複雑・ファジー小説

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雨の日の体験談
日時: 2024/03/16 22:06
名前: らぼんとん (ID: fBrjyb6/)

雨が降っている。
今日は6月の16日。
俺は晴。ただのコミュ力の高い高校生だ。(自称)
『はぁ…傘持ってきてないのに、なんで雨降るんだよ』
俺は部活に入っていないので,下校時刻が5時という、高校生にしては超絶早い時刻だ。
羨ましいだろ(?)
誰も聞かない愚痴をこぼしながら歩道を走っていると,河川敷に一人の女の子が見えた。
5歳くらいだろうか。
その子は今にも川に落ちそうなくらいの角度で、俺はすぐに駆けつけ、咄嗟に手を掴んだ。
『何やってんだよ!』
すると、その子は少し驚いた顔をして、こう言った。
『お母さんのところに行くの』
『でも、今あなたに邪魔されたわ』
もうすでに、その目は笑っていなかった。
一桁の年の女の子がするような目つきじゃなかった。
『はは。面白いこと言うね』
『どこがよ』
『なんでもいいだろ』
その後、俺とその子は一緒にしりとりをしたり、好きなことを話し合ったり、まぁ、すごくしょうもないことを話していた。
その子に同情したから。
この子に何があったのかはわからないが、少し自分と同じような雰囲気がした。
昔、事故で両親を失った俺と同じ…
不思議なもんだ。
『そういや、名前聞いてなかったな。何?』
『……苅野亜紀』
その子は苅野亜紀というらしい。
『いい名前じゃん』
俺はそう言って,亜紀の頭に手をポンと置いてやった。
亜紀は、『ちょっと…』とか言ってたが、笑っていたのでやめなかった。
『次の質問!誕生日はいつなんだ?』
『…6月30日』
『えっ!もうすぐじゃん!ケーキ買ってくるね』
次の日も、その次の日も、俺は帰りにその河川敷に向かって、亜紀と話していた。
何時間も。ずっと。
別れ際、亜紀は満面の笑みでこう言った。
『またきてね!』
毎回言っていたので、それが口癖になったっぽい。
もしかしたら、俺たちって結構相性いいのかもな。
ある日のこと。今日もあの日と同じように、雨が降っていた。
いつものように河川敷に向かうと、いつもいるはずの亜紀がいなかった。
ふと周りを見渡すと、電柱に、派手な色合いの張り紙が貼ってあった。
【探しています‼︎】
そう大きく書かれた張り紙を読んでみると、
[苅野亜紀(5歳)]
[1週間前から行方不明]
[特徴:黒いショートヘア
    ピンクのワンピース]
[見かけた方は、すぐに警察にお電話ください]
『………は?』
そこには、俺が昨日も、一昨日も見た顔の写真と、名前が書いてあった。
ピロンと音が鳴った。
俺のスマホだ。
『こんな時に…』
みてみると、そこにはニュース記事が載っていた。
[5歳の女の子、川から飛び降り自殺!
原因は?!]
死亡時刻は今日6月の23日、午後の5時!
という記事があった。
そこに貼ってあった写真には、やはり、亜紀の顔があった。
俺は絶望で、言葉が出なかった。
1週間前から行方不明……
…ん?ニュース記事でも1週間前死亡…?
俺と亜紀が初めて会ったのも1週間前のことだ。
じゃあ、23日から29日までの間,俺と話してたのは…?
考えたくもない。
『……もう…帰ろう』
俺は少しよろめきながら,家に帰った。
次の日、俺は学校へ向かった。
あまり行きたくなかったが,親に行けと言われたので,仕方なく。
教室に入ると、俺の親友、『浅葱』が、河川敷と川が映ったスマホを俺に向けてきた。
『なぁ、この動画、7日前のなんだけどさ、
ここに写ってるの、お前だよな?』
といって浅葱は、俺の後ろ姿を指差す。
『え?うん…そうだけど…………え?』
スマホの画面に映っている俺は、誰もいないところを向いて、たまに会釈をしながら誰かと話すような仕草をしていた。
『…』
『…』
二人とも黙り込んでしまった。
キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが鳴った。
俺たちは別れて、席に座った。

学校が終わって、俺は、河川敷に向かった。
昨日と何も変わっていないが、少し、悲しい雰囲気を漂わせている。
ここで亜紀が死んだんだな。
それを実感しながら、唇を噛み締めた。
俺は電柱に向かい、張り紙を読んだ。
『やっぱり、本当だったんだな』
大人しく、事実を受け止めるか…
そう思った時,俺は、張り紙の右下に貼ってある、小さな紙に気づいた。
『なんだこれ?』
どうして昨日は気づかなかったのだろう。
俺はそれを読んでみた。
『またきてね』
そんな言葉が、ひらがな覚えたての幼稚園性のような字で、あの時の亜紀のような雰囲気で、泣いていた。
『亜紀……ありがとう!』
俺は出そうになる涙を必死に堪えて、川に近づいた。
『俺はこうすれば良かったんだな』
バシャン!と水の跳ねる音がした。
俺が最後に聞いたのは、知らない人の叫び声だった。






『よーし、テレビでも見るか』
俺は青波健二。
ただのサラリーマンだ。
今はただ納豆を食べながらニュースを見ている。
これでも働いてんだぞ。

『速報です』
『先日、6月31日、午後5時ごろ、〇〇川で、高校生の浅瀬 晴(18)さんが川に浮いているのを、偶然通りがかった桑原文子(58)さんが発見し、警察に通報が入りました。』
『警察は,桑原さんに詳しく…』
ピッ
『こんなことがあるんだなぁ』
俺は食器を片付けてカバンを持ち、玄関で靴を履きながら…
『いってきます!』
と、誰もいない家の中で叫ぶのだった

Re: 雨の日の体験談 ( No.1 )
日時: 2024/03/19 21:55
名前: らぼんとん (ID: fBrjyb6/)

お"ぉ"い"さくらもT!
約束守れや!
読んで!
せめて読んで!

Re: 雨の日の体験談 ( No.2 )
日時: 2024/04/05 13:52
名前: 腐ってる豆腐 (ID: YohzdPX5)

よかったよ〜ちょっと怖かったわ


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