複雑・ファジー小説
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- 異能ト懺悔
- 日時: 2022/01/22 12:30
- 名前: ぁいぅえぉ (ID: lmEZUI7z)
皆さんこんにちは!あ行です!
はじめての小説を書こうかなって思いました。
不定期投稿の可能性大…w
この話の前提として⤵︎
異能:特殊能力
異怪:異能力の怪物。詳細は不明。本能的に人間を殺す。強い
第0話 彼の過去 >>01
第1話 血の駅 >>02
2022 1/22 start
- Re: 異能ト懺悔 ( No.1 )
- 日時: 2022/01/22 12:24
- 名前: あ行(略) (ID: lmEZUI7z)
「なんで……!!!なんで助けたの!!」
枯れるような声で叫ぶ幸の目には薄らと涙が浮かんでいた
「なんでかしらね…体が勝手に動いてたのよ」
彼女は肩で息をしながら吐血した。彼女の目に映る幸は段々と薄れていく
「ああ…僕が…もっともっと強ければ…」
自分が死にたくなるほど嫌いになり、自己嫌悪に陥った。無力の自分が憎い。
「ねえ…約束して」
そんな幸を察したのか彼女は目をそっと閉じて、弱々しく幸の手を握った。幸は黙ったまま彼女の手を両手で握り返した。彼女の優しい温度はもう感じれず、冷たい手が僕の手を凍らせる
「私の人生の分まで生きて…幸せになって…」
血と汗でびっしょりとなった幸の背中は絶望感で更に重くなった。
「…僕の……幸せは!!!君と2人で笑い合って喧嘩して、時には泣き合って、そんな毎日が……1番の幸せなんだよ!!!」
感情的になった声は掠れていた。涙で視界がぼやけているけど、彼女の表情はしっかりと見えた。悲しいような幸せのようなそんな顔で僕に笑いかけて、そのまま手の力が抜けた
「幸……彼女がつけてくれた名前は…あまりにも僕には似合わないや…」
幸はそう呟くて、手で涙を拭った。彼女の名前が罪悪感で覆われた。
「じゃあ、貴方に似合う名前をつけてあげようかしら?」
急に話しかけられて幸は驚きながら振り返ると教会の神樹の少女がいた。綺麗な黒い髪を靡かせながら月を背に微笑んだ。
「君が全てなのか?この前言った言葉が今日のことなのか?」
「始まりは私よ。でも“これ”は貴方ね」
彼女は幸に近づきながら冷たくそう言った
「はは…バカみたいだ…」
絶望に満ちた瞳は月明かりに照らされても真っ暗なままだ。
「断罪人の名として、貴方の罪の名として____貴方の名前として、紅」
「紅…か。はは、今の”俺“にぴったりだな」
「説明はこの前したでしょう?もう要件をすんだわ」
彼女はボロボロになった扉を蹴り壊し、外に出た
「待てよ、俺はお前を永遠に許さない。例え首だけになっても食らいついてやる」
「へえ…面白い。私は八重。貴方は私が育てるわ。いらっしゃい、異能軍へ。歓迎してあげるわ。」
彼女はそう呟いて、どこかへと消えてしまった
- Re: 異能ト懺悔 ( No.2 )
- 日時: 2022/01/22 12:27
- 名前: あ行 (ID: lmEZUI7z)
以前まで溢れかえっていた人も、皆血の海を流しながら全員倒れん込んでいる。
誰なのかわからないほどグシャグシャになっている人もいるし、喉を潰されただけの人もいる。どちらにせよ、全員死んでいることには間違えはない。死体を踏まないようになんとか歩いていく。たまに死体と目が合うと、喉が詰まるような感覚になって、忽ち目を逸らす。電車は扉を開いたままになっていて、ホーム内と同じように血塗れになっている。
____グシャ______グシャ___
静かだったホーム内からゾッとするような咀嚼音が聞こえた。
「“コイツ”が今回の主犯か…。」
