複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【完結】TEARdrop——魂込めのフィレル外伝
日時: 2020/08/24 09:44
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: q7aBjbFX)

 霧の彼方に、封じた記憶がある。
 霧の彼方に、閉じ込めてしまった想いがある。
 その日々は、確かにとても大切で、涙が出るほど愛しいけれど。

——痛いから。

 想い出すことすら、そのあまりの切なさに狂いそうになってしまうから。
 忘れられない思い出なのに、大好きな人との思い出なのに。

——思い出してしまうから。

 彼女と過ごした喜びを。
 思い出せば、喪失感に、おかしくなってしまいそうで。
 だから。

 霧の彼方に、霧の彼方に。
 閉じ込めて、見えなくしたんだ。
 僕の灯台はもういない。

——————

 傲慢だった霧の神様と、人間の娘との恋物語。

  ◇

 「魂込めのフィレル」の外伝です。3万文字程度の中編。
 「フィレル」に出てきた霧の神、セインリエスの過去を描いた作品です。
 よろしければお付き合い下さいませ……。

Re: TEARdrop——魂込めのフィレル外伝 ( No.2 )
日時: 2020/08/06 09:19
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: q7aBjbFX)


 パッタン、パッタン。継続的に響く機織りの音。
「う……」
 セインリエスはぼんやりと目を覚ます。最初に目に入ったのは見知らぬ天井、そして窓に掛けられた質素なカーテン。首を巡らせば簡素な家具の並んだ部屋であることが分かった。そして自分の怪我した身体が治療されていることに気づき、首をかしげる。そのまま身を起こそうとし、瞬間走った激痛に、思わず苦悶の声を上げる。すると。
「わぁ、目が覚めたんですかー?」
 機織りの音が止み、女の子の素っ頓狂な声がした。軽快な足音が近づいてきて、そっと部屋の扉が開いた。
「すっごい怪我してたんです、まだ動いちゃだめですよー?」
 扉から一人の少女が顔をのぞかせた。暗い部屋の中では顔の詳細は分からない。彼女が自分の治療をしたのだろうか、セインリエスはそう思ったが。
「……余計なことをしてくれたな」
 口から出たのは冷たい言葉。
 驚く少女に彼は言う。
「見捨ててくれても良かったのだぞ、私は死んでも良かったのだ。生きたまま地上で恥をさらすくらいなら……」
「地上で恥をさらすって、どこかの武人さんなんです?」
 きょとんと少女は首をかしげている。
「でもそんなこと言われたって……。あの。一度倒れているのを見つけちゃったから、治るまでは面倒見させていただきますよ! 死にたい? 生きちゃいけない理由なんて、どこにあるんです? 恥ずかしいから死にたいとか、そんなことのために大切な命を捨てちゃうんです?」
「……武人じゃない。そもそも何も知らないお前に言われたくはないよ」
 セインリエスの態度は素っ気ない。
 なら、と少女は嬉しそうに言った。
「色々教えてください! そうしたら私にもあなたの気持ちが分かるかもです!」
「教える気はない。放っておいてくれ」
「……そうですか」
 彼女はしゅんとうなだれた。
 でも、と彼女はセインリエスの方を見る。
「名前くらい教えてくれたっていいですよね? 私はティア、機織りの娘です! あなたは? 白い髪の美人さん!」
「……セイン」
 名乗ると、ティアと名乗った娘は大きく頷いた。
「セインさん! これからしばらく、よろしくお願いします!」
 あ、そうだ、ご飯の準備してきますね、と言って、彼女は扉を閉めた。
 セインリエスは暗闇の中、ほうっと大きな息をつく。力を失ったのは本当か試してみようと、なるべく体に負担がかからないようにして慣れた仕草で霧の力を展開、

