複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

人生二度目は異世界で!
日時: 2023/10/02 09:31
名前: ino (ID: jgCIAAMe)

【1章・プロローグ】 死亡


教室は活気に満ちていた。

今は昼休みになったところで、それがさらにクラスを騒がしくしていた。

昨日のドラマの内容について語る者。次の授業の担当教師の嫌味を言う者。次の授業へ向けて復習を始めるものなど様々だった。

「よう彰良、また本ばっか読んで。ほら、外行こうぜ。お前はもうちょっと筋肉をつけんとな、筋肉を」

と、自分のご自慢筋肉を見せつけてくるのは、同じクラスのお調子者——山守 剛輝。今ではなぜか俺の親友をしているNOKINだ。

「うるさい。今日こそは本を読んで昼休みを終えるっ。行きたいのなら一人で行っとけ」
「え~……。つれないなあ。まあいいか。今日は見逃してやる」
「何が見逃してやる、だ。こんな俺にかまってる暇があるんなら、お得意の筋トレでもしとけっての」

と、まあ半ばテンプレ化していた展開を回避し、自分の持っている本の世界に飛び込む。

この本は、純愛系に分類されるものでたまたま目に着いたから買ってみたものだ。

いつもなら異世界系やミステリー系を読んでいるため、この本はそんなジャンルとは違う刺激があり、新鮮味があって面白い。

そんな事を考えながら本を読んでいると——

ガランッ

ドアを開ける音がして、すぐに教員が入ってくる。

「席に就けー。授業始めるぞー」

間延びした声が聞こえ、生徒たちが各々の席に戻り始める。

その後、何の変哲もない5時間授業とHRが終わると、今度は誰にも絡まれないようにとそそくさと学校を出て帰路に就いた。

いつも通りの日々を過ごしていた。

何も取柄のないこの俺が、あんなことをするまでは……。

   ☆ ☆ ☆

「起立!」

朝のHRが終わり、日直の号令がかかる。

——その時。

ガタガタッ

机が勢い良く揺れだした。誰にも予想はできないことだ。教室内が一気に騒がしくなる。

取り敢えず机の下にもぐり、急所となる部分を隠す。
その後も数分は揺れが続いた。

不意に揺れが弱まった。 
それを好機と見たのか、行内全体へ放送が流れる。

『先生方、生徒の皆さんに連絡します。防災訓練通り1度校庭に避難しましょう。もう1度繰り返します——。』

放送が入るとすぐに生徒たちは動きだし、廊下は避難をする生徒でごった返していた。

とうとう俺たちのクラスの番になり廊下に生徒が出始める。
ガタガタガタ‼

さっきよりも数倍大きな揺れが始まる。

経年劣化からか、地震の影響か、建物にひびが入り始めた。

——もう立っていられない。

そう思わせるほどに揺れが大きくなった。

3階にいるのもあり生徒から焦りが見え始める。

——ピシピシッ。

ひびが広がり始めた。

急に、頭が振られたかのように目が回った。

……貧血だ。小さなころから病弱だった俺は、家でも学校でも本ばかり読んでいた。最近はなかったため治ったと思っていたが……。なんでこんな時に?

さっきまで聞こえていた声がどんどん遠ざかっていく。

急いで立ち上がり廊下を見る。クラスのみんなはすでに階段を降り終え、そこには誰もいなかった。

(出遅れた!)

急いで俺も階段を下りる。

外に出た時には、もうクラスのみんなはグラウンドの方へ走って移動していた。

「うぅ……。っ……」

呻き声が聞こえた。1年の玄関の方からだ。

振り返ると、女子が足を抑えて倒れていた。

恐らく急いで走っていたときに足をひねったのだろう。俺はすぐ走り寄り、転んでいた女子を背負った。

「……ありがとうございます」
「ああ」

最低限の会話だけし、校庭へ出ようとした。が、

——ビシッ!

頭上で嫌な音がした。

ああ、最悪だ。そう思いながら俺は、背負っている女子をできる限り遠くへ投げ飛ばした。

直後、予想は大いに当たり、俺の意識は暗転した。


小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。