複雑・ファジー小説

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闇玉Atlantis 【短編集】
日時: 2020/04/28 16:06
名前: 縁葉 (ID: aOQVtgWR)

初めまして、縁葉と申します。
気ままに更新していきますので、更新は不定期になると思います。懲りずに閲覧をしていただければ幸いです。

スレッド設立 2020/04/25

#1>>01 #2>>02 #3>>03 #4>>04 #5>>05

Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.1 )
日時: 2020/04/25 20:26
名前: 縁葉 (ID: qToThS8B)

#1【母であり、_____でもあり】




「ただいま。買い出しで遅くなっちゃった…。今からご飯作るから待っててね。」

彼女に向けて声を発しても、いつも通りぼんやりと窓を見つめていた。彼女は朝から晩までパジャマ姿であり、髪の毛はロングヘア。ハッキリ言って、だらしない。魂がいつ抜けても、私は数日間は気付かないくらいに。しかし、どんなに最悪な人間でも暖かく見守ってあげるのが家族。それが当たり前だと、私はずっと思っている。

私は台所に食材を並べると、軽く溜息を付いた。

「あの幸せな時間に戻りたい…。」

過去の記憶が蘇ってくる。
家族で笑い合っていた。そして、子供は親めがけて走っていき勢いよく抱きつく。幸せそうに見つめる両親。それは微笑ましい絵に描いたような家庭。時には優しく、時には厳しく。嬉しさを分かち合って、悲しさも分かち合う。高望みだけれども。_____そんな、幸せな家庭が昔にはあった。本当に。



「あれ…私。」


涙が出ていた。透明で、美しすぎるかもしれない。それが頬を伝って地面に落ちる。
やだ…シミになっちゃうかも。でも、苦しい気持ちが喉を熱くする。やっぱり体はウソをつかない。

「もとに戻ってよ…母さん。」




そこには、母となった娘と娘となった母がいた。

_________________________________________

●解説
料理を作ろうとしているのは娘であり、窓を見つめているのは母。何があったのか、母親は
“うつ”のようになってしまった。

Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.2 )
日時: 2020/04/26 14:14
名前: 縁葉 (ID: Uc2gDK.7)

#2【彼氏、ただそれだけ。】

いつもありがとう。
照れ臭いけど、ほら…今日バレンタインデーじゃない?愛する人へ贈り物をする…。いや、愛を誓うといったほうがいいのかも。じゃあ。私はあなたに“愛”を贈る。ありったけの。

付き合い始めから、あなたは優しくしてくれたよね。嫌なことがあったら、気が済むまで宥めてくれて…。お母さんみたいなぬくもりもあってさ。あなたとなら幸せな生活ができるって思えたの。
たとえあなたと会えるのがほんの少しだったとしても、出会えて良かったと思う。

特に、勉強だって教えてくれた。ほら、あなたは算数が得意だった。私が苦手だった方程式だってスラスラ教えてくれた。おかげで学年ではトップクラスの成績に成れた。家庭教師みたいな面もあなたにはあったよね。

それで、そのご褒美にはケーキを買ってくれた。少し太っ腹すぎたけどね。

だからこそ好き。
私の完璧な彼氏。 






いや…完璧じゃないや。

生身の人間なら、ホントに完璧なのに…。


________________________

●解説
物語に出てくる“彼氏”。実は、人間に極限まで似せたロボットだった。近い未来、日本にもロボット人間が誕生するかもしれませんね…。


Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.3 )
日時: 2020/04/26 20:19
名前: 縁葉 (ID: Uc2gDK.7)

#3【私とこの娘は一心同体】

「亜希。そのストラップって、小学生の頃から付けてるよね?」

「うん。お姉ちゃんからのプレゼントだから。」

「彩花さんからのか…。もう8年も付けてるってことは、凄い大切なものなのね。」

亜希は首を縦に降った。
ここまで物を大切にする人は、見たことがない。これが本当の“日本人”らしさと言うものだ。

そのストラップは、黄色の猫であり愛らしさも垣間見える。少し小さめだが、リュックサックに付けるには持ってこいだ。

「ねぇ、亜希。ちょっとそのストラップ見せてよ。」

「別にいいけど。私とこの娘は一心同体なんだから、手荒なことしないでよ?」



_______…一心同体…か。


そんな思いをしまいつつ、私はそのストラップを手にした。

「っ!ちょっと…理央、くすぐったいからやめてよ。私達は一心同体って言ったでしょう?」

亜希がくすぐったそうな顔をする。
そんなの、ただのボケだろう…私はそうとしか思えなかった。

「一心同体?…そんな馬鹿みたいなこと言わないでよ。ほら、こうやって握っても痛くないでしょ?」


私はストラップを握る。
すると、亜希の方から何かが砕ける音がした。


「…ほら言ったでショ。私達ハ一心同体だっテ…」


___________________

●解説

一心同体は、心と身体が一つという意味。よく青春ストーリーに使われる比喩表現だが、もしそれがただの比喩表現では無かったら…身の毛が弥立つ…。

Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.4 )
日時: 2020/04/27 17:32
名前: 縁葉 (ID: hZy3zJjJ)

#4【この趣味は…】

趣味。
私の趣味。

それは好きで好きでたまらない。
やればやるほど、愛が深まっていく。
そして、自分の心も支えてくれる。

趣味は習慣とも言う。
確かに、そうだ。

毎日やる。
欠かさず毎日。
それは当たり前でしかないだろう。

そして趣味は、快感を発する。
やると幸福を感じる。

趣味は私にとって全てだ。
そして。希望を与えてくれる。






今私は、家族を殴り続けている。



___________________

●解説

語り手の趣味は“DV”。
ストレスから暴行する人間は、よくテレビなどで見かけるが快感を求めて暴行する人間は、見たことがない。


Re: 闇玉Atlantis 【短編集】 ( No.5 )
日時: 2020/04/28 16:05
名前: 縁葉 (ID: aOQVtgWR)

#5 【私はお姫様】


私の言う事は、みんな聞いてくれる。
だって、私は偉いもの。この国の“姫”だから。
______つまり、私はこの国の世継ぎ。
皆私の権力を求めてやってくるから、何か命令したらすぐ遂行してくれる。本当にいいカモと言うもの。

私には美貌という最大の武器である。
だから猫被っとけば、私の命令に背くものはいない。

最後に、私に反する者はこの国には一人もいない。皆従順。そう言う事。





…まぁ。
反する者がいたら、速攻死刑なのだけどね。
もしあなたも反すれば、このナイフで見事に突き刺してあげましょう。



____________________

●解説

姫の指示に背くものは速攻死刑。
こんな恐慌政治、いつか民衆によって崩されるに違いない。


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