複雑・ファジー小説

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温もりを知りたくて
日時: 2021/06/27 17:51
名前: 飽き飽きさん (ID: SkZASf/Y)

私は、何度も問いかけた
これが本当に正しかったのか
もっと他のやり方があったんじゃないのかと
けれど、私がいくら問いかけても
一度として答えるものはいなかった
ただ、虚しさが際立つだけだった



「もう、か」
 時計の針が一七時を指した頃、町中に童謡の「故郷」が流れ出した
 俺はそれを聞きたがら、深いため息を出していた
「そんな暗い顔してちゃダメですよ〜
 未来はまだまだあるんですから」
 隣に立つ少女鈴木ことねは、いつものようににこにこしながら言ったものだ
「そうは言っても
 明日から仕事ってのはやっぱりきついもんだろ」
 「そ ・ れ ・ で ・ も ・ です !
 何事も前向きに捉えるのが大事ですよ
 そしたら何かと楽になりますって」
 「そんなもんかね」
 「そんなもんです!」
 そしてまた、微笑んだ
 こいつはそんなふうに、いつも楽しそうにしている
 俺が落ち込んでいる時も
 逃げたしたい時も
 どんな時でも
 その笑顔で励ましてくた
 明るくさせてくれた
 だから俺は、そんな彼女に、その笑顔に、何度も救われている
「これからどうする」
「そうですね〜
 じゃあ気分が落ち込んでる君のためにも海でも行きますか」
「そうだな。
 気分転換に行ってみるか」
俺たちはゆっくり海を目指した




「すっかり暗くなっちゃいましたね」
 「ああ、そうだな」
 「でも、そのおかげでお月様と海のセットで見れますね」
 ことねの言う通り月と海が互いに向かい合う光景は
 なんとも言えない感動を与えた
 「こういうふうな時間がずっと続けば良いんだろうけどな」
 
 「そうもいきませんよ。
 きついことあっての幸せですから、
 今この瞬間こそがとても大切なんですよ」
 「欲がないな」
 「そんなことありませんよ
 私ほど欲張りな人なんていませんから」
 そう言って彼女はまた微笑んだ



それから俺たちは、色々な話しながら海を見ていた
「変わらないな」とか「そんなことないですよ」とか
 そんな取りとめのないことを沢山、沢山話していた
「もうすぐで今日が終わりますね」
 急に彼女が言い出した
 その表情は、どこか寂しげであった
 「どうしたんだ、暗い顔して。
 お前らしくないぞ」
 「そう……ですよね。らしくないですよね」
 茶化してはみたが彼女の顔は、晴れることは無い
 「私、ずっと今があればいいって思ってたんです
 今この瞬間が幸せならそれでよかったんです」
 彼女は、俺から顔を逸らし暗い海の方を見た
 「だから、永遠なんて少しもほしくなかった」
彼女の声は潤んでいた
 「でも、私……ダメですね……」
 彼女の肩は震えていた
 「私は、……鈴木ことねは、……この時間がもっともっと欲しい。もっと、ずっと、あなたと一緒にいたいんです……」
 俺は我慢が出来なくなった
 〘 それなら一緒にいたらいいじゃないか!
 明日も明後日もずっとずっと!だから……だからお前が……そんな顔する必要ないだろう!!〙
 俺は声を荒らげた
 荒らげてしまった
 その先を聞きたくなくて
 その先を言わせたくなくて
 それを、きずかせたくなくて
 
 「でも、それじゃダメなんです…… どれだけ一緒にいたくても……どれだけ永遠を望んでも……明日は来ないんですから」
 彼女は、こちらをゆっくりと振り返った
 「もう目を覚ましてください……
 ここは、……〘 あなたのいるべき所じゃないんです〙」
 彼女は、涙を流していた


俺は、鈴木ことねが好きだった
美人で、大人びいていて、少し恥ずかしがり屋で、でも、根はしっかりと持ってて、お節介で、でもそれが有難くて、
 いつも笑顔で励ましてくれた
 今までずっと隣にいてくれた
 あいつの事が、……鈴木ことねが好きだから
 だから、俺は忘れられなかったんだ
 あいつの事を忘れたくなかったのだ
 
 だから……だからおれは、君といたくて
 昔みたいに、笑顔で、楽しく、
 一緒にいたかった
 
 
 ‪ஐ‬


ジリリリリリリリリリリン
 朝の6時の目覚ましが夢から俺を引きづり出す
 俺は涙をぬぐいながら、
 あいつの言葉どおり前を向くのだ
 


 解説】
 彼女は、既に死んでいました
そんな現実を受け入れられない主人公が
 睡眠薬を沢山飲み自殺を試みます
 その夢の中で彼女と出会い物語がスタート
 そのまま幸せにすすむと死ぬ予定でした
 けれど、そんな主人公を死なせたくなくて彼女は別れを選びます
 その気持ちを理解し、主人公は前を向くというお話です
 分かりずらく申し訳ありません
 以上解説でした
 


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