複雑・ファジー小説

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ダーティーフレイム
日時: 2024/03/16 19:46
名前: 須藤零 ◆1cw3yHQWPU (ID: flo5Q4NM)

初めまして須藤零(すとうぜろ)と申します。
サイバーパンクっぽい世界の、狭い片隅の話を書こうと思います。よろしくお願いします。

■雑にキャラだけ紹介■

【毒島サヨ子】Sayoko Busujima ♀
○通称「ブー子」
○トシ:20歳くらい(年齢不詳) タッパ:155cm おもさ:超秘密
○雑事屋『フレイム』アルバイト。
○一人称は「ボク」。
○貧乳。銀髪。瞳の色は赤。ブスジマという名の美少女。
○ピアスは両耳4つずつとヘソに1つ。手入れされた銀髪はその日によって長さと髪型を変える。おおむね気分による。服装はだいたいなんか地雷っぽいやつ。
○雑事屋『フレイム』の現場担当。腕からロケットランチャーが生えたりする。

【忌野丈二】George Imawano ♂
○通称「ジョージ」
○トシ:20代中盤か後半くらい(年齢不詳) タッパ:175cm おもさ:人並み
○雑事屋『フレイム』社員。
○一人称は「俺」。
○黒髪。細マッチョ。左の瞳は黒で、右の瞳は青。
○黒髪メガネ。ピアスは右耳に2つと左耳に3つ。だいたい黒いシャツと黄色いネクタイと黒スラックスにダウンジャケットを合わせた感じの服装。同じような服を何着か持って着回している。
○雑事屋『フレイム』の現場担当。剣の達人で、元は上層の軍人。

【火野ラフレシア】Rafflesia Hino ♂?
○通称「所長」
○トシ:ヒ・ミ・ツ タッパ:195cm おもさ:禁則事項よン
○雑事屋『フレイム』所長。
○一人称は「アタシ」。
○髪は金と黒のツートン。スマートな高身長ゴリマッチョ。
○ピアスは両耳5つずつと唇に1つと舌に2つ。金髪はその日によってドレッドヘアーだったりマンバンヘアーだったりアフロだったり姿を変える。色黒い肌にラテン系っぽく鼻筋の通った顔立ち。サングラス愛好者。着流しや羽織など和風が好み。
○雑事屋『フレイム』の外渉・営業・広報・経理担当。戦闘はからっきし(自称)。


Re: ダーティーフレイム ( No.1 )
日時: 2024/03/16 19:57
名前: 須藤零 ◆1cw3yHQWPU (ID: flo5Q4NM)

【ドクターオリオン】







 液マナをギュポギュポやって吸うコレは、いったい正式名称は何なんだ。

 みんな「ギュポギュポ」とか「マナ吸うヤツ」とか「液マナちゅるちゅる」としか言わんし知らん。まさかそれらの内どれかが、キミの名前って事はあるまいな。とりとめなく考えつつタンクに液マナを注いでいく。しかし今日も冷える。ありゃ、もうこんなに少ない。また液マナ買ってこないとな。このクソ寒い中でマナヒーター無しは勘弁だ。
 下層はずっと寒いけれど、上層はどうなんだろう。ずっと暖かいのかな。まあ、どうせ行く事もないだろうから知ったこっちゃないけれど。タンクの蓋を回して締める。

「ブー子まだぁ? 超さみぃ」
「うっさい、なら自分でやんなよ」
「さっきゲーム負けたじゃん」

 こっちだって寒いんだよ玄関先の冷え込みナメんな。ちくしょう急所に当たりさえしなければこっちが毒で勝ってたのに。
 泊まり込みの薄暗い雑然とした職場、廊下を過ぎればサーバーとメモリーが積み上がっている。幾らクラウド使うのが怖いからって、こんなに諸々あっては、わざわざ照明代を節約している意味もないと思うのだが真相や如何に。
 低いガラステーブルの向こう側にあるソファ、室内なのにダウンを着込んだ男が丸まっている。その下は寝巻きのままで。

「早よせい、伸びちゃうから」
「ん、なんだボクの分も(お湯)入れといてくれたんだ」

 ガションとタンクをマナーヒーターにイン。
 タッチパネルをポチっとな。
 ソファにドッカと着地して。
 割り箸パキっと鳴らして割る。
 朝と呼ぶには、あまりに昼と程近い。まあでも大丈夫でしょう。たぶん今日もお客さんは来ないと思うから。なのでタカを括って油断して、いただきますと手を合わせた直後に──。

『ディメンショーン……』

 ──悪趣味な所長の野太い声に差し替えられた、インターホンが、無情にも鳴った。

「……え、依頼人?」
「多分そうじゃね」
『ディメンショーン……』
「どうするのこれ」
「伸びちゃうよな」
『ディメンショーン……』
「居留守キメ込むか?」
「言うて今月けっこう経費ヤバない?」
『ディメンショーン……』
「いっそ、もう食いながら……」
「あ、それで行こう」
『ディメンショーン……』
「うるせえ! ってか結構連打するねえ!?」

 割り箸とカップを持ったまま、ふたりで狭い玄関へ向かう。



 どこの雑事屋にも門前払いをされた。
 むろん理由は分かっている。私が上層の、しかもオリオンというマナ科学研究者の娘だから。
 ただでさえ下層の人々は上層を良く思っていない。まして父にまつわる事となれば、厄介事に巻き込まれたくないというのが本音だろう。

「気の毒だがな。ああ、そういや毒と言えば……あそこなら受けてくれるかもなぁ」

 ある親切な雑事屋は、去り際に言い残した。
 薄暗く整備の行き渡っていない下層を、巡る配管の中を歩きに歩き回り、この場所と屋号を知るに至った。これで47軒目になるか。ここでも断られたら、次はどうしようかしら。
 縋る思いでインターホンを幾度か鳴らしても出ない。時間にルーズな下層ではままある事と、いい加減に学んだ。また出直すしかないか、そう思って次を当たろうとする。
 ……本当にこれがインターホンで合っているわよね。押す度おじさまの声で「ディメンショーン」と聴こえてきたけれど……。
 ため息が出るのも致し方なしだ。
 けれどバタバタと足音がして、電子ロックの解かれる音がした。



 左右に黒い扉が開く。
 あれま、また場違いな。それが今回のお客さんに対して素直な感想だ。
 丁寧に編み込まれた金髪。黒いワンピースに白いカーディガン、肩掛けのポシェットはどっちも高級っぽい。だって質感が違うし。
 見た感じ護身用の得物もナシ。こりゃもう「追剝してください」って看板掲げているようなモンだと思うんだけれどな。どう見たって上層の、いいとこのお嬢さんでしょ。しかも世間知らずっぽい。
 まあ、さておき、とりあえず。

「ええと……ようこそ雑事屋『フレイム』に……助手の毒島サヨ子(ブスジマサヨコ)です……」
「出るの遅れて申し訳ない、あと食事しながらで失礼……社員の忌野丈二(イマワノジョウジ)です……」

 お嬢様は面を食らっているようだ。
 流れる静寂の中とりあえずボクらは、伸びる前に麵を喰らう。




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