複雑・ファジー小説
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- sea castle
- 日時: 2025/06/19 08:06
- 名前: 聖 華月 (ID: gobBUkxM)
「ちょっと、エマ!!ここ、ホコリあるんだけど!!」
「す、すいません」
姉、みずさの言葉に、私、白羽エマは、びくびくしながら、なんども頭を下げた。
みずさは、ため息をつくと、ドアを乱暴に閉め、出ていった。
エマは、また静かに、掃除を始める。
私は....親の顔を知らない。
物心ついたとき、この家に買われた。
孤児院で何年も知らないひとと暮らしていただけあって、私を買いたいって人が現れたとき、すごく嬉しかった。
家族が....できるんだって。
でも、私に与えられたのは、家族の権利じゃなくて、「雑用係」
この家の人は、メイド代や、コックのお金を節約するために、かわりに家事をやる人を探していた。
だから、私はただのお手伝い。掃除、料理だけやらされ、外になんて出させてもらえない。
最初はそれが悲しかった。でも.....あれから何年も立って、私は、何も感じなくなった。
これがー....私の運命なんだ。
エマは、無言でほうきを持ち、そこら辺をはき始める。
そのー....ときだった
バンッ!
後ろの窓が、空き、風が入ってきたのを感じる。
なびく髪に、邪魔されながらも、後ろを向く。
そこには、栗色の男の子がいた。
(だ、だ、誰!?)
「あっちゃー...みつかっちゃったよ」
男の子は、やっちまったという顔で、頭をかく。
「おい。ミラ!『あれ』は見つかって....っては!?」
「もー!!見つかっちゃったの!?」
(みつかった....?も、もしかして、この人たち....盗賊!?)
少し後ずさったとき
「ねえお母様!上でなんか物音がしたわよ」
みずさと、母様が上がってくるのにきづく
「あーあー....しょうがないか」
男の子が私に手をのばす
「.....っ」
(殺される....)
と、思ったが
「ひょいっと」
予想外に、私の体は、宙にういた。
男の子に......抱えられたのだ
「口封じとして、君には俺達についてきてもらうよ」
(えー!!!)
男の子は、エマを抱えると、仲間と一緒に外に出て、屋根を飛び越え、すごいところを歩いたり....
(た、たかい!!こ、この人たち、なにもの....)
そして、エマはハッとした。
(あ.....外に出るのいつぶりだろう)
外の空気。青い空。人々の話し声。
その一つ一つが新鮮で、なんだか嬉しかった。
そして、そのころ家では
「ちょっとお母様!!あの子きえたわよ!?」
「逃げたのね.....そうはさせないわ。あのこは、私の節約の道具だもの。みずさ!軍隊の人達を呼んできて」
「え」
「いったでしょ?どんな方法を使っても、あの子は逃さないわ」
「よっと」
そのころ、ミラとエマたちは、とある場所に降りた。
「ほら」
丁寧に降ろされる。
そして、エマはすぐ身構えた
(人がいないところで、口封じに殺すのかもしれない.....)
その時。
「んっ....!?」
いきなり、パンが口に入れられる
「な、なみぃ!?」
「パン。君さ、軽すぎ。あれは、ごはん食べてるひとの重さじゃないよ。大丈夫。毒なんて入ってないし」
ほんとは、怖かった。でも、最近はご飯をろくにもらってなくて、腹ペコだった。
パンを噛む。
「っ.....おいしい」
やわらかくて。あたたかい
「そうだろ?俺の行きつけのパン屋のだからな」
「ミラ....そのパンや今日行ったとこでしょw」
そこで笑いが起こる。
温かい笑顔。優しい空気
ミラは、エマの異変に気づき、笑うのを辞める
エマの頬に水滴がつたる
「うっ.....ひっく.....ひっく」
初めて知った。私、ほんとはずっと辛かったんだ。
少し、暖かい空気が流れただけなのにー....
安心して....涙が出るんだ。
ミラは、微笑み、エマの頭に手をやる
「君、名前は?」
「エ、エマ....」
「俺はミラ。君には、盗賊ってバラされないよう、口封じのために、今日から、俺達の仲間になってもらうね!」
(口封じ....のため.....わかってるけど)
「は、はい」
この人達といると、昔のー...私が取り戻せるような気がしたから。
「よっし!決まりだな。えっと、こっちは、イロハ。カセ。るる」
「「よろしくね~♪」」
そう、和んだ空気が流れていたとき。
「ミラさーん!!」
帽子を被った男の子が。
「依頼来ました!報酬は、60万。ミルヴァ貴族が開く、このパーティーで、『ある戦い』で勝った人に送られる、願いが叶うと言われる、『シャインベル』」
と、招待状を見せる。
「ある戦い?ってなんだ」
「それが....ミルヴァ貴族が、最近、恋愛童話にハマってるらしいんですけど.....」
「?」
「そこで実際のカップルが見たいとかで、.....カップルオーディションをするらしいんだ」
「は!?」
「そのオーディションで優勝したら、『シャインベル』がもらえるんだ」
「か、かっぷるー!!??俺、今まで、一度も、モテ気きてないんだよ!?無理に決まってるだろ!」
その言葉で、また場が和んだ。
なんでだろ。
ミラは不思議な人だ。
喋ってると、自然に笑ってしまう。
そして、ふいと、この居心地がいい場所にずっといたいって思った。
このときはー....しらなかったから。こんなことを思ったんだと思う。
私とかかわったせいで
君が.....私の大切な人を失ってしまうことになるなんてー.....