複雑・ファジー小説
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- ふとした瞬間思ったこと
- 日時: 2022/11/20 08:58
- 名前: 小説大好きマン (ID: Twn9Og3j)
- 参照: kakiko.cc
少し昔の話をしよう。
平成19年6月25日正午。
俺はとある病院で生まれた。
俺には姉が二人いて、長女とは7歳差、次女とは4歳差だった。
3人ともバラバラな性格で、本当に同じ親から生まれたのか疑ったときもあった。
末っ子だから、姉さんたちが小さい頃のことはあまり知らないけど、今の現状を見ても、とても姉妹だとは思えない。
長女はダンスや絵を描くことが得意で、高校1年生で演劇部として舞台に立ち、2年生では主演を演じきった。大学生になっても、サークルを作ってダンスを続け、今じゃファンも多いらしい。頭も良くて、高校入学時は、新入生第2位で入学。代表の挨拶をしたらしい。
次女は大人しい性格で、あまり人と話したりしないけど、母に似て、料理や裁縫が得意だった。高校では食に関する専門科へ行って、期末テストでは学年トップ3をキープし続けた。すごくストイックで、テスト期間になると、テレビを禁止してずっと部屋に篭りきり。正直、心配になるほど勉強していた。
そんな姉たちとは裏腹に、俺は全く勉強ができなかった。というより、どれだけやっても頭に入らないのだ。大好きな舞台の歌やセリフはいくらでも覚えられるのに、勉強のことになるとなにも入らない。それに加え、俺は小3の時に受けたいじめが原因で、倫理観が歪んでいた。人の感情が理解できない。人が嫌がることとか、どうして怒るのかとか、俺には分からない。だから、クラスの子を真似してみたけど失敗だった。母曰く、俺自身に問題があるらしい。でも分からない。理解できない。どれだけ考えても答えは出なかった。周りの人から自分がどう見えているのかも、俺がどういう人だと思われているのかも。なにも分からなかった。ひたすら孤独で、頭がおかしくなりそうだった。どれだけ考えても分からない答えと、日に日に変わっていく周りの対応を見ることに疲れて、俺の心は荒んでいった。授業などでたくさん発表するくせに、自分の本音を伝えることは苦手で偽ってばかり。自分で「自分ではない何か」を作り出して、弱い心に蓋をしている。ずっとそうやって生きてきた。
そして今日、そんな日々にも終わりが来た。
俺は薄れていく意識の中で漠然とそんなことを思っていた。