 できなかった。

 いつも通り、空気中の水蒸気から霧を生み出そうとしたのに。霧の神様である彼にはそんなこと、容易くできるはずなのに。

 できなかった。

 天界から追放された日に感じた虚無感と倦怠感は、力を奪われたことによるのか、と彼は思う。
 これまで、力が彼のすべてだった。力が彼の存在証明だった。強い力で他の神々を黙らせること。それだけを楽しみに日々を生きていた彼にとって、その力の消失は自分自身の消失と同意義だった。
 ああ、と彼は絶望する。
 自分自身を失って、今後どうやって生きればいいというのか。
 こんな生き地獄に放り込まれるくらいならば、誰も助けに来なければ良かったとありもしない未来を思い浮かべる。
 このまま死んでしまえればいいのに、と彼は思ったが、神に自殺は許されない。神としての力を奪われたってそれは同じ。
「……くそっ」
 呟き、壁を殴った。感じたのは鈍い痛み。痛みとはこういうものなのだと、自分がこれまで誰かに与え続けてきたのはこういうものなのだとぼんやりとは理解したが、それがそうやって傷つけてきた誰かへの謝罪や後悔になることはない。
 そうやって起き上がれぬ身体で、虚無感に苛まれ死にたいと思っていたら。
 軽快な足音。再び、扉が開いた。
「セインさーん、起きてますかー? ご飯、持ってきたんです! 食べられますかー?」
 声と一緒に、少女が入ってくる。その手にはお盆らしきもの。
「暗いとご飯食べにくいかもなので、カーテン開けちゃいますねー!」
 明るく楽しげに、彼女はくるくると動き出す。セインリエスは鬱陶しげな顔をしたが、彼女は気づかず明るく話し掛けてくる。開けられたカーテンから光が差し込んだ。窓の立て付けが悪いのか、微妙に開いた隙間から冷たい初春の風が吹いてくる。
 これまで風を寒いと思ったことはなかったのに、その寒さに思わず震えたら。
 心配げに、少女がセインリエスの顔を覗き込んできた。
「あ、寒かったですー? 済みません、家が貧乏なので、色々がたついているんです」
 申し訳なさそうに謝る少女に、大丈夫だとセインリエスは返す。
 ご飯食べられますか、と彼女が訊ねたので、ああ、と頷きゆっくりと身を起こす。全身に激痛が走った。怪我なんてほとんど経験がなかったからその痛みは尋常ではなく、呻き声をあげてベッドに倒れた。
「あらあら……。無理したっていいことないですよー? 痛いなら痛いって、素直に言っちゃえばいいのです!」
「…………」
 死んだ瞳でセインリエスは少女を見た。すると彼女は慈愛に満ちた表情を浮かべた。
「辛いことがあったんですね、嫌なことがあったんですね。でも大丈夫、ここにはそんなものないのです! 安心していいのですよー!」
 それはこれまで掛けられたことのなかった優しい言葉、見たことのなかった明るい笑顔。
 天界にいた時の彼は嫌われ者で、そんな言葉、そんな笑顔を向けられたことなんて一度もなかった。
 だから彼は、思ってしまった。そんな彼女に対して、好感情を。
 その感情を、何というのか彼は知らない。けれど拒絶ばかりして自分の心を守り、誰一人として愛せなかった彼はこの日、確かに変わったのだ。
 セインリエスは、生まれて初めての言葉を口にする。
「……ありがとう」
 微笑めば、少女は満面の笑みを浮かべた。
「セインさん、そんな顔も出来るのですね! 私、あなたの笑った顔が好きですよー? セインさん、そんなに美人さんなんですからもっと笑った方がきっと、素敵になれると思いますっ!」
「…………」
 気が付けば、セインリエスは眠っていた。
 誰とも対立しなくて良い、誰とも戦わなくて良い。そんな温かな世界は、初めての世界は、彼の心に平穏を与えた。

  ◇

Re: TEARdrop——魂込めのフィレル外伝 ( No.3 )
日時: 2020/08/08 11:10
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: jtELVqQb)


 ティアは確かに優しかったけれど、全てを拒絶して生きてきたセインリエスには、人間への接し方が分からない。初めて抱いた好感情に戸惑い、どうすることもできず、ついつい冷たい態度を取ってしまうことが多々あった。そしてそんな自分に対し罪悪感を抱き、沈む。そんな彼を心配そうにティアは見て献身的に世話をするけれど、長年染みついた習慣は中々消えない。
 彼に一番の打撃を与えたのは、力の喪失だった。力を失い、ただ人と成り下がること。それがどんなに大きな罰なのか、彼は強く強く理解する。
「私は……無力だ」
 ある日彼は呟いた。その日、ティアは怪我をした。山菜を取ろうとして、偶然にも熊に襲われたのだ。セインリエスは病み上がりの身体で彼女を守ろうとしたけれど、彼女の方が強かった。『セインさんは下がっていてください。動物への対処は慣れてますっ!』
 目をぎらつかせる巨体に対し、一歩も引かずに凛とした鋭い目でティアは相手を睨む。小さな身体のどこにそんな力があるのだろうかと思わせるような、圧倒的な覇気がその全身から噴き出した。
「私はティア、機織りの娘ッ! 私は確かに力ない女の子かも知れないけれど! それでもッ! ここから先には通させませんッ!」
 毅然とした態度に威圧され、動物はすごすご引き下がる。彼女の腕には長いひっかき傷が残された。
 力があれば、彼女を守れたのだろうか。力があれば、あの程度の動物、霧に惑わせ無傷でどこかへ追いやることなど朝飯前だった。なのに今の彼には力がない。己の無力を改めて理解し、彼は絶望した。
 セインリエスの言葉に、自分の傷の手当てをしながら、そんなことはないですよとティアは言う。
「無力なんかじゃありません! セインさん、そんな身体で私を守ろうとしてくれましたよね? 私、それだけでも嬉しいんです!」
 良かったら、聞かせてくれませんかと彼女は言う。
「セインさん、昔は大きな力を持っていたように見えるんです。どんな冒険をしたのでしょう、どんな日々を送ったのでしょう。この村から出たことのない私は、そういった『外の世界』の話が知りたくて……」
 セインリエスは顔をしかめた。思い出したくもない、傲慢だった頃の記憶。
 そんな自分の話をしたら、彼女が自分を嫌いそうな気がして。
「……話したく、ない。放っておいてくれ」
 嫌われたくないから、彼女を突き放した。
ティアは残念そうな顔をした。
「そうですか……。なら、いつかでいいです。話してくださったら、嬉しいです」
「済まない」
「変なこと聞いてごめんなさいね。……さて! 怪我はしましたけれど美味しい野菜が採れましたし! 今日のご飯は張り切りますよーっ!」
 気分を切り替え、彼女は元気よく笑った。
 何か手伝えることはないかとセインリエスが訊ねると、怪我人は休んでいてくださいと返事が来た。あんただって怪我人じゃないかという言葉を呑み込み、セインリエスは部屋に戻る。
 力を失った自分がもどかしかった。自分を助けてくれる彼女に何か恩返しをしたかったのに、力がないから、できない。
「……人間の身体というのは、無力なのだな」
 ぽつり、呟いた。
 そんな無力な存在なのに、彼女があんなに強いのはどうしてなのだろう?

