複雑・ファジー小説

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こんな世界には飽きたので。
日時: 2022/12/31 22:16
名前: 蹴鞠けまり (ID: 7gGQw8LV)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=13447

あぁ、まただ。

また、こんな日がはじまった。

いつになったらこんな生活から逃れることができるんだ。

僕は何か悪いことをしたのか?

身に覚えなんてない。

つらいなんて伝えられるやつなんか、もうどこにも…。

そうだ。この前、ニュースで見た、悪用厳禁の魔法、使ってみるか。

何でも、願いを叶える精霊をよべるんだったか?

確か、ネットでその方法が載った本が売ってたはずだ。

その本が届いたら、呼んでみるか。

その日の夜。

届いた…。

悪徳商法で騙し取られそうなだと思っていたが、意外にも、普通の値段で売っていた。

ええと、何々?まずは、準備が?

『三日間日の当たらないところで清水で浸けた正方形の麻布に三回薬指で丸を書き、

その真ん中に左手を置いて、四方に囲んだろうそくに火を付ける』

なんだ、思っていたより簡単だな。

三日間か…まあいい。

このために清水を買っているからな。



『そのまま左手で麻布を目の高さまで持ち上げ、

アブソラフイァドセバユチェネダと13回唱える』

おぉ、魔法っぽい。

けど13回はさすがに…。

やるか。

僕は、準備を進めた。

そして、最後に、

「アブソラフイァドセバユチェネダ×12回、アブソラフイァドセバユチェネダ!」

と唱えた。

すると辺りから突然光が溢れ始めた。

同時に、まわりに置いていたろうそくが揺れるほど響く揺れに戸惑いながら、収まるまで体が動かなかった。

そして、出てきたそれの姿を見た。

思っていたよりその姿は綺麗だったが、

それは、多分、昔少しだけ見た漫画に出てきたような、

悪魔とかそういう部類のように見えた。

『お前が私を呼んだ馬鹿野郎か?』

なんだ、喋れるのか。

「?、あぁ、そうだよ。馬鹿野郎だよ。」

『そうか。私を恐れすぎて恐怖が吹っ飛んだのか?そんな態度のやつははじめてみたぞ!』

まぁ、確かに見た目の恐ろしさはあるが、別に気にはならない。

「君は精霊で合ってる?」

『そうだ。だが、それと同時に違うとも言える。』

「どういうこと?」

『私は、悪も良きも兼ねる。だからどんな願いも叶えられるぞ!さぁ、願いをいうのだ!』

願いか、そういえば、考えていなかった。

「じゃあ、願うことか、…うーんと僕を幸せにしてほしい、かな。」

『シアワセ?そんなことを望んだやつもはじめてだ!面白いな、お前!』

「僕もはじめてだよ、こんなこと望んだの。」

誰とも話していなかったしな。

『ただ、それはあまりにも簡単すぎる、他の願いも聞いてやるから、何かないか?』

簡単すぎるのか、こんなに僕が出来ないのに。

「なら、あなたとお話がしたい。しばらく誰ともあっていなかったから、話したい。」

『随分と簡単なことしか言わないな、もっと難しいものを言え。』

「どんな感じの難しいもの?」

『例えば、世界征服とか、大金持ちにとか、たくさんの男やら女にモテたいとか、』

「そういうのはないね。」

『じゃあ、私のいた世界で、一緒に世界征服でもするか?』

「それは面白い?」

『あぁ面白いぞ!どうだ?』

「じゃあそれで。」

こうやって、僕は、世界征服を手助けすることにした。

『とりあえず、あっちに戻るぞ!』

その精霊さんの声のあと、すぐ周りが真っ暗になった。

そして、いきなり外の世界に放り出された。

しかも空中で。

精霊さんが掴んでくれなかったら死んでいただろうと思うほど高さがあったから驚いた。

ゆっくり地上に降り、僕は気がついた。

なんか背中にくっついてる気がする。

爪が鋭くなっていたり、頭をさわると角があったり。

僕は確信した。

人間じゃなくなってる。

焦っている僕を精霊さんは分かっていたかのように、笑った。

『驚き方、面白すぎだろ』

ひでぇな、この精霊。

ひとしきり笑った精霊さんは、

『最初から気づいてなかったのか?

