複雑・ファジー小説

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異史•第二次世界大戦 ~帝国存亡の道標~
日時: 2025/09/01 20:57
名前: ドドリア様 (ID: SCMOcoS4)

1941年、米ソの緊迫した対立が激化する中、ドイツ、日本もソ連に追随し、未曾有の三国同盟が結成された。かつての敵同士が手を結び、新たな世界秩序を目指す。

狂気に満ちた独裁者ヒトラー、合理主義で冷徹なスターリン、そして礼節を重んじる寡黙な武人、東条英機。三人の異なる天才が、共に世界の覇権を賭けた壮絶な戦いを繰り広げる。

南極の氷原に秘められた陰謀、裏切り者の影、そして激動する戦局。盟友三帝の絆が試され、世界の未来が揺らぐ。

もしも歴史が違う道を歩んでいたなら――。
冷徹な視点で綴る、戦争と権力、そして人間の狂気と計算が交錯する異史物語。

第一話 ソヴィエトの画策 ( No.1 )
日時: 2025/09/01 23:27
名前: ドドリア様 (ID: SCMOcoS4)

その日、世界に大きな衝撃が走った。日本の新聞は、でかでかとこの事件を報じた。
「1941年 3月12日 蘇、米国ㇸ侵攻セリ。米国、英国ト協調ノ兆シ。新ナル大戦、此処ニ勃発セリ」
東の大地に静寂があった。
氷と雪に閉ざされた広大なソ連の大地は、長年の静けさを破り、今、戦火の狼煙を上げた。誰もが驚いた。
大洋の向こう、強大と謳われたアメリカ本土へ、ソ連の軍旗が翻るとは——。

冷徹な指導者は、長き沈黙の果てに動いた。鉄と氷の軍団は、冬の闇を切り裂き、嵐の如く大西洋を渡った。
その行動は計算され、緻密で、冷酷そのもの。時代の流れを揺るがす一撃。世界は息をのんだ。
かつてない激震が、地球の裏側から轟き始めたのだ。

敵であり同盟者でもあった大国の心臓部を突く、冷徹なる一手。この瞬間、世界の均衡は崩れ去り、
新たな戦乱の幕が切って落とされた。
 ≪スターリンの場合≫
冷たい冬の夜。
窓の外に広がる暗闇をじっと見つめる男の瞳は、凍てついた湖のように澄み渡っていた。
「時は来た」
声には感情の揺れはなく、ただ静かな確信だけが宿る。計算され尽くした一手。
世界の力の均衡を一瞬でひっくり返すための冷酷な賭け。
彼の胸中には感情が渦巻いていたわけではない。憎悪も恐怖もない。
あるのは、目的に向かう合理的な意志と、成功への冷徹な執念。

「アメリカを叩き、世界の支配権を奪い取る」
そのためには手段を選ばぬ。犠牲も、裏切りも、欺瞞も。

目の前に見える地図には、敵の大地が広がる。
そこに刻み込まれる未来の勝利の足跡を、誰よりも明確に描いている。

「全ては計算通りに動く」

氷の心臓は冷え切り、しかしその鼓動は力強く、未来を切り拓く闘志に満ちていた。
 ≪ルーズベルトの場合≫
執務室の重い空気が一変した。報告書を前に座る大統領の顔が青ざめる。
ソ連軍が突如、アメリカ本土へ侵攻したという信じ難い情報が、
重く、冷たく彼の胸を締めつけた。
「そんなはずはない…」
呟きは徐々に震えに変わり、やがて狂気の影を帯びていく。
長年、油断しきっていた相手の牙が、
今、間近に迫っている。
威厳に満ちた彼の姿は崩れ、
恐怖と絶望が心を覆い尽くす。

「おのれ...スターリンめ…わがアメリカに牙をむくとは、いい度胸だな...」

目の前で世界が音を立てて崩れていく。
だが彼は、それでも勝利のみを、信じて疑わない。

狂気に満ちた決意。
それは新たな破滅の序章となる。

日独ソ三国同盟、締結 ( No.2 )
日時: 2025/09/02 23:06
名前: ドドリア様 (ID: SCMOcoS4)

≪東条英機の場合≫
「クソ…アメリカめ、禁油なぞしおって…これでは国民の生活が蔑ろだ。どうにかし譲歩を引き出したいところだが、あのルーズベルトが極端な排日主義者である以上、無理であろうな」
東条は一人、首相官邸室で呟いた。1938年から続く、米国の極端な禁油政策。東条自身も国民も、我慢の限界に達していた。するとーーーー、

バァン!

