複雑・ファジー小説
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- 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 (完結済み
- 日時: 2020/04/13 14:38
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12739
短編です。
ん?お前連載途中の小説あるだろって?
ハハ、息抜きも大事ですヨ……
そんなに長く書くつもりはないので、暇なときにでも読んで頂けたら有難いです。
プロフィールの方から、僕が書いている他の小説も見ることができるので、そちらも是非(ちゃっかり宣伝
注意
・一部、残酷な表現を使うかもしれないです。
・主人公が結構な変態さんです。
・誤字脱字はないように見返してはいますが、あったら申し訳ない……
・1〜2日程度で更新は終わるかと。あくまで短編なので
- Re: 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 ( No.2 )
- 日時: 2020/04/13 10:26
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
「──なんということだ。こんなちんけな場所にこんなに美しい薔薇があったとは」
「は」
「あぁ……白い素足も美しい……。」
「…………誰?」
「ささ、夜も暗いし、屋上なんて何もないから部屋に戻ろうか。」
「……どこに居るんですの?」
「手もこんなに汚しちゃってまぁ」
「私の質問に答えなさい」
「以外と気が短い……。うーん……僕はどこにも居ないよ。」
「それはどういう……ひゃっ」
「……正確には、もうこの世に僕は居ないよ。」
「ゆう……れい?」
「まぁ、そんなとこだね。実体化もできるけど」
「………そうなんですの」
「やや、飲み込みが早い。」
「……別に、これから私も幽霊になるかもしれないですし」
「自殺ってことですの?」
「真似をするのはおやめになって?」
「はい。でも、ここはあまりお勧めしないよ。」
「嫌です。止めるのならここでナイフを自分に突き刺します」
「最近のお嬢様は随分物騒だなぁ……」
「……止めはしないのですね」
「……止めて欲しかったり?」
「いえ、最初からそういうつもりで声をかけてきたのかと」
「違うよ。ただ、気になったんだ。」
「……何がですの?」
「……太ももフェチの僕からしたら、パンツまで見えるのは少し専門外というか……。」
「………ッ!」
「さっき君が居た庭園には、綺麗だけどトゲトゲした花が多かったよね。たぶんどっかで引っ掛けたんだと思うよ。……こけてたし」
「見てた……ってことですの?」
「一部始終ばっちり」
「………」
「………」
「………専門外なら太ももガン見しないでくださいます?」
「これはこれでアリかなと」
「最低ですわね」
「よく言われたよ……」
「……では、私は飛び降りるのでどこかに行っててください」
「ねぇねぇ、一つお願いがあるんだけど……」
「嫌ですの」
「わぁ、即答だ。」
「変態のお願いを叶える義理はなくてよ」
「結構辛辣だなぁ……。」
「そんなこと言わずにさっ……お願いだって。……ここ数年は誰とも話してなくて寂しいんだよ」
「…………あなたとこれ以上話すことなんてなくてよ。」
「実は僕、生前にどうしてもしたかったことあってさ……」
「……嫌って言ってるのに」
「………ロリとシたい」
「」
「……(スチャ」
「待つんだ。それは護身用のナイフであって、自ら人に向けるための武器じゃない」
「えいっ」
「……まっ、刺さらないんだけどね」
「………なんとなく知っていましたわ」
「はは、それで本当に刺さった時よ」
「清々しい気持ちで飛び降りることができますわ」
「とにかく、あなたの話は聞きましたわ。さっさと帰って頂けます?」
「それはできない。」
「……?」
「まだ……シてない……ッ!」
「さようなら」
「わわっ、せっかちだなぁ。夜は長いんだし、飛び降りる機会なんて幾らでもあるよっ。だから僕と……」
「さようなら」
「掴むこと……できましたのね」
「実態化はできるって言ったじゃん。人魂状態ならまともにデキないし」
「えいっ」
「あぶなっ。」
