複雑・ファジー小説
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- リト
- 日時: 2026/02/19 13:46
- 名前: ひとつの欠片 (ID: YbTFrQZ7)
「おい!おい、リト!お前、その痣はなんだ?」
「またリトだ…」
「勘弁してくれ、英雄様が旅だったってのに」
「迷惑ごとになりそうだ」
僕はリト。急に僕の首筋に痣が浮いてきたのだ。懐かしいような…。母さんも確か、同じ痣があったはずだが、幼い頃に病で亡くなってしまった。それと同時期に僕のじいちゃんが亡くなってしまった。若くして父さんが村長となった。予期せぬじいちゃんの死は父さんにのしかかった。出来の悪い息子を抱えながら……
「リト?リト!聞いていたか?」
「ん?ああ、聞いてたよ。村全体の意思なんだろ?いいよ別に」
「リト……。いっつもごめんなあ」
「いっつも遊び歩いてるから、なんとなくここら辺の地理は強いんだ」
「あんな掟破ってしまおうか!」
掟、とは『痣を持つものは災いをもたらすもの』らしいが、母さんは痣を隠していたらしい。災いをもたらすものか……僕にピッタリだな。農業サボってまで遊び歩いている僕に……父さんが頑張ってる間に…
「父さん、やめといて。父さんはまだ若くして村長になった信頼を築くのが大切だよ。僕なら大丈夫だって」
「そうだなあ〜。お前は母さんに似て、強い子だ。英雄様もお前を気に入ったんだ。きっと大丈夫だな……」
英雄様……最近、魔物の活動が活発になった原因を見つけ、旅立ってしまった。心配そうな眼差しを残して……。
「父さん、僕、もう行くよ。夜の間に出ていくよ。みんな、村一の遊び人を見たくはないさ」
「リト、じゃあな。生きていれば、父さんは嬉しいよ。ごめんなあ、庇ってやれなくて」
何も返す言葉が見つからなかった。なんで、父さんが謝るのか僕を庇うのか。僕にはわからないから、
「じゃあね」
短い短すぎる言葉で返した。
村を出て、少しすると風がなんだか寒く感じた
母さん、貴女のことを僕は覚えていません。でも、少しだけ父さんたちを守ってやってください。僕にはこれくらいしかできないよ。
太陽が昇るとともに僕の瞼を押し上げた。
昨夜はあまり時間がなかったので村を出て少し行ったところの森で野宿した。夜ご飯は父さんと済ませてきたので、あとは寝るだけだった。これからどうしようかと考えているところに、誰かが迫ってきていた。誰だ?山賊?人型の魔物?
「おーーーーーーーーいいいい!」
うん。よし、逃げよう。
続く……
