複雑・ファジー小説
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- 幻灯project
- 日時: 2023/11/20 21:53
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<次回予告編>
次回、第一弾 幻灯雷神伝!
京都の山奥の奥の奥にある、非現実が集まる空間、高天郷。
京都の路地裏にある、とある神社の鳥居を堺に科学と非科学、幻と現を分けている。
しかしその結界が崩壊し、その隙間から"雷神"が神社ごと引っ越してきた。
果たして主人公たちは雷神から高天郷を救えるか!?
そして雷神の目的とは?
雷神を招いた真犯人とは?
高天郷の運命やいかに!?
次回、ご期待ください!
- Re: 幻灯project ( No.1 )
- 日時: 2023/11/20 21:54
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<第一弾 幻灯雷神伝>
ここは非現実の集まる処、高天郷。
今日も大自然に囲まれながら、妖怪や精霊、人間は豊かに暮らしていた。
ゴロゴロゴロゴロッ
と、雷鳴が聞こえると郷の人々は空を見上げた。
その時!
ゴロゴロゴロゴロドッシャーンッ
「キャーッ」
民家の方に雷が落ちた。
ゴロゴロゴロゴロドッシャーンッ
「キャーッ」
雷はまるで生きているかのように人々を襲った。
郷の中心に位置する唯一の神社、天乃神社からはその光景がよく見えた。
「全く、また妖怪の奴らが面倒事起こしたわ。」
こういって飲みかけのお茶を卓袱台に叩きつけて立ち上がったのは天乃神社の宮司、天宮 鈴音。
彼女は、高天郷を管理する神職で、様々な超能力を駆使し、妖怪を退治する役割を担っている。
鈴音が天乃神社から飛び立つと、外はもう火の海と化していた。
「雲に乗ってどこかに行ってしまったようね。」
鈴音はさらに上に上がった。
深い雲の中、鈴音は奇妙なものを見た。
雲の上を歩く、鳥居を担いだ人のようなものだ。
近づこうとしたが、雲に遮られてしまったため、一度下におりた。
「あの人影はこっちに向かっていたから、、、、、山に向かっている!」
その山とは、郷の一番西の方にある、山幸彦という神の領地だ。
「急いで向かわないと!」
鈴音が山幸彦の山に着いた頃には、山の天狗と先程見た人影が戦っていたが、
既に天狗の大半がやられていて、やられた天狗が山のように積まれていた。
「おお、来たのか宮司よ。」
「うるさいわ。貴方を黙らせて叩きのめしたいだけよ。」
先程の人影は、担いでいた鳥居を山に突き刺して、その上に座っていた。
「我は雷を司る神、菅原 學子。恨みを背負い、雲を超えてやってきた。」
「あなた、言っとくけど、此処じゃ神社は一つ。それが決まり。」
「さあ、その突き刺してる物を持って、そこから退けなさい!」
「断る!」
と言って、學子は指を鳴らした。その時、指から火柱が起こる。
「あなた、雷の神だったはず、自分で言っていたじゃない。」
「雷は天から注ぎ込み、木を倒し大地を焦がす。雷を司る、即ち火炎をも司り、操るのだ。」
「まあ、そんなの関係ない。私は郷の神職、天宮鈴音である。敗北は許されない。だけれど貴方には勝利でさえも許されないわ!」
「いや、お前に唯一許されているのは敗北だけである。大人しく従え!この雷を司る神、菅原學子に!」
「宝珠 神秘宝玉!」
鈴音の周りから大量の厄除けの光弾が飛び出す。
「雷炎 竜の息吹!」
厄除けの玉を雷が潰し、鈴音に向かって炎が這ってきた。
「水田 五穀豊穣弾!」
麦、稲、粟の穂と共に雨が振ってきて、炎は掻き消され、學子の神力も弱まった。
「ほら、勝ち目はないわ。とっとと降参しなさい。あと、天狗たちはみんな手当てしなさいよね。」
「分かった。だが、ここにいさせてくれ。」
「そんなの私が知ったことじゃない。今回は郷全体に影響を及ぼしたから、退治しに来ただけ。」
「にしてもあんた、何しに来たの?」
「ある妖怪に誘われてな。此処を征服しないかと。あと一月の内に此処に来るそうだ、、、」
Continued next time.
- Re: 幻灯project ( No.2 )
- 日時: 2023/11/20 21:53
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<次回予告>
次回、第二弾 幻灯中華録!
一月前、雷神・菅原學子により炎の海になった高天郷。
しかしまたもや魔の手が伸びる。
今度は郷の東の端に、巨大な洋館が現れた!
この館の主とは?
この洋館と雷神・菅原學子の関係は?
學子はなぜこの館の主の誘いに乗ったのか!?
次回にご期待ください!
- Re: 幻灯project ( No.3 )
- 日時: 2023/11/21 22:19
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<第二弾 幻灯中華録>
雷神の一件から早一月。高天郷は天狗の技術力によって、完全復興まであとちょっとという状態だ。
雷神も山幸彦に話を付け神社を開いたそう。
しかしいい事ばかりは続かない。白狼天狗の里の近くに、巨大な洋館が突如現れた!
