複雑・ファジー小説

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指先のアンチテーゼ
日時: 2020/11/08 14:05
名前: シメサーバー (ID: 3eop5mZb)

はじめましての方ははじめまして、シメサーバーです。全然小説なんて書いたこと無い読み専野郎です。
タイトルからもうよく分かりませんが、せっかく始めるからには楽しく書きたいです。定期的な更新はできませんが頑張ります。

【注意】
▶流血表現、暴力表現があるかもしれないです。かもしれない運転で本当に申し訳ないのですが...

──あらすじ──
かつて全ての生き物は共存していた。だが突如世界の人口は半分以下になり、その原因は未だ解明されていない。誰が人々を殺めたのか、いなくなった人々はどうなったのか、原因不明の事件を巡って小さな争いが長きに渡って行われた。争いが起こるにつれて世界はバラバラになってしまった。
世界は【アダマス】【サフィロス】【コランダム】【スマラカタ】【デュアル】の五つに別れてしまう......

──登場人物──

【ダイヤナ】▶女( 19 )
アダマスの第二王女。姉からひどい扱いを受け、こんな生活から逃げ出したいと思っている。心優しく温厚だが......
癖のある長い銀髪と金色の瞳が特徴。

【ベリル】▶女( 25 )
アダマスの王女。ダイヤナの姉。ダイヤナとは違い、髪はストレート。
───────────────────────────────────
【サフィリア】▶男( 18 )
サフィロスの王位継承者。だが王位を継ぐ気は全く無い。毎晩毎晩周りの目を盗んでは城から逃げ出している。飽きっぽくて気分屋。短く切った青みがかった黒髪と紺碧の瞳が特徴。
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【ルベウス】▶?( ? )
コランダムの下町で働く人形師。無機物に生命を宿す能力を持っている。嘘をつくのが得意で、何を考えているか分からない。肩の辺りまで伸びた赤毛と赤瞳が特徴。
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【メラル】▶男( 16 )
スマラカタの時計商人。祖父の時計店を受け継ぎ、若いうちから時計作りをしている。好奇心旺盛で、どこか抜けている。深みのある緑の髪とエメラルドグリーンの瞳が特徴。
───────────────────────────────────
【アレキ】▶男( 17 )
デュアルの午前を仕切る王子。ライトの双子の兄。活発でライトを振り回すこともしばしば。体が先に動く感覚派。

【ライト】▶女( 17 )
デュアルの午後を仕切る姫。アレキの双子の妹。のんびりしているが、常に頭を使って動く頭脳派。


I『 清浄無垢は程遠く 』>>1


スレ立て日▶ 11 / 7

清浄無垢は程遠く ( No.1 )
日時: 2020/11/08 13:18
名前: シメサーバー (ID: 3eop5mZb)

【清浄無垢は程遠く】*ダイヤナ

できれば、覚めない夢に浸っておとぎ話のように泡になって消えてしまいたい。

時計の秒針が小さく音を立てて一周するごとに、嫌な気持ちは比例して増えていく。無駄に着飾った服で部屋のベッドで横たわりながら、午後に行われる戴冠式の事ばかりが脳を埋め尽くしていった。
鮮やかな布で彩られた姉は、大層綺麗なのだろう。なんて悠長な事を考えてみたものの、気分は全く晴れない。自分の立場はいつも二番目で、姉にはかなわなくて。神に願ったって涙を流したって、こんな日々が変わることはない。神様なんていないんだ。
それが今日、公に示されるのだ。私は所詮引き立て役の醜い女だ。

「 ダイヤナ起きているんでしょう。早く出てきなさい 」
「 ……はい、御姉様 」

少し乱暴なノックが三回、焦らせるようにだだっ広い部屋に響く。姉の声を聞いたら、勝手に体がびくりと震えた。こうやって防御することしかできない。起きたくなかった。今日が来るのを拒んでいた。でもそれは無駄な抵抗で、時に抗う事はできない。いっそ、世界中の時計を壊して時を止めてしまいたいとさえ思った。
嗚呼、姉が王女になったら私はもっと酷い扱いを受けるのかな。優位に立った彼女は何をするか分からない。

「 おはようございます、御姉様 」
「 ご機嫌よろしゅう。ふふ、相変わらず酷い顔ねぇ。私の妹とは思えなくってよ 」

嘲笑うかのように高らかに笑うその顔は、自分の顔より見ただろう。
私は妹だから。姉より下なんだから。ましてや王家の人間、我慢しなくちゃいけない、なんて誰が決めたんだ。でもそんなこと産まれたときから決まっていたのだ。きっと。

「 お召し物よくお似合いになっていらっしゃいます 」
「 そうでしょう。アダマスで一番の職人に仕立ててもらったんですもの、当然だわ。貴女はこのドレスにさえも劣っているけどね 」

そんな無機物と比べられたって。でも、色鮮やかなドレスの裾をひらひらと揺らす姿は紛れもなく美そのものだった。真っ白な肌に映えるシルクの艶。悔しいくらいに美しい。
貴女用のやつはあっち、と細い指が指す先にはやけに質素なドレスが用意されていた。当たり前でしょう、主役は私、貴女は引き立て役。隣に置いておくだけのオブジェ。

「 まぁ、せいぜい頑張って頂戴。それか惨めに指でも咥えてなさい 」

また、また、また、こいつは私を笑った。
ああ、この目の前の生き物を、どうにかして殺せないものか。こいつが、血にまみれながら泣き叫ぶ様を見ればこの心は落ち着くだろうか。そう考えない日は無い。こんなだから、私は清浄無垢には程遠い。





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