複雑・ファジー小説

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赫血の館#1
日時: 2025/09/03 16:41
名前: will (ID: gobBUkxM)

🌕 あらすじ(小説プロローグ)

ある日、主人公・**神谷 葵(かみや あおい)**は、中学時代の友人たち5人から突如届いた1通の招待状に誘われ、山奥の廃村にある「白曇館(はくうんかん)」に向かう。
招待状にはただこう書かれていた——

「約束の場所で、あの日の続きを始めよう」

訪れた館は、長年放置されたとは思えぬほど整然としていた。
だが夜が更けると共に、仲間たちが一人、また一人と“消えて”いく。
館には“何か”がいる。
そして葵の脳裏に、封じていた「12年前の罪」が蘇る——

🕯️『赫血の館』
第1章:扉が開く音

「神谷さん、…来てくれたんだね」

廃村に足を踏み入れた瞬間、澱んだ空気が喉を圧迫した。
風も音もない。まるで、世界から切り取られた空間のようだった。

立ち並ぶ木々の間に、ぽつんと佇む白曇館(はくうんかん)。
曇天に溶け込むような、灰白色の洋館。その扉の前には一人の少女が立っていた。

沢渡 美琴。中学時代の同級生。
彼女は変わらない…けど、どこか、目の奥が冷たい。

「他のみんなも来てるよ。懐かしいね…あの頃と同じメンバー」

思い出せない。
“あの頃”に何があったのか、なぜここに来たのか——
それでも、足は自然と扉へと向かっていた。

館内

扉はまるで“誰かに開けられたばかり”のように軽く開いた。

ギイ…という音が鳴る。
埃の匂いが鼻を刺すかと思いきや、意外にも館内は整然としていた。

「おっ、来た来た!葵ー!」

**春日 陽翔(はるひ ひなた)**が笑顔で手を振る。
今も変わらず明るく、場を和ませる雰囲気を持っている。

「さっきまで、全然違う方向に行っちゃっててさ。で、美琴と合流したんだ。偶然!」

「偶然」…?
この館の中で、偶然なんてあるのだろうか。

数分後、全員がリビングに揃った。

春日 陽翔:ムードメーカー

真壁 優夜:スマホで何か調べ続けている

千早 美鈴:一言も喋らない

沢渡 美琴:ただ静かに皆を見ている

そして——

神谷 葵:わたし

「おかしいと思わない?誰が呼んだか、誰も知らないのに全員来た。普通、あり得ないよ」

優夜が低い声で呟く。

「でも…僕は知ってるよ。この館、“本当に”あるはずなかったんだ」

その言葉に、一瞬場の空気が凍った。

「どういう意味?」

「…この村は、もう地図から消えてる。10年以上前に“封鎖”されたんだ」

そして、夜が来る

時計の音が響く。
リビングの大時計は午後7時を指している。

「これから夜になる。できれば部屋で休んで——」

カシャン

突然、リビングの照明がすべて落ちた。

同時に、階段の上から軋む音が聞こえてくる。
何かが、重たい体を引きずりながら——

ドン…ドン…ドン…

床を踏み鳴らす音が、少しずつ近づいてくる。

そのとき、館内に響き渡る声。

「やくそくを……まもれ……」

声ではない。呻きに近い。
だが確かに、誰かがそこにいる。
「誰か、電気を…」葵が呟いた瞬間、館内の暗闇が一層深まった。

リビングの片隅で、春日 陽翔がふと顔を歪める。
「変だな…スマホのライトも反応しない」

「停電じゃないの?」美琴の声が震える。
その時、階段の上から低く、冷たい足音が響く。

ドン…ドン…ドン…

重く、ゆっくりとした足取り。
何かが確実にこちらへ近づいてくる。

「やっぱり、階段の方に行ってみよう!」優夜が立ち上がった。
「危険かもしれないけど、ここにいるよりは…」

しかし、葵はそれを止めた。
「待って、陽翔!今は一緒にいよう」

だが、その言葉が終わる前に——

ガタンッ

音のした方を見ると、春日 陽翔が床に倒れていた。
無表情な顔、瞳は虚ろ。何かに取り憑かれたかのように。

「陽翔!?」

陽翔はゆっくりと起き上がり、静かにこちらを見た。

「やくそくを……まもれ……」
その声は、まるで陽翔の口から漏れたかのようだった。

皆が凍りつく中、陽翔はゆっくりと廊下の奥へ歩き出す。
足取りは機械的で、まるで操られているよう。

「やめて…陽翔!」葵が追いかけるが、距離はどんどん離れていった。

廊下の先には、ひんやりとした空気が漂う地下室の入り口が見える。
扉は半開きで、中からは赤黒い液体がゆっくりと滲み出していた。

「陽翔!」葵は叫んだが、もう遅い。
陽翔は地下室の闇の中へ消えていった。

カチッ

地下室の扉が、重々しく閉まる音。

一瞬の静寂のあと、リビングに響き渡るは陽翔の叫び声——
陽翔が地下室の扉の向こうに消えたあと、リビングには重く不穏な沈黙が漂った。

「行かないと……」葵は震える手で懐中電灯を握り締めた。胸の中に、彼を置き去りにできない強い決意があった。

地下室の扉は少し開いている。そこからは、冷気が押し寄せ、息が白くなるほどだった。

