複雑・ファジー小説

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hallo 1話
日時: 2020/12/31 21:31
名前: ささみ (ID: Rl7BkXtL)

はじめまして!
初の投稿、そして書くのも始めてです。楽しく読んでもらえればうれしいです!

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——真っ赤な世界が、広がっていた。
ところどころで上がる黒煙。誰かの悲鳴。
赤い、赤い炎、
紅い、紅い血。

——そんな世界で少女は一人、ただ、走っていた。

ルチカ・ハロルド
それがこの世界に生まれ落ちた彼女に与えられた名前である
橙色に近い、美しい朱色の髪に、紅の瞳。
‘‘その世界‘‘ではごくありきたりな、何の特徴もない少女である。
——ただ、普通の、花を愛でるのが好きなそんな少女だ

あの日が来るまでは


「おかあさん、おかあさんっ!」
うららかな昼下がり、ふわりと髪をなびかせて、少女が走ってゆく
ここは、小さな町のはずれ、森のそばの小さな花畑だ
「ルチカったら、そんなに走ったら危ないでしょ」
走る少女にそういうのは彼女の母、ヒルデ・ハロルドだ
「ねえっ みて!」
駆け寄る少女がその手を開く
そこには小さな白い花があった。
「まあ、かわいいお花ね」
ヒルデが柔らかく微笑んだ
「ルチカ、おかあさんにお花の飾り作ってあげる!」
そういってまた駆け出す少女
そんな後ろ姿に苦笑してヒルデはすぐそばの木陰に座った
そこには一緒に来ていたもう一人の少年の姿がある
「ホントあのやんちゃ娘は仕方のない子なんだから、ね?リアンもそう思わない?」
リアンと呼ばれた少年はやわらかく微笑んだ
「そこがルチカのいいところですよ」
リアンはルチカと同じ10歳の少年で、ルチカの幼馴染でもある
「今日は来てくれて本当にありがとうね。あの子が急にピクニックなんかしたいっていうものだから… 体調は大丈夫?」
「ええ、最近はなんだか調子が良くて、お医者様にももう薬はいらないだろうって」
「そう、それはよかった。きっとルチカも喜ぶ…」
「あーー!リアンばっかりずるい!!私もおかあさんとしゃべるのっ!」
二人の楽しそうな様子を見てルチカが思わず口をはさむ
ルチカは急いで二人のもとに駆け寄ると手に持っていたものを差し出す
「はい!さっきのお花で作ったの。おかあさんにあげる!」
それは先程の白い花を使った、ヘッドドレスだった
「わぁ、ルチカすごい!!」
それを見てリアンが言う
「ふふーん、すごいでしょう。」
ルチカがうれしそうに言う。
「つけてあげる!」
ルチカはそう言うと懐からリボンを取り出しヒルデの髪にその飾りをつけた
「ホントにかわいい。ありがとう、ルチカ。」
ヒルデがお礼を言うと、ルチカは照れたように笑った。そしてくるりと二人に背を向けると
「あっちにもきれいなお花が咲いていたの、とってくるね」
恥ずかしいのか、少し早口でそういうとルチカは走って行ってしまった
「かわいいんだから…」
ヒルデがそういうのも聞こえずに。

「わぁっ」
花畑に着き、ルチカは思わず声を上げた
そこには一面、黄色い花が絨毯のように咲き乱れていた
その場に座り、その花を摘もうとしたその手が、止まった。
「…?」
お互いを主張するような黄色い花々の中に、何か青いモノがいた。
花をかき分け、それを見ようと顔を近づける
その時、
「わっ!」
その何かが勢いよく飛び出した
それは、美しい青い魚だった
目を、奪われる
それは、まるで魔性の力を持っているかのように、美しく輝いていた
思わずつかもうと手を伸ばす
しかし、その魚はルチカの手をするりとすり抜け、まるで泳ぐように行ってしまう
——追わなければいけない
唐突に、そう思った。
「あっ、待って!」
ルチカは立ち上がるとその魚を追って走り出した。
まっすぐ、目の前に広がる森へ向かって 
足元の花畑などもう、頭の片隅にもなかった。
——そのことにルチカ自身も気づくことはなかった。

「——ルチカ?」
ヒルデが顔を上げた時には、少女の姿はどこにもなかった。
「っ!」
思わず立ち上がり周りを見渡す
しかし、いくら探せどふわりと揺れるスカートも、明るい朱髪もどこにもない





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