複雑・ファジー小説

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花びらが散った跡さえも
日時: 2022/03/19 16:05
名前: ゆあ (ID: hsews.TL)

私は高1の白井 優(しらい ゆう)。
私には腎臓に疾患を持った彼氏、伊藤 想輔がいる。このお話は、想輔が星になる前のお話。


今日は想輔の誕生日の前日。いつものように学校帰り、想輔が入院している、立波病院へお見舞いに来ている。「そーすけ!!」と、公共の場でもお構い無しな私は大声で想輔の名前を呼んだ。「あ、優か。お帰り。」いつも笑顔の想輔はこんな私にも笑顔で対応してくれる。「ねぇねぇ聞いて!今日ちゃんとノートとったんだよ!」私はいつも勉強嫌いでノートなんて滅多にとらないけれど中間テストが近づいてるこのごろは、ノートを取るようにしている。「優が?珍しい。」と想輔が言う。「もー。珍しいって何よ!」「いや、だってしょうがないだろ。」「たし、、、かに、、、」むっとしている私に「ははっ」っと想輔が笑う。あ、本題!「そういえば、明日誕生日でしょ。盛大に祝ったげるから楽しみにしてて!」危ない危ない、忘れるとこだった。「おう!」想輔はいつ見てもの笑顔で答えた。

次の日
私は想輔の好きな花、「ユリ」がいっぱい入った花束を抱えて信号を待っていた。「気に入ってくれるといいな。」ピッピッっと規則正しく鳴る信号の音に反応し、歩き出す。横断歩道の真ん中の辺りに来たころグォーっと大きな音でやってくる影が見えた。と次の瞬間。「あぶな」そこまで聞こえた後、目の前が真っ暗になった。その時に見えたのはユリの白く美しい花びらだった。

数日後

眩しい光が差し込み、思わず「眩しっ!」と叫んでしまった。ここは一体どこなのだろう。「優ちゃん!」「優!」皆、口々に私の名前を連呼する。しかし誰1人として思い出せる人はいなかった。そして右を見ると、カッコいい男の人がいた。「優」私を知っているのだろうか。でもそれより、眩しいくらいに光る笑顔は吸い込まれそうな勢いで目に焼きついた。左を見るとピンクの服を着た女の人が「優ちゃんはね、交通事故に遭って記憶障害を負って、どんな記憶も1日で忘れてしまうの。」え、記憶障害??「優!!」「はい!!なんでしょう!」思わず叫んでしまった。自分の顔がカーっと熱くなるのを感じた。そんなのもお構い無しに右の男の人が続ける。「俺、想輔!伊藤 想輔だ。お前の彼氏!」私の彼氏?「お前が1日で俺を忘れても俺はお前を愛し続ける!」えええ!私がこの人の彼女で、、、それで、、、うわぁもう、混乱中!それから想輔と名乗る彼と写真を撮ったり、勉強を教えてもらったりした。

数ヶ月後

ある日、いつものように目が覚めると、隣に彼の姿は無かった。「あの、ソータローってどこですか?」ピンクの女の人にたずねてみた。「ソータロー、、、あー、想輔君のことかな?想輔君なら、今手術中だよ」「ありがとうございます!」私は痛むのを我慢したまま、手術室へ走った。「想輔!」叫んだが、聞こえないようだ。ピッピッピッっと規則正しく鳴っていたはずだった心臓の音もピーーっと鳴り続け、私の耳の中で響き続けた。

その日の夜

私は泣いて泣いて泣きまくって紙に想輔と殴り書きで書いた。何度も何度も繰り返し書いた。

翌日

ハッっとして目を覚ます。机には想輔と書かれた紙がいくつも置いてあった。思い出せない。でも人の名前なのは分かった。「誰。この人。」





                  end


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