白狼天狗の里のトップと鴉天狗の大樹のトップが手を取り合い、洋館を降伏させると言うが、うまくいくのか。まだ動く気配はないが、天乃神社の神職は、、、、、
ズルズルズルッ
「寒くなったわね。薪、割らないと。」
こたつに入ってお茶を飲んでいる。
「ああ、面倒くさい、面倒くさい。」
その瞬間!
ドカーーン
大きな音がした。
「わたしのお茶の時間を邪魔するとは、命知らずの妖怪もいるものね。」
スタッと立ち上がると、鈴音は満面の作り笑いを浮かべながら外に向かった。
外を見ると、東の方角から白い煙が立ち込めていた。最近やってきた不吉な館でなにか起きたらしい。今すぐ向かうことにした。
「何があったの?」
「あ、鈴音さんですね?」
「なぜわたしの名前を?」
初対面のはずの白狼天狗が、わたしの名前を知っていた。
「私は天狗ですよ?」
「それで貴方は?」
「申し遅れました。私、白狼天狗の長、天狗 白狼。ちょうど貴方の助けが必要だったんです。それがカクカクシカジカでして、、、、、」
「え〜!?鴉天狗が寝返った!?」
「はい。館の連中が、鴉天狗の奴らに褒美を取らせるからついてこいと勧誘をかけたんです、、、、」
「で、みんなついて行ったと。」
「なんで白狼天狗は行かなかったの?」
「白狼天狗は目が良く、心の内まで見通す事ができるんです。鴉天狗も神通力は使えますが、本来の使い方を忘れているんです。」
「ほうほう。つまりは館に組する鴉天狗を駆逐しろと。」
「いやいや、始末なんてしなくていいんです。ただ、退治してくださいませんか?貴方が離れている間、館に動きがあればご報告いたしますから。」
「分かったわ。では妖怪退治を始めようか。」
「先程の私達との武力衝突のあと、北に向かったので恐らくは奴らの根城、鴉天狗の大樹に居ます!」
鴉天狗の大樹は大きな樹木で、木の枝の上や幹の穴の中、盛り上がった根っこの裏に天狗の家があった。優に1000人は住めるであろう大木だ。
「ほら鴉!出てきなさい!」
木のあちこちから赤い目が光ってこちらを見ている。
「私が鴉天狗の長、鴉 八代。お前もあの館の主に雇われて此処へ来たのか?」
「私は天乃神社の神職、天宮鈴音。貴方を退治しに来た。」
「ほう、我々に楯突かぬ方が良いぞ。我々には後ろ盾がいるからなあ。」
「一旦館の内部を攻めたほうがいいな。鴉天狗は人間にも関わり深い妖怪だから、きっと退治すれば面倒なことになるし。」
「あれ?鈴音さん、もう倒してきたんですか?」
「いいえ、先に館に潜入するわ。」
「貴方、白狼天狗の長でしょう?天狗たちを上手にまとめて、館を取り囲ませて頂戴。」
「え、私にそんな事ができるでしょうか、、、、、」
「できるに決まってるじゃない。この私が言うんだから間違いないわ。貴方は一番の"友達"よ。」
何年ぶりだろう。友達なんて言葉を使うのは。私は小さい頃、親から捨てられ、孤独だった。
なので当然、友達なんていなかった。仲間なんていなかった。
だけど、ある時、まるで最初からそうされるべきと決まっていたかのような出来事が起きた。
何者かは知らないが、ある妖怪に拾われ、この世界に招かれた。招かれざる客を遠ざける役割を与えられて。それからというもののその責務を全うした。外の世界からやってきた妖怪、神を退治し、人間を追い返した。世間からは、恐ろしい、血も涙もない天乃神社の神職と噂されたせいでこちらでも友達も仲間もできることは無かった。今の今まで.......
「どうしたんですか~?鈴音さん。」
「はっ、大丈夫。何でも無いよ。」
「それにしても鈴音さん、いや、鈴音ちゃんがそんなふうに思ってくれてるとは、嬉しいです。」
「じゃあ、館の入口まで警護いたします。」
無事、門の前に着いた。
「じゃあ、また後でね、白狼"ちゃん"。」
大きな鉄でできた門には、大きな龍が彫られていた。
建物は、まるで中華街道を切り取ってきたのかと思うような、色鮮やかな装飾がしてある、中国造りの建物。
遠慮なく門をこじ開けて、庭に入る。そこには季節関係なく、薬草の花が咲いていた。
周囲を見回していると、、、、
「何をジロジロ見てるの?」
と、突然後ろから声がした。
「貴方は誰?」
と、ゆっくりと聞き返す。
「私はこの"上華洋館"の易占い師、阿清よ。この館の旅の途中で拾われたの。」
「さあ、ここを通してもらっていい?急いでるの。」
「いや、私がどいた所で、あんたは主様には会えない。」
「じゃあどいたっていいじゃない。」
「あ、ほんとだ。どうぞご勝手に。ただ、玄関ホールに居る武器商人には気をつけな。」
ガラガラガラ......
