の方の悪代官様に見える。
「こんばんは。」
イヤホンを外しながら男が返事をすると、赤茶の男性は隣に腰掛ける。
二人の成人男性が飲み物を片手に、暗い青色に変わり始めた夜を並んで眺める。
「実は私、あなたにお話があるんですよ。」
ポツリと話しだした赤茶の男性を、男はじっと見て、無表情のまま開口した。
「まあまあ、今日もまだ長い。日没してからこそが長い。どうだいあの空は星1つない、けれどどこか趣があるだろう、僕らに似合う夜の曇り空だよ。たまには二人で黙って眺めないか。何さ、初対面の気恥ずかしさはすぐになくなるよ。」
赤茶の男性は上げっぱなしだった口角をさげ、一気にしゃべりたくった男を見てから、そうですねじゃあ、と空を仰いだ。そして目をつぶる。その瞬間立体ステレオのように声が降り注いできた。
(あ、目、瞑っちゃうんだ、折角なのにな。改めましてこんばんは。で、さっきの話って何だ?大丈夫だ、そのまま話しして。てか、念じてみろ。頭の中で会話するんだ。)
(うわーー、あ、あ、あー。え、さっきも思ったけどやばいですね。返事できる感じなのかこれ。え、これ、聞こえてるんですか?おーい、おーい)
(聞こえてるよ。それよりお前、能力者だろ。)
(ああ、そうです。あなたも…当たり前ですけど能力を?)
(うん。当たり前だね。)
男—竜巻白水も確かに能力者だった。かんたんに言うのであれば、テレパシー。でも彼の性格と頭脳から、心読術として扱うことが多かった。
能力を取り入れるまで、人の心を読みたいと思ったことは何度かあった。それとなく人の考えていることの探りに挑戦してみるが、そこに限って何も当たらないような。答えすらわからない。
自分だけでない。どんなに頭のいい人でも、心を読んで立ち回る人はいなかった。立ち回りのうまさではない。実際の実験では、良好な対話の最中に、心の中で相手を滅多打ちにしてみても、誰も気が付かなかったということである。
今では、本人も解っていないような『本音』を読むのは不可能だし、解ったところで、大して何も考えていないのが、真だと、そんなふうに思っている。深く考えているとすれば、野生の本能だけか。
これは竜巻が能力を手に入れる前に気が付いたことである。ただ、それを後押ししたのが能力だった。彼の能力は、ただのテレパシーとも表現しきれない部分がある。それで竜巻は自分の能力を「思考の一人歩き」と呼んでいる。手に入れてから、今まで何度か能力を試し、それが一番しっくりした。まあ、簡単に言うと、人の心が読めるわけではない、というだけだ。
- 314の能力者達 ACT: 1 ③ ( No.3 )
- 日時: 2019/07/09 19:01
- 名前: 河跡サザン (ID: gZQUfduA)
(それで、要件は?)
(ああ、それはですね。てか、これ伝わってんのか不安だな。余計なこと送っちゃいそうだ。)
(会話に集中しろ)
赤茶の男性は慣れないテレパシーに戸惑っていた。何処かから声が降ってくる感じ。普通に会話していると想定すれば、うまく話せないこともないが。何しろ不安定で居心地が悪い。思考がうまくまとまらず、体のどこかに蜘蛛が這い上ってきているような、どこにそれがいるかわからず硬直してしまうような、地に足がつけられない感覚。赤茶の男性も能力者だからこそ、こんな能力を普段から使っている竜巻に畏敬の念を抱く。
(とりあえず重要なとこだけでいっか。あなた、超能力者の会に入りいませんか?)
(超能力者の会?なんじゃそら)
(目的は簡単です。私たちを束縛する、この装置の解体。などなど)
その言葉を聞いた途端、竜巻は飛ばしていた思考を引き寄せ戻した。装置の解体だと?そんなふざけるな。いつの間にか目をつぶっていた竜巻は目を開いて赤茶の男性の方を見る。すでに目を開けていた彼と目が合う。男性はニヤリと笑った。竜巻は目にかかる黒い前髪をもみあげの方によけると、もう一度思考を送り、話しかける。
(装置を発動させずに解体させる方法があるのか?)
