複雑・ファジー小説

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最強執事〜悪役令嬢の下僕に転生したのでシナリオ改変します〜
日時: 2023/03/04 17:50
名前: ひなぎ。初心者 (ID: HGEDmJJJ)

※こちらの作品はコメディ・ライトの方にも投稿させていただいています。
 初心者ですので大目に見ていただけると助かります


Re:第一話・転生 
『ラティオーズ公爵令嬢、シルヴィア・エル・ラティオーズ!!聖女である未来の王妃を殺害しようとした罪で_____』

『処刑を命ずる!!!!』

『そんな!!嘘ですわ!!その女に騙されているのです!!』

『潔く黙れ。おい、連れて行け!』
『そんな_____!!!!』


「やべー!!!悪役令嬢シルヴィアちゃんがまさかの処刑?!容赦ない乙女ゲームだなあ!!」
俺は27歳のしがないサラリーマン。趣味でゲーム実況動画なんかを投稿している。
今は、「あなたと共に、愛を」通称「ともあい」という、乙女ゲームの実況動画を取っていた。
アラサーのおじさんが乙女ゲーム実況、ということで、少し話題になってたりして、嬉しいばかりだ。
カンッ__  一通り編集作業が終わって、眠気覚ましに飲んでいたエナジードリンクを置く。
ってか、乙女ゲームだってのに今どきはなかなか残酷なんだなあ、処刑だなんて。

そんなことを呑気に考えていたときだった。
「あれ__?」突然視界が狭窄して、世界がグルっと回ったような強いめまいと吐き気に襲われ、俺は意識を失った。

_会社での残業、その後の撮影での疲労とエナドリの過剰摂取。俺は死んだ。



_____はずだったのに!!!






今、俺の目の前には、豪華で趣味の悪いごてごてした飾りのついた真っ赤なドレスを身にまとう少女が、これまた豪華な椅子に座っている。なんか見たことあるよーな気もするけど、マジで誰?!?!

俺がワケも分からず突っ立っていると、目の前の少女は突然、持っていたティーカップをこちらへ投げつけた。同時に、熱い紅茶らしき液体が俺めがけて飛び散ってくる。

「あっっつい…!!」
「うるさいわね!!!なんなの、このまずい紅茶は!?さっさと入れ直していなさい!!」
「は__??」 なにいってんだ、こいつ??
「このシルヴィア・エル・ラティオーズ様に口答えする気??ルディ、あんたは奴隷なのに能力が高いからお父様が雇って差し上げてるのよ!!黙ってわたくしに従えばいいのよ!!!!」

少女が言葉を発した瞬間、俺の頭は真っ白になった。
今、シルヴィアって__?
「あっ__!」

思い出した。目の前にいるこの少女は、『ともあい』の回想シーンにあったシルヴィアちゃんの幼少期の姿に間違いない。そして俺は、もう一つ大事なことに気がつく。
今立っている、美しく磨かれた大理石の床。そこに映る、俺の顔。俺じゃなかった。
でもまちがいなく、これは俺だ。同じ動きをしてるんだから。

「まさか___!」
目立ってはいなかったが、いつもシルヴィアちゃんの隣に立っていた、死んだ魚のような目の青年。

「ルディ!!あなた聞いてますの?!?」

シルヴィアちゃんが叫ぶ。やっぱりそうなんだ。

俺は、悪役令嬢の執事のルディ。ルディに転生したのか__!!
そこで、俺の意識は途切れた。

__________________________


Re:第二話 俺じゃない俺

「ん__??」
目が覚める。そこには、屋根裏のような知らない天井。俺は気絶してたのか…?
「あ、目が覚めたんですね」
誰かに声をかけられる。柔らかいけど弱い、女性の声。
「まだ体調悪いんですか?あんまり動いたらだめですよ」

誰かと思ったけど、顔を見ると「ルディ」の記憶が頭に流れ込んでくる。
「アイラさん…俺…ありがとう」
「いえいえ。男手が減ったらお仕事に支障をきたしますから」
そんな冗談を言っている彼女は、この公爵邸の下働きであるアイラさん。「俺」の記憶ではゲーム内には登場してなかったが、それでも気になってしまうような儚げな美人さんだ。
だけどよく見ると、制服からのぞく腕は真っ白で、異様に細い。顔色も決して良くはないし、その笑顔だってどこか悲しげな雰囲気をまとっている。

「何かあったら呼んでいただいて構いませんから、遠慮なく言ってください。ルディくんはまだ子供なんですから」
「ありがとうございます。すぐに良くなるんで」
まだ違和感の残る幼い声でそう言うと、アイラさんはホッとしたように息をついて部屋から出ていった。

とりあえず、硬いベットから身を起こして部屋を見渡してみる。と、ここが屋根裏部屋のような狭い空間だとわかった。部屋には姿見のミラーと、小さな机と椅子、筆記用具にたった一着の執事服、剣があった。子供の部屋にしては物が少ないし、ほこりっぽい。

めまいが落ち着いてきたのでベッドを離れて机に向かう。引き出しから紙を取り出して、ペンを持つ。
この状況を一旦整理しよう。
ここは、生前俺がプレイしていた乙女ゲーム「あなたと共に、愛を」の世界。
その内容は、平民である主人公・ユーリが十五歳になると行われる聖女を見つけるための「乙女の儀」によって100年に一度誕生すると言われる聖女に選ばれ、位の高い貴族たちが通う特別魔導学園へと入学し攻略対象たちと仲を深めていく、という王道なものだ。

そして先程の失礼な少女は、この屋敷の主であるラティオーズ公爵閣下の娘である「シルヴィア・エル・ラティオーズ」。彼女はいわゆる「悪役令嬢」のポジションであり、主人公がどのルートでも邪魔をしてくるというキャラだ。眉目秀麗、成績優秀、そして第一皇太子・レインハルトの婚約者…だが、その高飛車でわがままな性格からとても嫌われていた。
だけど「公爵令嬢」「第一皇太子の婚約者」という最高の肩書に食いついてくるものは多く、いわゆる「取り巻き」なんかもいて、逆らえるのは王族ぐらい。父である公爵の意見は国王でも無視できないほど力を持っていた。
そんな彼女の結末は?
確か、主人公が王太子以外のルートを辿った場合は嫌がらせしたためにレインハルトとの婚約破棄、幽閉、追放…etc。王太子ルートの場合は、主人公を毒殺しようとして___

親族や関係者もろとも処刑。
「え???」
俺ははっとする。関係者も処刑。
これ、執事の俺も死ぬじゃん。アイラさんも死ぬじゃん。そう気づいた俺は、決意した。
「死にたくないからシナリオ改変してやるうううううう!!!!!!」

続きはまた。


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