「おい、武器商人。話があって此処に来た。さあ、大人しく白状しなさい。、お前の主はどこ?」
「あちらです。」
「え?」
「え?」
「だから、、、あちらですって。」
「そこはもうちょっとさあ、ほら。隠そうとか思わないわけ?」
「、、、、、思わない。」
「じゃあ、案内してちょうだい。」
コンコンコンコン
ガチャン
「ようこそ、我が館へ。」
王座のような椅子に、中国風の羽織を羽織った女狐がいた。
「私は天宮鈴音。貴方を退治しに来た。」
「あら、貴方、強いの?」
「まあね。」
「私はこの上華洋館の主、阿 上。」
「あなた達、色々な妖怪を仲間に引き入れてるみたいだけど、何が狙い?」
「地上侵略よ。」
「!?」
上が話すには、外の世界から神を呼び寄せ、この世界の妖怪を従え、この高天郷を侵略する
計画だったそうだ。
「私達、獣人類は様々な者から妨げ、虐げられてきた。そんな時代を終わらせるために、この郷を侵略し、我が物とする。」
「そんなことさせない。さっきも言ったけど、私は貴方を退治しに来た。さあ、その陰謀に終わりを告げてもらおうか。」
「霊撃展開!」
「掌撃準備!」
「神刀 霊想斬!!」
鈴音は、どこからともなく白銀に光り輝く太刀を取り出し、斬りかかった。
「掌撃 蘭光拳!」
上は七色のオーラを発っしながら拳を振り上げる。
鈴音の太刀と上の拳がぶつかり合う。
「ウオオオ!」
白銀の祓玉と七色の気の玉がお互いをもみ消し合い、結果、七色は見えなくなり、
辺りは一面白銀になった。
ドカーーーンッ
「大丈夫?大丈夫?」
「うっ.....」
「気が付きましたか。」
「ずっと寝てたんですよ?」
「へ?あれ、私は確か、、、神社に伝わる宝物の一つ、十拳太刀を使って、、、、」
「そういえば、此処らへんに女狐倒れてない?」
「あれ?」
白狼が指さした先には、阿上が倒れていた。
「あの狐の顔を見ると、私の昔の頃を思い出すわね。」
鈴音たちは半壊した上華洋館から、風通しの良い春の空を見つめた。
<エンドクレジット>
郷の制作した人 ユキチ
上華洋館の原作を作った人 ユキチ
登場人物
・天宮鈴音
・天狗 白狼
・阿清
・阿上
・鴉 八代
・白狼天狗の皆様
・鴉天狗の皆様
・阿武(武器商人)
<おまけテキスト>
ここは天乃神社の客室。今日は白狼天狗の天狗 白狼が来ていた。
「そういえば、鈴音ちゃん、結局館の修理したらしいじゃん。」
「あの人達が暴れちゃ困るから、とりあえず不満がないように直しといたのよ。」
「あ、そういえば。あの後、鴉天狗達はどうしたの?」
「館が負けたと知って、手のひら返してきたわ。」
Continued next time.
- Re: 幻灯project ( No.4 )
- 日時: 2023/11/21 22:32
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<番外編 白狼ラジオ>
ザーーーーー カチッ
「さあ始まりました、白狼天狗の技術によって生み出された、電波ネットワーク、白狼ラジオ!
司会はこの私、天狗 白狼。今日も高天郷の変わった出来事を紹介していきますよ〜?」
「まずはこちら!高天郷に河童現る!」
「なんと、本来此処にいないはずの絶滅した妖怪、河童が現れた!彼らは古くから社会性が強く、すでにこの郷には、国として成立するほどの河童社会が築かれているという。」
「そこで今回は、妖怪の谷に住む河童、河童 翡翠さんにゲストとしてスタジオにお呼びしました!では、翡翠さ〜ん?」
「は、はい....」
「緊張気味ですね。では、翡翠さんたち河童は、なぜこの地に来たんですか?」
「あ、ずっと前からここにいたんですけど.....」
「え?」
「つまり我々より前から?」
「はい....恐らく、ですけど此処にいる妖怪の中で一番長くいると....」
「なるほど、ありがとうございました。新たな事実が発覚した所で、お時間がやって参りました....
カチッ
- Re: 幻灯project ( No.5 )
- 日時: 2023/11/22 06:16
- 名前: ユキチ (ID: /p7kMAYY)
<次回予告>
次回、第三弾 幻灯千尋谷!
最近、数多くの妖怪が高天郷に現れ、それらを河童が取りまとめているという。
人々の間で噂される妖怪国家の建設、不穏な空気に包まれた妖怪の谷。
さらには鴉天狗達の大移動。今、高天郷で史上最大の決戦が始まろうとしている!
河童の狙いとは!?
郷に数多くやってきた妖怪とは!?
鈴音はこの戦いを制す事ができるのか!?
戦いあり
出会いあり
の大小説となっています。
ぜひ!次回にご期待ください!
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