複雑・ファジー小説
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- か く し ご と。
- 日時: 2021/10/10 15:21
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
かくしごと。
ずっと隠してたこと。
友達にも、親にも、自分にも。
隠してたこと。
か く し ご と。
- Re: か く し ご と。 ( No.2 )
- 日時: 2021/10/11 19:18
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
「おはよー」
そんな風に挨拶をしてくれるのは愛すべき友人、中野萌。
「おはよ。メグ。」
メグに挨拶をして一時間目の準備をする。
適当に授業を受ける。
そんな風に適当に生きていたから、いけないのかもしれない。
「心臓病…」
胸の痛みを感じて行った病院で、私は宣言された。
「余命一年」
声も出なかった。
信じられなかった。
嘘。自分がそんな風になる訳ない。
全部嘘…
か く しご と。
- Re: か く し ご と。 ( No.3 )
- 日時: 2021/10/11 19:25
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
2 ひとつめの隠しごと
「どしたの?なる。最近元気ないじゃん。なるらしくないよー?」
何度目かわからないため息をこぼしつつも
「ん?なんでもない。」
ととぼけたように言う。
また、嘘ついちゃった。
隠しちゃった。
「…そっか。」
バレてないよね…。
大丈夫。大丈夫。大丈夫…
- Re: か く し ご と。 ( No.4 )
- 日時: 2021/10/12 19:39
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
3ふたつめの隠しごと
「鳴海。ちょっと来て。」
お母さんに呼ばれて、リビングに向かう。
「高校の話なんだけど。もう二年生でしょう。ちゃんと考えなきゃ。」
高校…
どうせ無理。
高校なんて。
行けっこない。
だって、私は、あと一年しか生きれない。
勉強だって無駄。
全部、無駄。
「高校なんてどうだっていいよ。」
「何言ってるの?鳴海。最近変よ?どうしたの?」
「……ほっといて」
どうだっていい。
隠したって問題ない。
どうせすぐ、死ぬんだし。
- Re: か く し ご と。 ( No.5 )
- 日時: 2021/10/13 17:44
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
4みっつめの隠しごと
苦しい…
余命宣告から10ヶ月が立った。
3年生の冬、勉強もまともにしてこなっかった私に、最後と思われるイベントが来た。
「楽しみだねー修学旅行!」
メグが楽しそうに言うのを聴きながら飛行機に乗る。
今日は朝から心臓が痛い。
頭もお腹も痛いし、体がだるい。
でもなんでもない。
関係ない。楽しもう。
自分に嘘をついたまま、私は次の日を迎えた。
- Re: か く し ご と。 ( No.6 )
- 日時: 2021/10/13 21:46
- 名前: なっちゃん (ID: wxZ0SJGK)
4 私の嘘
私は嘘をついてきた。
隠してきた。
友達にも、親にも、自分にも。
隠してきたことを後悔したのは、今日が初めて。
「なる…なんで教えてくれなかったの…。」
「鳴海。どうして…」
そんな風に泣くメグとお母さんを見て、私は知った。
間違ってた。私は、ずっと。
なんで言わなかったの。
なんで言えなかったの。
泣き噦るメグたちを見たかったわけじゃない。
戻して。
時間を、戻して。
願ったって現実はそう上手くはいかない。
泣き止まない二人を空から見ながら、思った。
私は。
か く し ご と。
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