複雑・ファジー小説
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- 日時： 2020/01/18 00:02
- 名前： エイ （ID: lBubOowT）
壬辰丁酉倭乱《じんしんていゆうわらん》1592年ー1598年
忠実に基づく__戦国時代最後の戦乱！豊臣軍vs朝鮮軍
あらすじ
天下統一を果たした豊臣秀吉《とよとみひでよし》は次の狙いを明に定める。しかし明へ行く道は右流の日本海を渡る以外の海はなかった。その為秀吉は海からではなく朝鮮を討伐して明征服を狙う。
用語解説【随時更新】
プロローグより→主領館…城主が移住する館 関ヶ原の戦い… 安土桃山時代の慶長5年9月15日（西暦1600年10月21日）に、美濃国不破郡関ヶ原（岐阜県不破郡関ケ原町）を主戦場として行われた野戦
第1話より→征夷大将軍… 東北地方の蝦夷征討事業を指揮する臨時の官職 山城國…京都府南部 節刀… 日本の歴史において、天皇が出征する将軍または遣唐使の大使に持たせた、任命の印としての刀 後陽成天皇…日本第107代天皇 准三宮…日本の朝廷において、太皇太后・皇太后・皇后の三后（三宮）に准じた処遇を与えられた者、またその待遇・称号 室町幕府…足利尊氏が建立した幕府 足利尊氏… 鎌倉時代後期から南北朝時代の武将。室町幕府の初代征夷大将軍。
第2話より→駿府国…静岡県中部 中務大輔… 律令制における八省のひとつ。権大納言… 大納言の権官 メルカトル図… 1569年にフランドル（現ベルギー）出身の地理学者ゲラルドゥス・メルカトルがデュースブルク（現ドイツ）で発表した地図に使われた投影法である。 領邦… 中世ヨーロッパに成立した君主を中心とする半自立の支配圏。 公家成… 豊臣政権時にのみ存在した官位秩序
第一章【戦の経緯】
第1話>>2-3
第2話>>4-5
第3話>>6
第二章【戦の始期】
第4話>>7-11
登場人物【随時更新】>>1
【お知らせ】
スレ立て.2019.08.30
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12.26 20時22分 閲覧数5555
- Re: 壬辰丁酉.第4章《開戦間近》 ( No.7 )
- 日時： 2019/12/17 16:58
- 名前： エイ （ID: Xr//JkA7）
1591年、豊臣秀吉は明征伐を決意し後の文禄・慶長の役に備えた。
『遠征準備を海沿いの諸国大名らに命ぜよ！』
天正19年（1591）1月20日、秀吉は（明の）遠征準備を始動した。常陸以西、四国、九州、日本海の海沿い諸国大名に号令を発して、10万石に付き大船2艘を準備するように命じた。
これを知らず朝鮮の国王宣祖は党派争いを阻止する事に専念しておりその党派争いの中での謀叛を案じて陸軍の代わりに海軍を廃止して海軍を謀反鎮圧軍に登用した。これが小西行長や加藤清正が文禄の役の際に無血上陸出来た理由だ。また、朝鮮が油断した理由としては金誠一《キム・ソンイル》が秀吉の様子を探る為に宣祖の命令を受けて朝鮮通信使として来日した。その帰国後の報告が『日本に全く異常はない』と。その報告に宣祖も安堵し油断を招いた。その反対に朝鮮通信使の長であるファン・ヨンギルは『秀吉の性格に異常あり』と報告するが全く宣祖は耳を貸さなかった。
酒を口にする宣祖。楽しむ大臣らに紛れて柳成龍は暗い顔をしている。領議政《ヨンイジョン、首相》の李山海も柳成龍に尋ねた。『右議政《ウィジョン、首相と同職級の第二副首相、同じく副首相には左議政《チャイジョン》がいる》、その様な暗い顔をしてどうされたのですか？』
ーー柳成龍は一年経った今でもファン・ヨンギルの言葉を忘れらなかった。因みに柳成龍は東人派でありファン・ヨンギルは西人派（1591年時点廃派）である。敵対派閥でありながらも柳成龍はファン・ヨンギルを信じた。
第4章《開戦間近》
天正19年（1591）8月23日 秀吉は集結した諸大名らの目の前で秀吉は言った。