- Re: 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 ( No.3 )
- 日時: 2020/04/13 14:34
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
「とにかく、あなたに用はないです。帰ってください」
「一人の紳士としてこの世からロリが消えるのは見過ごせないね」
「……これ以上、邪魔するなら爺やを呼びますわよ」
「それでも僕は諦めないっ」
「じぃやあぁぁーっ!」
「本当に呼んだ!?」
「お嬢様ッ!どうなさいましたか!?」
「爺や!助けて、この方が………」
「───何故…、靴を脱いでおられるのですか……?」
「……こ、これはっ、その……」
「……お嬢様」
「先ほどの件は、爺やも心苦しく思います。ですが、どうかそのようなことは止めて頂けませんか……?爺やからのお願いでございます……!どうか……ッ!」
「……泣かないで、爺やは悪くないわ。私は、寝れそうにないから、少し散歩庭園を散歩してきますわ。」
「……ッ、畏まり、ましたっ……!」
「……さぁ、改めて抱かせてくれっ……だぁッ!?」
「流石に空気をお読みになって?」
「それ浄化銀使ってるだろっ!ヒリヒリする!」
「鞘で殴っただけですの。そんな大袈裟な……」
「紳士な僕から提案があるんだけど……」
「紳士は自分で言いませんわ」
「……今度、スラム街に来ない?」
「……スラム街?もう人はいないと聞いておりますわ」
「うん。だから安全だし、あそこならナニやってもバレないよ」
「今日は自殺は明日にしてもう寝ますの。」
「スルーは悲しいなぁ……」
「いちいち反応したらキリがないですもの」
「おっ、僕のこと分かってきたね」
「気味の悪いことを言わないでくれます?」
「……来てくれたら僕の過去が分かるかもよ?」
「興味ありませんわ」
「本当にお願い……」
「………」
「頼むよ……」
「嫌ですのっ」
「………」
「………」
「……簡単に死んで欲しくないんだよ!」
「………っ」
「……おっと」
「……その、怒鳴ってゴメン。明日の昼、待ってるから」
「……ずるいですわ」
- Re: 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 ( No.4 )
- 日時: 2020/04/13 14:32
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
「抱かせてくれええぇぇ……うぶっ」
「……昨日、一人悩んでたのが一気にバカらしくなってきましたわ………」
「……見ての通り、人はいないよ」
「それで、私に何を言いたいのです?」
「……別に、たいしたことでもないけどね」
「じゃあ帰っていいかしら」
「……まぁ待つんだ。僕の昔話になるんだけど……」
「………ちょっとばかし暗いお話になるよ」
───僕は、生前はこのスラム街で住んでいた。
王都からそう遠くない、最底辺の人間が流れ着く場所。
活気のない静寂な大通り、たまに聞こえるのは怒声や悲鳴、下品な笑い声のみ。
家や建物が意味を成さない無法地帯では、毎日のように強盗や殺人が起きていた。
壁に持たれかかって死んでいる餓死者なんて珍しくもない。物心がつく前には慣れた。
子供だからそこまで警戒されていなかっただけで、親も親戚も友達もいない、そんな街に僕はいた。
王都に行っては、窃盗を繰り返し、その日を過ごすためだけにくたばるまで走った。
スラム街に戻っても、盗んだ食料や衣類を強奪されることもあり、何度も死のうと思った。
けど、死ぬことが僕には許されなかった
妹が居た。
濁りきったこの街には眩しすぎる、可愛い妹だった。
力が弱く、内気で優しい。そんな妹が、僕が自殺したとして、生き残れる訳がなかった。
けど、義務感で妹を育ててたわけじゃない。
妹は僕の心の支えだった、失ってはいけない、大切な宝物。
「僕をロリコンにした張本人とも言える」
「………」
「ごめん」
そんなある日、王都から騎士団が大勢詰め寄ってきた。
このスラム街を一斉に再開発して、王都の領土を広げるらしい。
このスラム街を拠点に構えていた盗賊なんてちっぽけなもので、すぐさま逃げていった。
しかし、ここに住んでいる人達は、そこかに行くような当てがあるはずなかった。
僕もなかった。
騎士団は、建物に住んでいる人の同意も取らず、立て壊しを開始した。