  ◇

 ティアと過ごすうち、心の傷も身体の傷も癒えていった。最初はティアに冷淡な態度を取っていたセインリエスだったけれど、そんな態度も自然と柔らかくなっていった。
 ある日、セインリエスはティアに言った。
「私は……いや、僕は、実は神様なんだ」
 言ったのはほんの気紛れ。醜い過去なんて明かすつもりはなかったけれど。
 知ってもらいたいと、思ったのだ。明るく健気な彼女に。
 ティアはにっこり笑って、そうなんですかと答えた。
 そのあっさりした返しに驚いたのはセインリエスの方だった。
「驚かないのか?」
「驚きませんよ? だってセインさん、人間離れした印象がありましたもの!」
 私、こう見えて鋭いんですよと挑戦的に彼女は笑う。
「でもセインさんは今、力をなくしてる。それで無力を嘆いてる。神様の世界で何があったのかはどうでもいいです。私にとって、目の前に倒れている人がいた、それが重要なのです。傷ついてボロボロならば、神様であれ人間であれ精霊であれ、好きに居て下さって構わない。それが私のポリシーです!」
「……地上に落とされて最初に出会った人間が、君で良かったよ」
 彼女の言葉に、そう、セインリエスは笑って返した。
 神様に出会ったら、普通の人間は彼女のような態度は取れまい。過剰に敬うか、逆に得体の知れない存在として遠ざけるか。天界にいた傲慢だった時代に人間好きな闇神の話を総合すると、人間というのはそういった態度を取るものらしい。
 しかし彼女は違った。彼女は彼にも普通の人間と同じように接し、負った大怪我を治してくれた。そんなことができる人間が、一体どれ程いるだろうか。
 偶然に感謝しつつ、天界のどこかにいる運命の女神の采配なんじゃないかと訝しみつつ。彼はそっと語りだす。
「天界というのは不思議な世界だよ。この空の遥か彼方に天界はあってね、翼持つものしかたどり着けないし、翼持つ民アシェラルでも、辿り着く前に特殊な力で跳ね返されてしまう。天界というのは選ばれし者しか行き着くことのできない特殊な世界なんだ……」
 自分の悪行には触れないように気を付けつつ、彼は闇神や戦神などから聞いた話や自分の見聞きした話をティアに聞かせた。ティアは目を輝かせて、それらの話を聞いていた。
 
  ◇

Re: TEARdrop——魂込めのフィレル外伝 ( No.4 )
日時: 2020/08/10 00:23
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: Lr4vvNmv)