(うーん、それはどうでしょう。入会していただければ、結果を見られると思いますが。)
(危険なことはしたくない。その作業にかかわらないのであれば、参加してもいいけど。ほかに条件は?)
(ありません。守秘義務だけですよ。ほんとうに情報漏洩以外なら何でもどうぞ。)
(わかった入会してやるさ、その能力者の会とかいうやつにね。あんたの名前は?)
(・・・一ノ瀬聖夜です。)
(イケメンみたいな名前だな。)
(は。私はいけめんではないってかんじすか。まあ自分でもわかってるけど。あなたは?)
(竜巻白水‘たつまきいずみ’だ。)
(竜巻さん。すごい名前ですね。本名か?まあ、これからよろしくお願いしますね、ちなみに超能力者の会って名前ですよ。)
竜巻はテレパシーを切ると、ぬるくなったミルク檸檬ティーに口をつける。そして、深いグレーの空を見て、つぶやいた。
「一ノ瀬。お前敬語使ってくれてるけど、としいくつだ?」
「27ですぅ。初対面でため口だったので、目上の方だと判断しましたけど。あれ、年下でしたか?」
「俺は21だ。」
「・・・・・・・・若いですね、いずみくん・・・・」
8時になりコンビニの光量が少し落とされた。
- 314の能力者達 ACT: 1 ④ ( No.4 )
- 日時: 2019/07/10 22:10
- 名前: 河跡サザン (ID: clpFUwrj)
一週間前。
「雷さん、こんにちは。いきなりだけど、あなたが主犯だよね。」
「一ノ瀬か。お前の能力で調べたのか。」
「ええ。ただ、以前のあなたを知っていたからこそ、変化に気づいたんだ。」
「ほう、どういうことだ。何の能力を持っている。」
「おそらくだけど…相手が今やり遂げたいことがわかるというものかと。」
「俺のやり遂げたいことがわかってしまったと?」
「そんなところだよ。正確には能力を入れてから、初めて見えたあなたの願望から。そのときはまだ不確定でしたが、今はもうその目標が消えている。諦めたわけでもなさそうだから、つまりはもう達成したのかと。」
「確かに俺がやりたかったことは達成したといえるかもな。ちなみに今の俺の目標って何だと思う?」
「能力開発所の支配とか?」
「能力者が増えると自分が不利な立場に追いやられていく気がするな。まあ、お前が味方に付いてくれるなら心強いこと他ないが。」
「前半の話、その能力者って私も入ってるのかな?」
「後半の話は聞かないのかな?」
「そっちは味方にする気ないんでしょう。」
「どうしてそう思う?」
「簡単な話、私はあなたの小さい目的もわかるから。」
「小さな目的?」
「私に全てを吐かせること。雷さんは相手に自白させられる能力でも持ってるんでしょう?さっきから私に質問ばかりしてくるのが証拠じゃないかな。」
「お見事。では一ノ瀬に頼みたいことがある。」
「開き直ったね。嘘をつかせられないから強気に来るんだね。」
「俺の能力者として一ノ瀬にしか頼めないことなんだ。」
「もちろんどうぞ。この能力を無料でもらったんだから、借りぐらい返すよ。」
「お前はこっち側の人間なんだし、管理も外しても良かったんだが…。」
「いえ、前も言いましたが、そのほうが不自由です。」
「…。頼みの内容だが、俺の弟の面倒を見てもらいたい。多分あいつは、いつか装置を壊すと思われる。」
「そんな馬鹿なことするの?一応頭がいいと聞いてるけど?」
「多分、装置だけが危ないと思っている。」
「ああ。じゃあ真実を教えちゃっていい感じなの?」
「いや、余計なことをしないように見張っておくだけだ。」
「りょーかい」
「それとだ、菊池市太郎、斎藤エマ、必要があれば弟も殺せ。」
「むーりー」
「なぜ」
「殺人は対価にあわないね。」
「・・・・。」
「でも大丈夫です。監視はしますよ。殺人は他の人に頼んでください。」
「わかった。ありがとう。」