僕と妹が住んでいるボロ小屋も、勿論壊された。
そんな中、問答無用で立て壊しを続ける騎士団の一人に僕は問いかけた。
僕達はどうしたらいいですか、と。
その騎士は、何も答えなかった。
そこら辺に転がっている餓死者の死体を見る時と同じ目で、見返してきただけだった。
僕は訴えた。
妹だけでも助けてくれませんか、と
その騎士は妹を見た瞬間、目の色を変えた。
口元を歪めて、連れ去ろうとした。
僕はその腕にしがみ付き、噛み付いた。
頭を引っ掻いて、とにかく抵抗した。
すぐさま振り払われ、壁に向かって蹴飛ばされた
その騎士は激怒したように、剣を抜刀し、僕に切りかかった
「……それが僕が生前に見た最後の光景だよ」
「…………」
「こう、肩から真ん中までズバンッ、と」
「……………」
「………っ……」
「ちょっ、何で泣くのさ」
「………ひっくっ……うっ…うぅっ…」
「ちょ、ちょ……」
「いやぁ……大変だった」
「し、失礼いたしましたわ……!」
「あはは、顔むっちゃ赤くなってる」
「うぅ……、見ないで……」
「……でも、ありがとう」
「……え?」
「泣いてくれて」
「……?」
「嬉しかったし、……一つ、思い出したんだ。」
「……何がですの?」
「……この昔話、まだ続きがあるんだ。」
「僕は、死んだ後、すぐに幽霊として体から出てきたんだよね。」
「そ、そうなんですの」
あんなことがあった後だから、怒りと憎しみで我を忘れていた。
……自分が死んでいることにも気付けないぐらいに。
僕を殺した騎士は、死んでいた。
僕の後ろにある壁がかなり老朽化が進んでいて、蹴り飛ばされた勢いでぶつかって柱が折れたのだ。
騎士の上半身に覆い尽くすようにコンクリートが上から降ってきて、騎士は即死。
当然、僕の死体も埋まり、見てはいないけど見るも無残な死体となっているだろう。
騎士が死んでいることも気付かず、騎士の死体に向かって殴り続けていた
その手さえ、体をすり抜けて何の感触もなかったが、それでも続けた。
そんな時だった。
誰かが啜り泣く声がした。
やがてその声は大きくなり、泣き叫ぶといったほうが正しいぐらいに騒がしかった。
僕の妹の声だった。
「……一瞬で目が覚めたよ。今まで聞いたこともないような大声で泣いていたんだ。」
「ずっと泣いてたよ。煩くて他の騎士が駆けつけてくるぐらいには」
「え……」
「いや、今度は信用できる騎士だったんだ。」
妹が泣き止むまでずぅーっと背中をさすって抱きしめてくれてたし、その騎士も泣いていた。
「……それを見て、死んだ、っていう事の大きさに気付いたんだ。」
「………」
「………それで」
「……だから、自殺を止めろと言いたいのです?」
「まぁ、ありきたりだけどね。君が死んだら、誰が悲しむのかを想像してみよう。」
「……爺やだけですわ。お母様やお父様も、家の使用人も、皆私のことはこれっぽっちも悲しむはずがないですわ」
「………」
「……あなたがどれだけ辛い過去があったのか、私には分からないでしょう。だけど、私は自殺を止める気はありませんわ」
「……爺やだけ、と。」
「……っ!……そう、ですわ」
「……本気で、愛されていないと思ってるのか?」
「そう言ってるでしょう!」
「………」
「……よしっ!じゃあこうしよう!」
「……何ですの。」
「とりあえず一回抱かせてくれッッッ」
- Re: 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 ( No.5 )
- 日時: 2020/04/13 14:24
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
「あぅ……ぁ、あ……あなた、よくこの雰囲気でそれが言えましたわねっ!」
「あなた、ってなんか夫婦っぽくていいね」
「!?」
「……ふっ。」
「………はぁ……」
「はあぁぁぁぁ、もう嫌ですわ……。もう何もしたくないですわ………」
「いやいや、シようよ!」
「死ぬのはあなたを殺してからでも遅くない気がしてきましたわ」
「……マジすいませんでした」
「………」
「………こっち見んな、ですの」
「……君に死んで欲しくない、それは本当だよ。」
「…………変態に言われても何も響かないですわ」
相変わらず辛辣だなぁ……
「話、続けてもいい?」
「……次に変なことを言ったらぶっ飛ばしますわよ」
……お嬢様、そんなお下品な言葉はおやめになって?