 それから、一週間。
 ティアの献身的な看病のお陰で傷の癒えたセインリエスは、動き出すことを考え始めた。
 ティアと過ごし、その優しさや温かさ、明るさに触れた今ならばわかる。自分がどれほど愚かだったのか。
 雨の神ロウァルも風の神ガンダリーゼも、確かに自分のことを愛してくれていたのに。心無い冷たさで彼は、それらを遠ざけ傷つけた。
——謝らなければ。
 許してもらえるなんて、思ってはいないけれど。謝らなければと強く思った。
 そのためにはこの幸せな世界から抜け出さねばならない。そして天界に声を伝える方法を探さなければならない。やることは山積みだった。
「なぁ、ティア。今までありがとう。傷もだいぶ治ったし、僕は僕の用事を思い出したから——」
 暇を告げようとした、時。
 突如上がった悲鳴と怒号。
 そこにいたはずのティアはいなかった。そして悲鳴はティアのものだった。
 何があった、とセインリエスは玄関に向かって走っていき扉を開ける。そこには憤怒に顔をゆがませた村人たちと、恐怖に身を縮めるティアの姿があった。ティアの頬を見ると殴られた痕がある。それを見るなり、セインリエスの心に冷たい嵐が吹き荒れた。
 先頭に立っていた村人が、叫んだ。
「この魔女めっ! おれのマーヤに毒を飲ませやがって!」
「違います! 私はただ、病気に苦しむマーヤさんにお薬を調合しただけでっ!」
「嘘をつけ!」
 再び、拳がティアに迫る。ティアはその身を縮める。
 しかし、
 拳が彼女に届くことは、なかった。
「やめるんだ! ……ッ!」
 格闘の技も体術も知らない。己の力を最大の武器としてきたセインリエス、そして今は力を失ったセインリエスには相手の拳の止め方もわからない。だから。
 ただ愚直に、ティアと相手との間に、割って入った。
 代わりに強い力で殴られた胸部。彼は痛みに身を折る。涙目で相手を睨みつけた。
 相手はセインリエスを見て、馬鹿にするような顔をした。
「ほぅ、少し前から匿われている謎の青年か。その女は魔女だぞ、何故庇う?」
「……助けられた、からだ」
 傲慢だった頃にはきっと、誰かを守り、庇うことなど考えもしなかっただろう。
 しかし今は、違う。今はもう、かつての彼ではない。
 初めて感じた優しさ温かさ。力を失い気付いた自分の愚かさ。
 彼女が彼を、変えたから。
「何が起きたのかはわからない、が……。彼女を殴るなんて言語道断。僕は彼女の中にある善性を信じる」
「その女はおれの妻に、薬と偽って毒を飲ませて殺したんだぞ! そんな魔女が善人なわけあるか!」
「……違うんです!」
 必死でティアが訴えかける。
「私は確かにマーヤさんにお薬を渡したけれど! マーヤさんはお薬で死んだんじゃない、病気で死んだんです! お薬さえ飲めば何でも治るなんて、そんなわけがないのですよ! 私は私にできることをしただけで……ッ!」
「嘘をつけ! マーヤは苦しんで死んだんだ! お前のせいだ!」
「……それ以上彼女を傷つけるなら」
 セインリエスは怒りをその白い瞳に宿す。
「この私が相手になろう。お前のそれは思い込みだ。お前の言葉には論理性がない」
「魔女に毒されたかこの愚か者め!」
「彼女を魔女と呼ぶな!」
 セインリエスは怒っていた。この地上に来てから、初めて。
 その怒りは、傲慢だったあの頃とは確かに違う種類の怒り。
 彼はティアが傷つけられることを許せなかった。ティアが泣きそうになっているこの現実を許せなかった。だから。
 いくら力のないこの身であっても、彼女のためにこの男をぶっ飛ばすと、そう、心に誓った。
 彼は拳を突き出した。戦い方も何も知らない、頼りにしていた力も失ったひょろひょろの拳。当然、避けられ、反撃の拳が腹部にめり込む。セインリエスはその痛みと苦しみにえずいたがそれでも必死で立ち上がり、庇うようにティアの前に立つ。そして再びやってきた拳を受け止めようとして失敗、大きく吹っ飛ばされて近くの木に背中を強かにぶつける。感じたことのない痛みが、物理的な痛みが彼の全身を駆け巡って脳を灼く。彼の視界が真っ赤に染まった。口に感じたのはどろりとした鉄錆の味だった。それでも彼はよろよろと立ち上がり、再びティアを守るために立つ。もうやめてとティアが叫ぶが気にしない。彼の瞳は男だけを見て、爛々と光っていた。
「……青年。お前はなぜそこまでして彼女を庇う?」
 驚いたような、そして少しの恐怖が感じられる、声。
 その声にセインリエスは堂々と答える。
 今ならばもう、わかる。あの日抱いた好感情の、正体が。
 自分を守り、優しさで包み込んでくれた彼女への、思いが。
 初めて感じた、あの温かい感情が。
 傍にいて、隣にいて、ほしいと思った。離れれば温かさが失われることを恐れた。ずっとずっと一緒にいたいと思った、その感情は。離れることを思うだけで、身の引き裂かれるような心地がするこの思いは。
「決まっているだろう……私が、僕が、彼女を、」
 彼はその瞳に優しげな微笑みを浮かべ、彼女を見た。