背中が指でなぞられるような恐怖感がへばりついて取れない。冷や汗が頬をつたる
「短剣」
彼がそう呟くと、彼の影が浮き上がりそのまま短剣の形に具現化された。
異能力、彼等は特殊な力をそう呼んでいる。
電車内に入ると咀嚼音は大きくなった。
「運転席…側だな…」
彼は耳をすましながらそう判断すると、地面の死体を避けながら運転席へと向かった。運転席から1、2号車離れている場所につくと、咀嚼音はすぐそこで聞こえた。
次の号車へいく扉を覗こうとしたが、血に塗れていて号車内の様子は見えない。
溜息を呑み込みながら、号車の扉に手をかけた。粘り気がある血がドアノブについていた。これが人だったのか、考えると肩が微かに震えた。怒りなのか、恐怖なのか、わからない。ただ、彼は既に覚悟を決めていた。強い覚悟を。
ドアを勢いよく開けた。そうしないと恐怖で足が竦んでしまうからだ。肩に力を入れて短剣を握りしめた。しっかりとヤツを睨む。目を逸らさずに、逃げないで。
「アア? ヒャヒャ____」
気色の悪い声を上げながら人間を食べるのをやめる。黒色の大きい体が動くたびに、電車内が揺れた。このバケモノの容姿は黒い大きな図体に、頭にあるツノと赤い目が特徴的だ。何より気持ち悪い。
「ウヒ____」
口角を上げながら笑う姿には背筋が凍った。恐怖、この言葉が頭を過った。自分を落ち着かせる為に短剣を手が痛むほど握った。影で作られた短剣の刃は尖っていてとても切れ味は良さそうだ。
「ニンゲン____ウヒャアアアアアアアア____」
怪物は生きている人間を見たなのか、興奮状態になっていた。冷静ではない今がチャンス。彼もそれはしっかり分かっていた。このチャンスを逃す前に、恐怖で立ち尽くす前に、彼は地面を蹴った。戦いの火蓋は切られた。
地面を蹴った彼は、天井にある手すりのポールを掴みバケモノの顔を思い切り蹴った。バケモノは興奮状態だった為か素早い行動に防御が遅れ、完全に彼の攻撃が入った。鈍い音がなり、バケモノが蹌踉た。このチャンスを逃さず、彼はバケモノの左目に影の短剣を刺した。
「ウギャ_____‼︎ グオオオオ_____」
バケモノは左目を片手で押さえながら痛みで一瞬狼狽えながらすぐさま、金棒を“異能”で金棒を作り彼に攻撃をした。金棒での攻撃は重くなんとか避けることができたが、自分のすぐ横は大きな穴ができていた。この戦いを長引かせてはいけない、体力が消耗されて避けきれない、彼の本能がそう言った。避けた所から直ぐに軌道を返し、彼は決着をつけた。影のナイフが小型な2本の鎌に変わり、バケモノの心臓部分を深く切り込んだ。
「ウ_ウ____ウガアアアアアアアアア____‼︎」
バケモノは叫び声を上げながら倒れ、そのまま溶けるように消滅した。
「はあ…これでこの駅の主犯は倒せたか?…ったく、どんだけ異怪が湧くんだか…」
彼は乱れた呼吸を落ち着かせながらそう呟き、駅の階段を登った。
階段を登ると廃街化された街の光景が広がる。ここが元々、沢山の人がいて街も盛んでいた。しかし今は全てが一変。彼は信じられない光景が過去の記憶と似通って、胸騒ぎがした。そんな彼を太陽の光が照らす。まるで過去の罪を照らしているように。
「___一体”彼女“はなんだったのか_今でも考えてしまう____」
彼は嘗て“彼女”に言われた言葉を思い出した
『 断罪人の名として、貴方の罪の名として____貴方の名前として、紅 』
彼女と僕の最終裁判はまだ終わっていない、彼女を見つけよう…これが彼の死ねない理由の1つである。
大切な人の遺言とこの手で殺したい程の憎いやつの吐き捨てた言葉、この2つが彼を生へと縛る
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