複雑・ファジー小説
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- リンゴ探し
- 日時: 2021/11/16 14:45
- 名前: t (ID: yd06hlbJ)
松木路郎は、公園の隅の方にあるベンチに座っていた。空は曇り空。やや涼しい気温の公園で、静かに週刊誌のページをめくる。買ったばかりの週刊誌ではない。その辺に落ちていた、少し薄汚れた週刊誌だ。だが、松木はラッキーと思ってこの週刊誌を拾っていた。昨日発売されたばかりの新刊だったからだ。
ページをめくっていくと、芸能情報が圧倒的割合を占めていた。女優のオフの姿、密会、歌手の散歩の様子。なるほど、と松木は心の中でつぶやいた。時事問題のページに大半の時間を費やし、ベンチの上で20分ほどくつろいだ。
午後4時。週刊誌をぐるぐる丸め、右手に持つと公園を出た。森林が続く歩道をだらだら歩く。目的地まで、徒歩7分だ。その道中松木は、今晩の夕飯のことについて考えていた。
松木が目的地に着くと、その建物に入るためのカギをズボンの左ポケットから取り出した。カギを開けると、ドアを開き、中に入った。
そこは、松木が経営する探偵事務所だ。少し広めの間取りだが、本棚や資料で場所を取り、松木にしてみれば窮屈であった。白の壁、床、黒で統一された椅子や机の家具を見る限り、一見モデルルームのような印象を受ける部屋中だった。
- Re: リンゴ探し ( No.1 )
- 日時: 2022/01/18 16:19
- 名前: t (ID: 2iwiRS5v)
松木は自分の椅子に腰掛けると、テレビを点けた。午後4時30分。チャンネルではドラマの再放送をやっていた。刑事モノだ。5時に終わるので、現在、物語は佳境を迎えていた。主人公の年上系刑事が、閑散とした海の近くの断崖で、複数の人数を集めて、謎解きをしている様子だ。
「・・・つまり、犯人は、あなたです!」
刑事に指名された人が、否定した。
「私は犯人じゃない!証拠はあるのか!」
「証拠はある!」
松木はしばらくそのドラマを見た。
翌朝。松木は布団から起きると、着替え、バナナを食べた。テレビを見ながら食べる。昨日ドラマを見ていたときに座っていた椅子に座っている。「今日の東京の天気は、晴れです」
それを聞くと、松木は若干喜んだ。
朝9時。松木は近所のスーパーに行った。中に入り、商品が陳列されている棚を横切り、壁にあるドアを開ける。
「おはようございます!」
松木が言うと、その部屋にいる数人が挨拶を返した。そして制服に着替えると、松木はレジに行き、仕事を始めた。
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