『余は！大明国を征伐する！賛成する者は大名を札を余の目の前にある机を置きたまえ！』宇喜多秀家は真っ先に札を置いた。
『関白殿下。私が大明国征伐の総大将となりますので関白殿下は国でお休み下さい。』関東におり不在の徳川家康を除いた五代老らも真っ先に賛成した。また、他大名らも秀吉の怒りを恐れて不承不承の善意を示した。
翌年の3月に出兵しその出兵の総大将は秀家に任命された。秀吉自らの出兵は前田利家や他大名らに反対され秀吉は自国に残ることになった。
『拠点は…肥前の名護屋でどうだ？名護屋に''名護屋城''として九州の大名らに築城を命ずよ！』
名護屋は愛知県の名古屋ではない。名古屋城とは勿論関係のない城である。名護屋城は1598年に廃城されている。
終
- Re: 壬辰丁酉.第4章《開戦間近》第2部《秀吉出兵》 ( No.8 )
- 日時： 2019/12/18 17:25
- 名前： エイ （ID: Xr//JkA7）
しかし肥前国の名護屋は1590年に再来日したルイス・フロストによれば「あらゆる人手を欠いた荒れ地」と言われるほどの物であった。もちろん荒れ地に築城するには時間が掛かるが秀吉は『1年以内に築城せよ』と命令した。そして…年が明けて天正20年（文禄元年 1592年）正月に三十万の兵士が秀吉によって21つの軍隊に分けられ征明軍の編成が始まり2月に渡海し朝鮮へ乗り込む計画の言う事を征明軍に通達する。しかしこの時、秀吉は既に朝鮮が服属したものだと思っていた。理由としては1590年の朝鮮通信使来日の際に小西行長《こにしぎょうちょう》は戦乱を止めようと秀吉には朝鮮が服属を認めたと伝えて通信使には『関白殿下は朝鮮通信使を歓迎している』と伝えて全く服属について口にしなかったと言う。それが朝鮮に災いを招き朝鮮を油断させた、、、（小西の明と戦おうとする秀吉の刃を朝鮮に向けさせる作戦）
『何だと！？朝鮮は服属していなかったと申すか！小西！よくも…余を騙したな！前田利家《まえだとしいえ》、小西をどうしようか…』
秀吉は腹を立てて小西を睨み付ける…そして前田利家が決めた判断とは__
『関白殿下。小西は頭脳戦に優れている者です。小西を殺すには勿体ないかと思います…幽閉し後に処分をお決め下さい。今は編成が大事です。』
前田利家は冷静にそう秀吉に伝えて秀吉もそれに納得した。秀吉は配下の者たちにこう通達した。
『そうだな…まあよかろう…これで朝鮮は少し油断した事であろう。小西を幽閉せよ！』
しかし…1590年の朝鮮通信使来日の際に朝鮮に服属を認めさせたと秀吉に言ってその2年後に『朝鮮が変心した…朝鮮が道を貸すのを嫌がっている』その様に小西が嘘をつき続けたという一説もある。
第4章.《開戦間近》第2部
『関白殿下、まずは朝鮮から御退治あれ』
臣々からそう訴えられた…後日、秀吉もその意思である事を征明軍に表明した。
天正二十年（一五九二）二月二七日
『関白殿下はさぞお怒りだ。東国の徳川公は何故こんなにも手勢が足りぬのだ？』
周囲の人物は秀吉の怒りを恐れていた。京の都で秀吉は幾刻も東国勢の徳川勢の到着を待っていた。敵軍と戦う出兵間近の状態だと申すのに日本国内で内輪揉めが始まりかの様な雰囲気に包まれていた。
第二軍の加藤清正軍に配属された加藤清泰。彼はその不安で一杯だった。
そしてこの日も出陣は延期された。そして三月一日に出陣の儀を行うはずが秀吉が過眠症を患い三月二六日に後陽成天皇に京を出立した。
ー釜山《プサン》 絶影島《ヨンドト》ー
『倭寇の船が対馬に移ってきたのを昨日見たのよ。しかもあれは…700隻を超えた者だったわ…』
鄭撥《チョン・パル》の妻は夫の鄭撥と共に食卓を囲んでいた。もちろんそんな妻の話など冗談だと思い聞き流したその時…鄭撥は1隻や2隻の船団を見つける。
『おい、そなたが言ってたのは…あれか？』
鄭撥が指差した船団の先は1隻や2隻だけではなく…100隻…200隻…いや…700隻はある。鄭撥は腰を抜かし妻や配下の兵士たちに言った。
『大変だ。倭寇…いや…日本の大軍が釜山に攻めて来たぞ！刀を手にして城へ戻れ！』