ゆっくりと扉を押し開けると、懐中電灯の光が地下への階段を照らす。湿った空気が鼻を刺し、かすかに血の匂いが混じっていた。

足音を殺しながら、一段一段降りていく。階段の先は漆黒の闇。光はすぐに届かなくなり、深い静寂だけが広がる。

「陽翔…?」葵が震える声で呼びかける。答えはない。

しかし、足元に何かが触れた感触があった。見れば、それは陽翔の制服のボタンだった。

「陽翔…ここにいるの?」

壁に赤く血で書かれた文字が目に入る。

「約束を守れ」

その時、背後から冷たい風が吹き抜け、地下室の扉が勢いよく閉まる音が響いた。出口は閉ざされてしまった。

「閉じ込められた…」

だが今は後戻りできない。葵は深く息を吸い、恐怖を押し殺して闇の奥へ進み出す。

薄暗い廊下の壁には、古びた新聞の切り抜きや、血文字で書かれた不気味な言葉が貼られている。

そのうち一枚の新聞には、封鎖された村の過去と、“赫血様”と呼ばれる呪いの伝説が書かれていた。

闇の中、葵の耳に再び呪いの声が囁く。

「やくそく……まもれ……」

地下の奥で、葵はついに倒れている陽翔を見つける。彼の目は虚ろで、口からは同じ言葉が漏れていた。

突然、背後から冷たい気配が迫り、深い闇の中に赤く光る瞳が浮かぶ——

「おまえも約束を守るのだな?」
第4章:赫血様との対峙

闇の中に浮かぶ赤い瞳は、まるで生きた悪夢のようだった。冷気が葵の全身を包み込み、呼吸が苦しくなる。

「おまえも約束を守るのだな?」

その声は低く、鉄のように冷たかった。

葵は一歩も引かず、陽翔の手を強く握り返す。

「あなたは…誰? 何を望んでいるの?」

赫血様はゆっくりと姿を現した。黒い影のような体は揺らめき、その中心から血のように赤い光が滲んでいる。

「ここは約束を交わした者の牢獄だ。かつてこの館で裏切りが起こった。赫血の契約が破られ、呪いが生まれたのだ」

「陽翔は…?」

「彼もまた、約束を破った者の一人。だがお前は違う。お前が約束を守るかどうか、それを試しに来た」

葵は息を整え、決意を込めて言った。

「約束…って、何の約束?」

赫血様はその声を囁き、彼女の心に直接語りかけた。

「命を繋ぐ約束。救いを願う約束。さもなければ…館の血に飲まれるのみ」

突然、館の壁が震え、赤い霧が立ち込める。葵の視界が歪み、選択の瞬間が訪れた。

選択肢:

赫血様と対話を続け、真実を探る

陽翔を連れて逃げ出そうと試みる

呪いを断ち切るために何か方法がないか探索する

仲間に助けを呼び、協力を求める
第4章:赫血様との対峙

闇の中に浮かぶ赤い瞳は、まるで生きた悪夢のようだった。冷気が葵の全身を包み込み、呼吸が苦しくなる。

「おまえも約束を守るのだな?」

その声は低く、鉄のように冷たかった。

葵は一歩も引かず、陽翔の手を強く握り返す。

「あなたは…誰? 何を望んでいるの?」

赫血様はゆっくりと姿を現した。黒い影のような体は揺らめき、その中心から血のように赤い光が滲んでいる。

「ここは約束を交わした者の牢獄だ。かつてこの館で裏切りが起こった。赫血の契約が破られ、呪いが生まれたのだ」

「陽翔は…?」

「彼もまた、約束を破った者の一人。だがお前は違う。お前が約束を守るかどうか、それを試しに来た」

葵は息を整え、決意を込めて言った。

「約束…って、何の約束?」

赫血様はその声を囁き、彼女の心に直接語りかけた。

「命を繋ぐ約束。救いを願う約束。さもなければ…館の血に飲まれるのみ」

突然、館の壁が震え、赤い霧が立ち込める。葵の視界が歪み、選択の瞬間が訪れた。

選択肢:

1赫血様と対話を続け、真実を探る

2陽翔を連れて逃げ出そうと試みる

3呪いを断ち切るために何か方法がないか探索する

4仲間に助けを呼び、協力を求める
葵は深呼吸をして、震える声で答えた。

「話を聞かせて。どうしてこんなことが起きたの?」

赫血様の赤い瞳がゆっくりと揺れ、囁くように語り始めた。

「昔、この館に住んでいた者たちは、互いに助け合い、生きるために“赫血の契約”を結んだ。血を以て誓い、命を守ると約束したのだ。しかし、ある者がその約束を破った。欲望に負け、裏切りが起きた。その代償として呪いが生まれた」

「裏切った者は…?」

赫血様は静かに指を指し、館の壁に映る影がうごめいた。

「彼らは今もこの館に囚われ、魂は彷徨う。陽翔もその一人だ。お前は彼らを救うことができる唯一の存在。だが、約束を守る覚悟がなければ、すべては終わる」

葵はその言葉を胸に刻み、決意を新たにした。

「約束…私は守る。仲間を、陽翔を救うために」

赫血様の影はゆっくりと消えていき、地下室に静寂が戻った。

だが、その静寂の中で、微かに陽翔の呼吸が戻るのを感じた。

懐中電灯の光で陽翔を支えながら、葵は地下室からの脱出ルートを探し始める。

しかし、館の闇は深く、試練はまだ終わっていなかった——


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