複雑・ファジー小説
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- その日、世界はおかしくなった。
- 日時: 2023/05/02 22:23
- 名前: 月見 (ID: Z79oUlOc)
あらすじ
世界は、突然おかしくなった。
この世界で何を考えればいい?何をすればみんなからは丸をもらえる?
主人公 三色 菫(さんしき すみれ)
誤字、脱字等あるかもしれませんが、ご了承下さい。
- Re:その日、世界はおかしくなった。 ( No.1 )
- 日時: 2023/05/02 23:47
- 名前: 月見 (ID: GDWSGe53)
チリリリ、チリリリ、チリ……
ああ、本当に嫌いな音だ。そう思いながら、ゆっくりと目を開けて、いつも通り朝を実感しようとした。違う。おかしい。明らかに私が知っている世界じゃない。世界がおかしくなっている。分からない。いつ?なぜ?ああ、また分からないことが増えた。もう勘弁してほしい。助けてくれ、といつもは神なんかいないと否定しているのにこういうときになると必死に、神という、会ったこともない、自分にとってはよく分からない存在に縋ってしまうのだから本当に不思議だ。どうやら人間という生き物は思考が追いつかないような想定外な出来事が起こるとかえって冷静になるらしい。(いや、外からはギャーギャー騒ぎ、怒鳴り、泣き喚いている声が聞こえるため、ただの私の性質かもしれない。)
まあ、とりあえずテレビでも見にリビングへ行こう。アパートに一人暮らしだが、結構家はどちらかといえばでかい方だと思う。ああ、そういえば昨日は何も食べていなかった気がする。ついでに塩むすびでも食べようか。なんて呑気に考えながら布団からのそりと起き上がった。そう、確実に起き上がったと思ったのだ。……私の背がこんなに低いはずがない。高校一年生で、少なくとも160センチは超えているはずだ。しかし、なんだ。今の私はなんなのだ。私の上半身ほどの高さしかない
の目線だ。
「……気色悪い。」
ぐるぐると考えが高速回転している頭では耐えきれず、声に出た。意味が分からない、と下を向いて頭を抱える動作をしようとしたとき、目に留まって。脚が。小刻みに震えながらちょこんと正座をしている私の脚が。なぜだ?確かに立ち上がったはずだ。きちんと脚を動かそうとしたはずだ。私は小刻みに震えている脚を呆然と見つめていた。頭の中でたくさんの仮説を立てた。これも世界がおかしくなったことで起きたのか。いやいや、布団から見える窓の方をみたら何十人もの人が走り回り、騒いでいたじゃないか。じゃあ、起きあがろうとは思ったが、いつも何十分もかけて起き上がっているせいで身体が追いつかなかったのか。いやいや、前に寝坊したときは十秒でバッと起きあがりドタバタと騒がしい音を立てながら十五分でなんとか支度を終わらせたじゃないか。そしてついには、誰かが脚を動かなくしたらどんな反応をするか気になっていたずらをしたんじゃないかなんてところまで行ってしまった。
はあ、学校の先生にも、喋ったことのない生徒にも、
「君は優秀だね。君のような秀才は見たことがないよ。」
と言われるこの頭脳は別に求めていない、考える気もない授業のときや、どうでも良い学校の宿題のときは大いに考えを鋭いナイフを一ミリも狂わず、的確に的に当てるように考えを連続で投げてくるくせに、こういう本当に私が苦しみ、答えを心の底から求めているときに限って紙飛行機をぴゅーっと適当に投げたようなものをくれる。私にとっては本当にポンコツで、役に立たない頭だ。ふと我に返って、脚を見てみるとまだ微かに震えているが、先程よりかはましなため、これなら大丈夫だろうと今度こそ布団から立ち上がった。
ぎゅるるるっという音が鳴った。色々考えすぎたせいで余計疲れたし、腹が減った。やっぱり今日はアレにしよう。
- Re: その日、世界はおかしくなった。 ( No.2 )
- 日時: 2023/07/08 17:30
- 名前: 月見 (ID: Z79oUlOc)
「………よし。」
そう呟いた私の目の前にあるのは巨大おにぎり。ラップに塩を少し、そして米をドンと乗せて三角に整え、海苔で包んだだけだが、結構好きでよく作る。
巨大おにぎりを持ち、水をコップに注げば後は食べるだけ。テレビの電源を点けてみた。
「〜で、現在こうなった原因は未だ分かっていないそうです。現在の状況について………」
ピッ
「〜や、世界のあらゆるものの色が反転するなどの異常現象が……」
どの番組を見ても同じことしかやっていない。つまらない。色々な番組を行き来しているうちに、あんなに大きいおにぎりも完食してしまった。テレビを消して、コップを洗ってベッドに寝転がった。
「…………暇。」
スマホを見たら学校からはこの異常現象の安全確認が取れるまで休みという通知が来ていた。
もっと暇になってしまった。どうしたものか。
もういっそ外に出てみるか?……いいかもしれない。財布とスマホなど、必要最低限のものだけカバンに入れ、キイという音を立てながらドアを開けた。戸締りもしっかりとした。……さあどこへ行こう?
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