その二十分後に釜山に到着したのは日本第一軍の小西行長や宗義智《そうよしとし》である。そして第一軍は一万八千の陸軍を連れて釜山鎮の城郭に攻め入った…
『将軍、敵軍は一万を超えております。このままでは全滅します。お逃げ下さい。』
鄭撥の配下・李千陽《イ・チョンヤン》は鄭撥に逃亡を勧めるが決して鄭撥は首を縦に振る事なく日本最強の武器である鳥獣の銃弾によって胸を貫かれた。
開戦二時間で巨大城郭・釜山鎮を陥落されられた。巨大城郭陥落の理由としては軍兵の半分が逃げ出したからである。
『戦勝したぞ！！！』
小西行長始めとする宗義智ら日本第一軍は良いスタートを切った。
終
- Re: 壬辰丁酉 ( No.9 )
- 日時： 2019/12/27 06:29
- 名前： エイ （ID: lBubOowT）
文禄の役初期会談（文禄元年四月十三日）
『私は降伏を勧告する。』
『私は決して王様の御命令がない限り降伏などせぬ故多大鎮から今すぐ離れるのだ！』
降伏を勧告する小西行長に対して多大鎮《ただいちん 朝鮮読み：テダチン》守備隊指揮官である尹興信《ユン・キョンシン》は頑なに断り続けた。降伏勧告もそれもそのはず朝鮮で軍兵の損失を出せば明で大軍として戦う事が難しくなるであろう。
夜襲を仕掛ける為小西行長が率いる火縄銃を持った日本軍が整然と行進し多大鎮へ向かった。昼間にいた数千人の城郭の守備隊は数十人へと変わり守備隊は無効と化した。守備隊は静かに矢によって全滅させられ小西行長は城郭前の釘を退かせた。すると気晴らしに外に出て来た尹興信は守備隊が誰一人いないことに気づきそして外には七千を超えた軍兵がずらりと並び夜襲の準備をしていた事に気づき戦起太鼓《せんきだいこ 戦いの始まりを表す太鼓》を必死に叩いた。それに気づいた小西行長は…
『城門を破れ！！！！！！！！！！』
小西行長の命令により七千の大軍が多大鎮の城門を破り尹興信は日本軍の火縄銃の一瞬で銃弾を数百発受け吐血して刀を落とし息を引き取った。尹興信__享年35歳、1590年宣祖直々に多大鎮守備隊指揮官を命令され最期まで多大鎮を守った。しかし1592年に僅か千人にも至る軍兵の元へ七千の日本軍が侵撃して来た為反撃がろくに出来ず火縄銃の銃弾を受けて息を引き取った。
宗義智が釜山鎮を陥落させて釜山周辺は日本軍に占拠された。朝鮮水軍の方では、慶尚左水使《キョンサンチャスサ》朴泓《パク・ニョル》が慶尚左水営《キョサンチャスヨン》（釜山佐自川《プサンジャザカン》）を棄てて山中へ逃亡。巨済島《コジェジョ》の慶尚右水営から急行した慶尚右水使《キョンサンウスサ》元均《ウォン・ギュン》は、地域一帯に混乱が広がった為なすすべがないまま、敵に奪われるのを恐れ、ほとんど全ての水軍船舶(主力艦の板屋船を含む)を戦わずして沈め、4隻に分乗して昆陽《ピニャン》へ撤退した。
『将軍。これで良いのでしょうか？船を全て沈ませるなど…王様はさぞかしお怒りになられるでしょう。どうされるおつもりですか？』
船を沈めた事を不安に思ったのか李雲龍《イ・ウンヨン/イ・ウニョン》は元均に尋ねた。
『今、王様の機嫌を取っている場合ではない。今は戦乱を収束させる方法を考えねばならぬ時だ。』
元均は冷静に船を操縦しながら李雲龍の質問にそう答えた。李英男はある事に閃き元均に提言した。
『将軍。倭軍は現在東莱城《とうらいじょう 朝鮮読み：トンネソン》で戦っています。倭軍は決して東莱から全羅道《チョルラド》に西進する事なく一刻も早く王様を捕らえようと北上するでしょう。全羅道にいる李舜臣《イ・スンシン》をお頼り下さい。』
当時李舜臣と元均は対立していたとされる。しかし四月十九日に釜山が陥落したと宣祖に伝わると柳成龍は失脚した。李舜臣の後ろ盾とされる柳成龍が失脚した為李舜臣は後ろ盾を失った。
朝鮮簡単地図
京畿道《漢陽》 江原道
忠清道
慶尚道
全羅道北道
東莱城（現在戦闘）
↑侵攻
全羅道南道（李舜臣）←救援を求める（元均） 慶尚道 南道 釜山（日本掌握）
終
- Re: 壬辰丁酉 ( No.10 )
- 日時： 2020/01/07 19:23