「僕は死んだ後、妹をずっと見ていたんだ。」
騎士に保護された後も、ずっと。
妹は、ずっと虚ろな目をしていた。見ていて心苦しかった。
違う、そんな顔をしないでくれ。僕はここ居るんだ。と
そう何度も言った、けど届かなかった。
「……僕は実体化という方法を見つけるまで、ずっと孤独だったんだ。」
「………」
誰も何も反応しない。自分という存在が疑問に変わる。
気が狂いそうだった。妹だけを見て彷徨っていた。
妹からしたら気味の悪い兄だろうけどね……。
「そんなこと……ないですわ………」
「死んだら何も残らない。まさにそんな体験だったよ」
「当事者の僕が胸を張って言うけど、本当に何もないんだ。」
「……」
「どれだけ周りの環境を憎んで、人との触れ合いを嫌って、何もかも嫌になっても。」
「その感情は、いずれ『寂しい』って答えに変わってしまうんだ。」
「………」
「絶対に。だから、死なないでくれ。」
「………」
「………僕からの話は終わり。長々とゴメンね」
「………私、は」
「頑張って古傷抉った僕に何かご褒美をくれもいいんじゃないかな?ん?」
「…………………………………………はぁ」
「……すごい重いため息。そ、そんなに嫌……?」
「……いいですわよ」
「え」
「どうせ、死ぬのに変わりはないので。もう煮るなり焼くなり好きにしたらいいですわ」
「そ、それって……」
「だ、抱いていいです、わよ………。」
「………」
「………」
「………へぇ」
「ぐへへ、じゃあ、早速」
「〜〜ッ!!」
その、自分と同じ背丈の体にそっと触れ、服を着たままの白い肌を抱き寄せた。
何かを必死に堪えて、頑張って目を瞑っているその顔に……
デコピンした
「あいたっ」
「………」
「…………へ??」
そして、呆けた顔をした彼女をそのまま抱きしめる
「………」
「ちょ……何してるん、ですの?」
「抱いてますね。はい。いい匂いがします」」
「え……抱くって」
「他に意味でもあるのかな、僕は知らないや。……それとも知ってるんだったら教えて?」
「え、……えぇ?」
「ナニか期待してたのかな?」
「違っ……!そういう意味じゃっ……ひゃっ」
「───辛かったよね」
「……何、を」
「嫌なことがたくさんあったんだね」
「………」
「言ったと思うけど、見てしまったんだ。君が庭園で、泣いているのを。」
「僕は、死んだ身だし。命を大切にしろー!、や、頑張って生きろ、ぐらいの偉そうな……」
「……無責任な言葉をかけるぐらいしか、励ますことができないんだ。」
「………」
「……私は爺やだけしか愛されていない。そう思っているんだよね」
「………」
「そうかもしれないけど、違う可能性だってある。」
「……これも、無責任な発言の一つだ。聞き流したっていい。」
「けれど……」
「……君が死んだら、その爺さんが悲しむことに変わりはない」
「………!」
「だから、何度でも言う」
震える少女の体を、ギュっと抱きしめる
僕がこれから言う言葉は、とても無責任だ。
それでも、僕は言わなければいけない。
「死なないでくれ」
「………」
「生きてくれ。生きていれば、多少は良いこともあるかもだし」
「それに、僕が付き添うからさ」
「………」
「………」
「……本当、ですの?」
「うん。トイレでも、お風呂でも更衣室でも。紳士で優しい幽霊が飛んでいくからさ。」
「……バカ」
〜END〜(これ要らんかったかも)
- Re: 【短編】変態自称紳士に自殺を止められた少女のお話 (完結済み ( No.6 )
- 日時: 2020/04/13 14:46
- 名前: 星騎士 (ID: X1kgwzZ6)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12739
これにてこの小説は終了となります。
このスレッドを開いて頂き、有難うございました!
思いのほか、スラスラと書けたので自分でも驚いていますね……
一日で全部書けるとは思わなかったです。
でもアレですね。こういうのって、書いているウチに思わずニヤけてしまう時が少々……。
また短編小説は書くと思うので、またいつか会いましょう!
これはただの宣伝ですが、プロフィールの方から他の作品を見ることができるのでそちらも是非……!
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