「愛して、いるからだ」

 その瞬間。
 セインリエスの耳は何かが砕け散る音を聞いた。硝子の砕けたような澄んだ音。
 そして感じた。自分の内に、凄まじい力が湧いてくるのを。
 彼は理解した。今この瞬間、ガンダリーゼの掛けた呪いは、罰は、解かれたのだと。
 傲慢だった彼に課せられた呪いを解く唯一の方法。それは——愛を、知ること。
 彼の周囲で霧が湧き上がる。彼の目の奥で灯台のあかりが明滅する。再び彼と出会えた力は歓喜にその身を震わせた。その時の彼の姿はまさに神、もう弱い人間ではなくなった。
「名乗ろう! 僕は霧と灯台の神セインリエス! 霧で人を惑わし、灯台の光で迷える者を導く! そしてティアはそんな僕の恩人だ!」
 驚きの顔でティアがセインリエスを見た。彼女は言った。
「すごく……綺麗、です。これがセインさんの本当のお姿……」
「あくまでも人間体の、だけれども。本当の姿はただの霧だ」
 悪戯っぽく彼は笑った。
 受けたダメージはそのままだけれど。慣れ親しんだこの力があれば、好きな人を守るくらいどうってことはない。
「来るなら来なよ僕の敵! 彼女は僕がこの手で守る!」
「……ふん。何かと思ったらカミサマか! そんなのに負けるか! 村人会議で、ティアは魔女と決まったのだ。魔女は火あぶりにせねば! そしてその決定に——全村人が同意した! かかれっ!」
 相手の言葉と同時、手に手に武器を携えた村人たちが、セインリエスらに迫ってくる。怯えるティアに、大丈夫だよとセインリエスは声を掛ける。
「僕がいるから、最強の霧の神セインリエスがいるから。
 さあ愚かな村人たちよ、僕はあなたたちを惑わそう。僕とティアの進む道を、明るい灯台の光で照らすために。灯台の灯を消そうとする奴らに制裁を!」
 湧き上がった霧が村人たちを包み込む。村人たちの視界が白く染まる。戸惑い混乱する村人たち。その間を霧の刃が縦横無尽に切り裂いていく。
 巻き起こる悲鳴と怒号。ティアは耳を塞ぎ眼を閉じた。けれどそれでもセインリエスにしがみつく手は離さない。彼女は力を取り戻した彼を恐れない。
 行こうかティアと彼は言う。
「天界へ——僕の故郷へ。君を害する者のいない楽園へ。もうここにはいられない。だから。……ついて来て、くれるかい? 神の僕に、人ならざる僕に」
 そんな狭くて息苦しい場所じゃなくて、広い世界を見せてあげるよと笑う。
 ええ、と彼女が頷いた。その瞳に宿るは強い意志。
「当然です! 私は知らない世界を見てみたいし……思って、しまったのです。セインさんと一緒にいると安心できるって。そしてもっとセインさんのお役に立ってみたいって!」
「……ありがとう」
 主神アンダルシャよ、と願えば。
 地上界に堕ちた時に見えなくなった、神にしか見えぬ特殊な扉が空の向こうに見えた。
「つかまっていて。さぁ、君に広い空を見せてあげよう」
 セインリエスはティアの手を握る。二人の身体がふわりと浮いた。そのまま高く高く上がっていき、セインリエスにしか見えない天界への扉の前へ。
 ティアは初めての飛翔に歓声を上げた。
「わぁ、すごいですすごいです! セインさん、こんなこともできるのですねー!」
「そして君はもっと驚くことだろう。さぁ……ようこそ、天界へ」
 セインリエスは扉に手を触れる。すると眩い光が辺りを包み込み——

  ◇

Re: TEARdrop——魂込めのフィレル外伝 ( No.5 )
日時: 2020/08/12 15:35
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: 5TWPLANd)