- 名前： エイ （ID: lBubOowT）
『関白殿下。第1軍が釜山を掌握し現在東莱城で戦闘を繰り広げております。』
秀吉は前田利家より戦況通達を受けた。秀吉はその通達に少し笑みを浮かべるのだった──
ーーその頃の朝鮮ーー
東莱城指揮官の東莱府使《トンネプサ》である宋象賢《ソン・サンヒョン》は他の武将や官僚が東莱城周辺から逃亡したが城内軍民や周辺の軍民を東莱城に集結させた。
『李砡《りぎょく、イ・カク》はまだか？次期に倭軍はここへ攻め入って参るだろう…今ここにいる軍民は一万だ。敵軍は三万だと予想。普通に考えて無理に等しい。李砡の到着を待つのだ！』
『慶尚道兵使《キョンサンドピョンサ》様は今釜山鎮から直行しています…あれ？あれは…兵使様では？兵使様です！』
大軍を率いた慶尚道兵使である李砡は釜山鎮に参上するが遅れが生じ倭軍の後を追い東莱城に直行入城。李砡が率いる軍票の数はおよそ一万を超えており東莱城に集結した軍兵の数は合計二万であった。
『何だと？ここに…三万の敵軍が攻め入ってくるのか？…む、無理だ。私には無理だ、、、私は倭軍とは戦わぬ…この戦闘に勝算があると思っておるのか？無理だ…私は逃げる。』
李砡は敵軍の数に驚きを隠せず後退りをした…しかし宋象賢はそれを許せず李砡の腕を掴み引き留めた。
『ならぬ…慶尚道兵使。二万の軍民らは逃げたがろうが戦うのだ。軍民は戦うのに何故王様から俸銭を貰う役人が戦わぬのだ！私は決して許さぬぞ。』
しかしどうしても自らの身を守りたい李砡は恐る恐る言ったのだ。
『大将は自らの生命を危険にさらす訳にはいかない。府使が城を守れ。私は戦場から離れて指揮を執る！』
その李砡の言葉に宋象賢も呆れて物が言えない。李砡のその言葉の勢いによりそれ以上に引き留められず李砡は足を進めて立ち去った。
雨天の夜…わずかな手勢を連れて脱城し蘇山《ギョサム》へ行った…その頃100人ほどの倭軍密偵《ネグムミルジョン》が東莱城へ向かっていた…その中には五島純玄《ごとうすみはる》という武将が一人いた。
李砡の手勢は約200だ。ここで五島軍に攻撃すれば勝算はあったやもしれない…
- Re: 壬辰丁酉 ( No.11 )
- 日時： 2020/01/13 18:36
- 名前： エイ （ID: lBubOowT）
ー1592年（文禄元年）四月十五日ー
『戦わずなら即座に道を貸せ！或いに戦わぬなら戦え！』
小西行長は東莱城の城上に立つ宋象賢に尋ねる…すると次の瞬間
『皆の者！剣《つるぎ》を抜き攻撃せよ！』
そう言い放たれた時軍兵らが剣を抜く音が響き小西行長と宋象賢の間で何千もの矢が飛び交う──
『鉄砲部隊。前へ出るのだ！3、2、1、発砲！』
宗義智のその命令で鉄砲部隊は前に出て命令の後その銃弾は東莱城の軍兵らの胸を貫いた──木や岩に隠れて日本軍は次々と朝鮮軍を倒し刀を持った一軍が鉄砲部隊の前に出た。そして『第1刀軍、突撃せよ！』という五島純玄の命令により刀を持った約八千の軍兵が城郭に向かって猛進する…東莱城の守備隊は秒で敗れ日本軍は城内に侵入した──
城内に侵入した日本軍は宋象賢の助将である洪胤入《ホン・ソヌ》に向かって百の兵が集中。囲まれた洪胤入は刀で一斉に突かれ息を引き取った。その目の前で戦う宋象賢に向かって洪胤入は手を伸ばし
『将軍…どうか…生き残って下さい…どうか…』
洪胤入は手を落とし息を引き取った。その目の前で戦っていた宋象賢は一人残され1万の兵に囲まれていた──刀を少しずつ少しずつ首に…
『無念。王様がきっとこの無念を晴らしてくださるだろう…』
そう言い自らの刀を首に刺し命を絶った。首からは溢れるほどの血が出ており…周りの日本軍も目を背ける程の酷い現場だったとされる。
小西行長はそのまま慶尚左水営に軍を率いて向かうが全くと言っていいほどの無人。東莱城の落城を知って自害した朝鮮軍の遺体が数箇所にあったが気にせず日本軍は喜んだ。勢いに乗り釜山の広域郡まで進軍するがそこも無人。更に小西はそのまま梁山へ向かうがそこには大量の酒と肉。小西や日本軍は大いに喜び頬張り翌日の十六日を迎える。
終