二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: *仮面ライダー* ( No.33 )
- 日時: 2011/05/28 17:16
- 名前: 優貴 (ID: AZJJ1pU1)
>>28の続きです!
「比奈ちゃん、おはよう」
「あ、おはよう、映司くん」
朝から笑顔で明るく挨拶をする映司に、比奈も微笑を浮べて返事をする。
「昨日の……赤羽くんだっけ? 怖かったよ……」
「そうだね……」
「でも、あんな人まで助けようとするなんて、映司くんはやっぱり凄いよね。尊敬するよ」
「そう?」
そんな風に昨日の事を話していると、ガラガラ、と音を立てて扉が開いた。
その瞬間、一瞬、賑やかだった教室中が静まり返った。
(あ……)
噂をすれば影がさす、とはこの事だろうか。
扉の方で堂々としたオーラを漂わせながら立っていたのは、昨日、帰路の途中で偶然出会った彼であった。
(赤羽くんだ……)
映司は、無意識の内に、アンクをじっと見つめていた。
「どけ」
「あ……はい」
扉の近くに立っていた男子を軽く押し退けると、そのまま自分の席の方へ突き進んでいくアンク。彼の通る所には、自然と人はいなくなっていた。皆、彼の事を恐れているため、無意識の内に彼の事を避けているのだ。
そして映司の横を通った時、ふと、映司とアンクの目がばちりと合った。
「おいお前、何見てやがる」
「えっ」
映司はいきなり話しかけられ、びくりと肩を跳ね上げ小さく声をもらした。そして、何か話さなくてはいけないと思ったのか、咄嗟にこう言い放った。
「おっ……おはよう」
刹那、クラス中の視線が映司の方へ集まった。同時に教室の一部がざわめく。
映司は視線を感じ、辺りを見渡しながら、あれ、と呟いた。そしてアンクの方へ視線を戻すと、苦笑いを浮かべ問いかけた。
「俺……今、何か変な事言った?」
その時、今ここにいる全員が、全く同じ事を思った。
ああもうダメだ、と。
しかしアンクは、予想外の表情を浮べた。
「ふっ」
映司の言動が単純に面白かったのか、嘲っているだけなのかは分からないが、とにかく彼は微笑を浮べたのだ。
それを見た映司を含む全ての人間が、少し驚いたようにきょとんとした表情を浮べた。
アンクはそれを気にする様子もなく、映司の席の斜め後ろの席に堂々と座った。
それを確認した一部の男子生徒が再び喋り出したのを発端に、再び教室に賑やかな喋り声が溢れだした。……どこかぎこちなさは残っているが。
それとほぼ同時にチャイムが鳴り、生徒が自然と各々の席につく。
暫くしてそこに担任の知代子が入ってきたため、そこで漸く教室に蔓延していた気まずい雰囲気が消え失せたのだった。
*続く*