 ふわり、足が何かの地面の上に着く。
 足元には雲のような大地、頭上にはどこまでも澄み渡った青空。
 天界だ。セインリエスは帰ってきた。
 ティアが、子供みたいに目をきらきらさせていた。
「わぁ、ここが天界なのですかー? とっても素敵なところですねー! セインさん、こんなところに住んでいたのですね!」
 ああ、とセインリエスは頷く。
「地上界とは全然違うだろう? ここが神々の楽園だ」
「……まさかこんな場所に、行けるなんて」
 ティアは感動に目を潤ませていた。
 と。
 不意に感じた殺気。セインリエスの背に悪寒が走る。
 はっと気付き、彼は白のマントでティアを覆い、彼女に被さるようにした。その全身に感じた凄まじい衝撃と激痛。セインリエスの視界が赤く染まる。マントに庇ったティアが悲鳴を上げた。それでも、避けることなく、かわすことなく攻撃を受け、そして腕の中の愛する人を守る。今の彼ならば避けることくらい簡単だけれど、これは避けてはならない攻撃だから。——受けることは贖罪だから。
 明滅する視界。痛みに目に映る全てが赤く染まる。その中で、耳は何度も聞いた声をとらえる。
 絶対零度の声が、頭上から響き渡る。
「……愚弟。何故、戻ってきたんだ」
 緑の髪に青い瞳。全身に風を纏わせたその神は——風の神、ガンダリーゼ。
 彼は不思議そうに首をかしげる。
「そして。何故身を守らず全て受けたんだい? そこの人間の娘を守ろうとしたのだろうけど、今お前が天界にいるということは力が戻ったということのはず。それだけの力があるのだから、自分も娘もどちらも守ることなど余裕だろうに」
 不可解だ、と風神は言う。
 謝りたかったんだ、とセインリエスは答えた。
「地上に落とされて、彼女に救われて……私は、否、僕は変わった。僕は気づいたんだ、あの日、自分がどれほど愚かだったのか。だから……それだけで許されるわけがないけれど、謝罪がしたくて。そして罰として与えられた攻撃を避けたら、『僕』はまた『私』になってしまうような気がして」
 その白の瞳の奥。かつてあった氷の傲慢さは融け去り、今は優しい水が静かにたゆたっている。もう彼は傲慢さで凍り付いてはいない。
 それを読み取ったのだろう、ガンダリーゼはふむと頷いた。
 セインリエスはマントを広げ、内に庇ったティアをそっと前に押し出した。困惑した顔のティアに大丈夫だよと笑いかけ、兄に、彼女が僕を変えたんだと紹介する。先ほど負わされた傷はもう閉じていた。人間の時とは違い、神の身体は治癒が速い。
「僕は落ちて、救われて、変わった。彼女はこんな僕にも優しさをくれた、温かさをくれた。いくら僕が彼女を拒絶したって、諦めずに接してくれた。そして僕は傲慢だったこと、そして自分の愚かさに気付いたんだ」
 説明するよと彼はティアの方を向く。
「僕はかつて、傲慢だった。その傲慢さで一番上の兄さんを深く傷つけてしまった。そしてそれに怒った二番目の兄さんは、罰として僕を地上界に叩き落し、ただの人間として生きるようにした。そして君に救われたんだ」
 兄さんは何処、謝りたいんだと彼はガンダリーゼに問う。
 ガンダリーゼは難しい顔をした。もしかしてあの後何かあったのだろうかとセインリエスが不安になっていると、キィと車輪のきしむ音と共に、声がした。