魔法を使えるのは、魔力を持って生まれた者だけだぞ?

人間は普通使えない。』

「え?」

『人間界は魔力がほぼない状態だったから、

ここではそうなるんだろう。

ここは魔力が切れないようにされているからな。』

「もしかして、もとの姿ってこと…?」

『そうだ。あそこの泉でも覗いてこい。』

僕は言われたとおりに泉を覗いた。

まるで今までもあったかのようにはえている角や羽、爪を眺めた。

よく見たら、目のまわりに模様があるな。

なんだこれ。

「なぁ、これってどういう模様だ?」

『…ここでの戦の時、見たことがある。』

「戦?こんなに平和そうな街で?」

『そうだ。魔物同士の戦いで多くの仲間を失った。その模様があったのは、その戦を止めた奴に付いていた。』

「僕ってそいつの仲間だったのかな…」

『そいつに仲間はいなかった。それにその模様があるやつは、今まで一度も会った事がない。』

もしかして…僕は…。

「僕…もしや悪いやつなのかな。」

あり得る話だ。他の世界に逃げてた家族の子孫とか…

『まぁ、居ないとはいってない。それにそいつには感謝してる。』

「…そっか。」

あまり話させるのもよくないな。

仲間を失ったのなら、その戦に関するもの全部口にするのは、僕だったら、嫌だな。

『そうだ、家へ行こう。そろそろ暗くなるだろうしな。』

「本当だ。暗くなってきてるし、そうしよう。」

『そういや、飛び方、分かるか?』

「分かるんじゃないかな。多分。ほら。」

羽がバサバサ、と音を立てて、僕の体は宙に浮いた。

『何でわかった?』

「子供の頃、鳥の真似して、飛ぼうとしてたって聞いたんだよね。」

『そうか、』

薄暗くなった空を飛んで精霊さんの家に向かった。

そこは、とても大きな館で、あまりにも、精霊さんだけではさすがに使えないだろ、と思った。

『私の部屋は二階だ。』

案内されるがまま進むと、精霊さんは、大きな館の、一つだけを使っているようだった。

立派な中央にある階段を使わず、精霊さんは瞬間移動させて二階に連れていってくれた。

広くてボウリングができそうなぐらい長い廊下を歩いて、一番奥の部屋に入った。

部屋まで広く、大きなソファの奥にある机が遠く感じた。

『お前…、本当に私を恐れないんだな。』

「?恐くは無いよ、もう、今は。最初はちょっとびっくりしたけど。」

『いつもなら、ここへつれてこられたやつはすべて泣きわめいたり謝るやつもいたりいるんだが、』

「こんな優しいのに、そんな扱いするの?」

『まぁ。食われでもすると思ってるんだろ。』

「え、喰われること無い…よね?」

『その可能性を考えなかったのか?』

「でも!美味しくないし!やめといてね!もし喰うならしめてから美味しく調理して、丸のみでだからね!」

『話し相手を、間違ってでも食う気はないから安心しろ。』

「だよね!びっくりしたぁ…」

なんて会話をして、今夜は寝ることにした。

精霊さんに聞くと、幸いなことに、ここはベッドがたくさんあるから使って良い、だそうだ。

『お前はあいつらとはちがって逃げないと思うが、一応、監視のためというかな、ええと…』

「近くで寝てくれるの?」

『そうだ!近くで寝てやろう!』

「やったぁ、久しぶりだな~修学旅行以来だよ、誰かと寝るの。」

精霊さんのベッドと並べて、寝ることにした。

「おやすみなさい、精霊さん。」

『お休み、馬鹿主人。』

_______主人?

一旦終わり。


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