執務室の扉が音を立てて開いた。

「閣下!緊急電であります!」息を切らした若い将校が叫ぶ。

「なんだ、騒々しい」じっと将校を見据える。剃刀とよばれた彼の瞳には、
確かに、切り裂くような鋭さが宿っていた。
「本日未明!ソヴィエト連邦書記長スターリン閣下が、突如として米国侵攻開始!社会主義参入を拒否されたためのこと!繰り返します!」将校の復唱を聞くでもなく、じっと彼は壁に目をやる。そしてその瞳に、徐々に光がよみがえってくる。
「それだ............」
≪ヒトラーの場合≫
「ヨーロッパは大体片付いた。アメリカがソ連とにらみ合っているお陰で、余計な手出しがなくてやりやすいことこの上ない。」ベルリンの地下壕。彼の周りには幾人かの将軍が集まっており、ヒトラー自身地図を開いて作戦会議をしている。すると。
「総統閣下!ソ連からメッセージがたった今送られてきました!」作戦参謀が駆け込んできた。
「なんだ、見せてみろ」参謀から秘密文書を受け取り、眼鏡をかけ直してじっくりと目を通す。
「ふむ....」手紙から目を放して、将軍らを見回してこう言った。

「軍事要請だ」

驚きが走る。
「下らんな。我々はそんなことしている暇など…」
手紙を丸めて捨てようとしていた手が止まる。
「待てよ、わが核兵器の威力を試すいい機会やもしれん」

ドイツの決断

ヒトラーは、ヨーロッパの支配を目指し続けていたが、ついにアメリカの動きに直面した。大西洋を横断するアメリカの戦艦、そしてアメリカの補給線に支えられた連合軍。ヒトラーは、アメリカの力を削ぐため、そして自国の独立を守るため、より強力な連携を模索していた。だが、どの国と手を組むべきか。 ソ連と手を組むことこそ、最大の勝算とヒトラーは直感していた。

「我々は無敵だ、共に立ち向かう者は誰もいない」ヒトラーは自身にそう言い聞かせ、最終的にスターリンに接触する決断を下す。

スターリンの冷徹な決断

スターリンは、かつてはドイツとの対立を続けていたが、アメリカの急速な勢力拡大と、アジアでの日本の動向を見て、一つの戦略を考案していた。もちろん、ヒトラーとの連携にはリスクが伴う。しかし、戦争の渦中で、最終的にアメリカを排除するためには、日独と協力し、戦線を二つに分ける必要があると考えていた。

スターリンは、ドイツの進撃を止めることはできると信じ、最も冷徹な選択肢を取った。直接的な接触を避け、背後で着実に連携を進める。その動きが、次第に形を成していく。

「この連携が必要なのだ」スターリンは、冷徹な目で地図を見つめ、手を組む時が来たことを悟る。

日本の選択

日本は、アメリカの禁油措置を受け、いよいよ資源の確保が絶対的な課題となっていた。特に、南方資源の確保と、アメリカとの戦争回避が焦点となる中、唯一の希望は日独ソの三国同盟だった。特に、ソ連の持つ資源と広大な領土に目をつけた日本政府は、他国との戦争を避けるためにも、連携を模索していた。

東条英機は、複雑な戦略を駆使して、ソ連との連携がアジアの支配を確保する鍵であると確信していた。ヒトラーの動きが鈍いことを知り、東条は早急にその隙間を埋めるべく、スターリンとの接触を決意する。

「我々の未来は、共同で戦うことでこそ築かれる」東条は、日本の力を最大限に活かすため、冷徹な判断を下した。

1941年 ドイツ ベルリン 日本時間7月12日 午前9時00分

1941年の夏、ベルリンで歴史的な会談が開かれる。ヒトラー、スターリン、そして東条が顔を合わせたその時、全世界の運命が揺らぐ瞬間が訪れた。

ヒトラーが静かに言った。「我々の道はただ一つ、アメリカを倒すことだ。ドイツ、ソ連、日本が一つになれば、世界を支配できる」

スターリンは冷静に答える。「我々にはすでにアメリカを打破する力がある。共に戦えば、どんな困難にも打ち勝てるだろう」

そして、東条英機は、理性的に語る。「アジアの平和を守るため、また、世界秩序を確立するために、この同盟は不可欠です。我々が協力し合うことで、未来が切り拓かれる」

会談は数時間続き、時折冷徹な言葉が飛び交う中、三国の意志は一致する。翌日、ベルリン協定として知られる合意が署名され、日独ソ三国同盟が正式に結成された。

三国同盟の誕生 ― 新たなる世界秩序

その瞬間、世界は静かに揺れ動いた。日独ソ三国同盟が結成されたことにより、アメリカは二正面作戦を強いられ、欧州、アジア、そして太平洋を巡る戦争は新たな段階へと突入する。

アメリカは、三国同盟の成立を知らされるとともに、その脅威を肌で感じることとなる。アメリカの反応は、警戒心と憤りの入り混じったものとなり、同盟国の背後にある冷徹な思惑を理解するのに時間はかからなかった。

一方、日独ソ三国は、次なる戦局へと進むため、各々の戦略を駆使しつつ、アメリカとその同盟国を圧倒するための準備を進める。その時、世界の命運はすでに決定したかのように思われた。


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