「僕はここに……いる、よ?」

 よく戻って来たね、としっとりとした雨の声が笑う。
「……兄上」
 振り向けば、そこには懐かしい姿。
 けれど、何かが違う、何かがおかしい。
「兄上、足が……」
「これ? あはは……君に、やられたんだよ」
 彼は車輪の付いた椅子に座っていた。そしてその右足は、途中で切断されている。
 神だって怪我を負うことがある。神だって身体欠損はある。強い神は欠損した部分さえも圧倒的回復力で修復できるのだが、弱い神である雨のロウァルにはそれがない。欠損したらそれでおしまい、なのだ。
 変わってしまった兄を見、申し訳なさと衝撃に立ち尽くすセインリエス。そんな彼に、そっとロウァルが声を掛けた。
「大丈夫、気にしていないよ。僕は君が帰ってきてくれただけで嬉しいんだ」
「兄上……どうして……そんな僕に、そんな怪我を負わせた僕に、優しくしてくれるんですか」
「当たり前じゃないか。君がどんな神様でもね、僕は君の兄さんなんだから」
「僕は……愚かだった……」
 気付けば伝い落ちていた涙。その涙を拭おうとロウァルが手を伸ばすが、自力で歩けなくなった彼にそれはできない。ロウァルは手を伸ばし、届かないと分かると悲しそうな顔をした。
 それを見たティアが、いつも持っているハンカチでセインリエスの涙を拭う。
「良かったですね、仲直りできて! 今のセインさん、これまでで一番幸せそうですー!」
 そんな様子を見て、ガンダリーゼが溜め息をついた。
「……わかった、和解する。ああ、でも俺はセインがやったこと、許すつもりはないからね? これはこれ、あれはあれ。今のセインは柔らかくなったけれど、過去のあの傲慢さも決して忘れはしない」
 兄さんは優しすぎ、とロウァルに言えば、ロウァルはそうかなぁと困ったように笑う。
 セインリエス、ロウァル、ガンダリーゼ。かつて一度はセインリエス自身が破った絆だけれど。今、それはこうして元に戻って。否、元以上に素晴らしい関係になって。
 傲慢さで心を閉ざしていた頃には気付かなかった、気付けなかったその幸せ。それを感じ、セインリエスは震えていた。
 ロウァルの穏やかで優しい笑顔、一緒にいると安心する笑顔。あれをどうして疎ましく思ったのか。ガンダリーゼの強さに憧れた。けれど強さ以外の彼もあるのに、どうしてそれを否定しようとしたのか。
 力が強さだと純粋に思っていた。力のない存在は強くなんかないと。けれど今ならわかる。力が力のすべてではないのだと。ロウァルのあの優しさもまた、強さであるのだと。なのに、ずっとそれがわからないでいて。
 心に張った凍れる霧が、全てを遠ざけ傷つけた。
 それを融かしたのは、心優しき少女の純粋なる善意。
「ティア……」
 彼は愛する少女の名を呼ぶ。
 その名を愛おしいと思った。その姿をその声を彼女の全てを、とても大切なものだと思った。
「君は僕の灯台だよ、霧と灯台の神を導く灯り。君がいたから僕は変われた。君が助けてくれたから……」
「……私だって。セインさんに出会えて良かったです。私、知っているんですから。セインさんが本当は優しいこと。セインさん、ボロボロの身体で私を守ろうとしてくれましたよねー? 私、ちゃんと覚えているんですから!」
 セインリエスの思いは彼女に届き、彼女もまた彼に応えた。
 霧の神セインリエスは今、人生の中で一番幸せだった。
「そう言えば」
 ふっとロウァルが笑う。
「まだ自己紹介していなかったよね、ティアさん。僕はロウァル、セインの兄だよ。君がセインを変えてくれたんだね。……兄として礼を言うよ、ありがとう」
 ティアはぶんぶんと一生懸命首を振る。
「いえいえとんでもないですよー! 私はただ、倒れている人を放っておけなかっただけなのです! 神様にお礼を言われるなんて……恐れ多いです!」
「僕も神様なんだけどね、ティア」
 セインリエスが悪戯っぽく笑うと、
 ティアは素直で純粋な瞳をして、セインリエスに言った。
「……だってセインさんはロウァルさまよりも私に近い方じゃないですかー。セインさんからの『ありがとう』はロウァルさまからのとは違うのです。もっと近いから……恐れ多いっていうのじゃなくって、温かいって感じがしま——」
 言い掛けて。
 不意に、彼女は胸を押さえた。
 その顔が苦しみにゆがむ。
 純粋な輝きを宿した青い瞳が痛みに塗り潰される。その目がぎゅっと閉じられた。
「セイン、さん……」

Re: TEARdrop——魂込めのフィレル外伝 ( No.6 )
日時: 2020/08/15 19:21
名前: 流沢藍蓮 ◆50xkBNHT6. (ID: Bf..vpS5)


 苦しげな息を吐き、彼女は倒れた。
 あんなに強かった彼女が。
 果敢にも、あの大熊からセインリエスを守った彼女が。
 凛として毅然としていて、弱さなんて見せたことのなかった彼女が。
 倒れた。
「——ティアッ!」
 叫び、顔を真っ青にしてセインリエスは彼女を抱き上げる。抱き上げた彼女は異様に軽く、その息は荒く速かった。
「診せてみて」
 厳しい顔で、ロウァルが車輪付きの椅子を懸命に動かす。その動きに気付いたガンダリーゼが椅子を押してやり、ティアの顔がよく見える位置まで導いた。
 雨の神ロウァルは身体が弱い。だからこそ、医学に興味や関心があり、知識もある。
 神々だって怪我するし死ぬし病気もする。神々は老いず力を持つというだけで、それ以外は通常の人間と基本的に変わらない。
「……ティア。君にやりたいことはあるかい?」
 そっとロウァルが問う。
 ティアは苦しげな息の中、一生懸命に言葉を紡いだ。
「見てみたい……です。いつかお話で聞いた……極北の地の、極光を。空に輝く……光のカーテン、を……」
「ならばすぐに向かわなくてはね……。もう時間がない」
「どういうことです?」
 不安を顔に滲ませセインリエスは問う。病魔だよとロウァルが答えた。
「いつからかはわからない。でも彼女の中に確実に潜んでいた病魔が牙を剥いた。この病魔は急速に罹った人間の命を奪う。保って……三か月かそこらかな。彼女はもう長くは生きられない」
 運命というのは残酷だね、とロウァルの言葉が聞こえたが、それは不明瞭なノイズのようにセインリエスの耳を雑に通っていくだけ。
 セインリエスの視界が真っ暗になる。彼の全身から霧が噴き出し彼を覆う。彼を霧の彼方へ連れ去ろうとする。絶望し、抑えられなくなった力が、最強と呼ばれた力が、混乱して訳のわからなくなった彼を守るために、彼からすべてを消そうとする、彼を破壊しようとする。
 ようやく掴んだ幸せなのに、それは今、目の前で崩れていこうとしている。
 ようやく兄と和解し愛しの彼女と両想いになり、温かで優しい恋の日々が、始まると思ったのに。
 突然の、あまりに突然の余命宣告は、セインリエスの心を折った。
 放心しながらもセインリエスは思い出す。いつか、人間好きの闇の神が言っていたこと。
『オレは人間を愛するが、特定の人間を愛しすぎることはない。神と人間、寿命が違うからどちらが先に死ぬかは明白。もしもそうなったら、遺された神は愛した人間の死を抱えながら永遠を生きることになる。それはきっと、死ぬより辛いことだから』
 その意味がわかりかけてきた。この先、いくらセインリエスが足掻こうと、ティアは確実に死ぬ。それはどうやっても抗えない運命で。人間を永遠にする方法などありはしないから。
 そしてそうなったら……灯台を失った船はどうすれば良いと言うのだろう。自殺するための岩礁も神々の掟によって撤去され、闇から光へと導くための灯台も失って。明けぬ夜の中、永遠に孤独の海をさまようことになるのか。
——そんなのは、嫌だ。
 その恐怖に、思わず震えた時。
 愛しい彼女の声が、した。
「セインさん……そちらに行っちゃ、駄目です……」
 その声にセインリエスははっとする。彼を呑み込もうと渦巻いていた霧が急速に晴れる。灯台に暗い夜の海は照らされて、進むべき道がはっきりとなる。
 ティアは、言う。
「私……見たいんです。死ぬ前に……話で聞いた極光を」
 セインさん、あなたが連れていってくれますかと彼女は問う。
 ああ、とセインリエスは頷いて、彼女の白い手を握った。
「僕が、連れていく。僕が、君に見せるよ。約束するから……生きて」
 ふるふると目蓋が動き、彼女の青玉石の目が彼を見た。ええ、と彼女は頷いた。
「生きますよ……。私、まだ見たいもの、知りたいこと……たくさん、あるんですから……」
 じゃあ、とセインリエスは頷き、彼女を背負い兄たちを見た。
「僕はこれでお暇します。でもまた必ず戻って来るから。……また会いましょう」
 挨拶をし、
 セインリエスは空中に手を伸ばす。神々の扉が目の前に現れる。それに手を触れれば、
 光。溢れて。
 天の世界が遠くなる。遥か彼方に消えていく。
 次の瞬間、肌に感じたのは地上の風。ああ、戻ってきた。
 しかし天界と地上界では時の流れが違う。ほんの少しいただけなのに、初春だった地上はすっかり秋になっていた。降り立った場所こそ同じだったが……。
 そしてこの場所に、ティアの居場所はない。魔女扱いされた彼女に帰る場所はなくなった。だから、
「北を、目指そう」
 進むしかない。
 ぽつり、セインリエスは呟いた。
 彼女は死ぬのだ、先に死ぬのだ。それならば、せめて。
 最期の願いくらいは、叶えてやりたいと思った。これまで彼女に貰った優しさや温かさ。返したいと思っていたから。
「行くよ、ティア。極北の地まではまだあるけれど、大丈夫、僕の力を使えば」
 特殊な扉を開いて一瞬で飛ぶような無粋はしない。一歩一歩自分の足で歩いて、確実にその地にたどりつく。そうして見た極光にこそ、意味があると感じるから。
 それにティアは言うのだ。
「私……他の世界も、見てみたいです……」
 彼女がそう願うのならば、その願いを叶えよう。
 セインリエスは両手を組み合わせ力を解き放つ。するとどこからか狼の鳴き声が。
 もくもくと渦巻く霧が、三頭の狼を作りだした。セインリエスは霧を凍らせて作ったそりに乗り、その腕にティアを抱きかかえ、霧の狼に先導されながらも凍りついた大地を駆ける。霧の狼はセインリエスのシンボルだ。神話の中で、彼は霧の狼の駆るそりに乗り、各地を巡っては霧で閉ざし、同時に迷える者を導くのだ。また彼は霧に包まれる帆船として描かれることもある。実体のない霧である彼を呼び表す言葉は多い。
 セインリエスの腕でティアが、「やっぱりあなたは神様なのですね……」と感動していた。霧のそりに乗ることなんて、普通の人間では絶対にあり得ない。外の世界に憧れていた彼女は、病に蝕まれ苦しそうにしながらも、それでもその瞳には純粋な好奇心を輝かせていた。
 霧の狼はおおんと吼える。見上げた夜空には北極星が瞬く。
 そして、二人の静かな旅は始まった。

  ◇


Page:1 2 3



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。