二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナイレ〜memory〜 NEW28.熱 コメント数… ( No.310 )
- 日時: 2012/03/10 23:09
- 名前: 奈流羽 (ID: 6DNfJ1VU)
*29.風丸〜サイド〜*
俺は昨日のことを、円堂に聞いたんだ。
昨日俺はちょっとした風邪で休んだ。
微熱だったし、早めに休んだおかげで1日で回復した。
1日ぶりに学校に来て、部活へ。
もちろん朝練をしに。昨日の分までがんばらないと、と気合いを入れていた。
空音が、話しかけないでほしいといったあの日からサッカー部がやけに静かになった気がする。
もしかしたら気のせいかもしれないけど。
秋も春奈も妙に元気がないし、木暮だって自分の言ったことを反省してるのかいたずらをしなくなった。
ほとんどの人が元気がなくなったのだ。
今日は早く来たため、まだ誰もいなかった。
1人部室で着替えながら、今日のメニューはなんだろうと考える。
まずは走り込みだろう。きっとグラウンドを十数回はしって。
それからパス回しだな…。
しばらくすると、ガラガラッっとドアが開き、ひょこっと円堂の顔。
俺には少し元気がなさそうに見えたのは気のせいか。
その時はそう思った。
「風丸、はやいな。」
そういう円堂の声が心なしか低い。
「そうか?」
「あのさ、、いいにくいんだけど。」
重々しく円堂は口を開く。
いやな予感がする。
円堂、たのむからその低いテンションはやめてくれよ。
いつもの、明るい円堂で楽しい話をしよう?
「空音、な。」
だめだ、やめてくれ。
「人を…」
やめろって。
「いじめてたんだよ。」
一瞬、時間が止まったように感じた。
しん…と静まり返った二人だけの部室。
沈黙が続く中、俺は考え続けた。
空音が、イジメ?
そんな、ばかな。
確かに冗談は言ってくるけど。
アイツが、そんなことするはず…
「俺も、しんじようとおもったよ。」
沈黙を先に破ったのは円堂。
「仲間だと思ってたから。」
思って…“た”?
“た”ってなんだよ。
なんで過去形なんだよ。
「でも、その子は、腕から血を流してた。」
は…?
「空音は…。空音は、その血が付いたナイフを、もってた。」
「そんな…
そんなでたらめ言うなよッッッ!!!」
仲間は、信じるものじゃないのか?
仲間っていうのは、困っているとき助けてくれるんじゃないのか?
困っている仲間を、助けるんじゃないのかよ?
「でたらめじゃない。」
「ちゃんと見たのかよ?円堂。お前は、仲間を一番大切にするんじゃなかったのかよ?」
「見たよ。見た結果さ。仲間だと思いたかったけど…。あんなの見たらもうむりだよ。」
「お前は、、」
失望したよ。
俺は、お前に。
いや、お前達に。
仲間は何かを教えてくれたのは、円堂、おまえだろう?
空音は、どう思ったのだろう。
ああ言ってたけど、本当は。。
* * *
ザァー--------------------------------
雨の音が聞こえてふと目が覚める。
やっぱり信じられないさ、空音がイジメなんて。
1週間も前の話なのにな、あれ。
もちろんあの後普通に円堂と話してるし、部活だってしてる。
でも、みんなと心が一つになっていないのがよくわかる。
“パスが、つながらない”のだ。どう蹴っても。
誰に蹴っても。
みんな動揺してるんだ。おれもそうさ。
でもあいつのこと、信じてやるよ。
一番嫌いでも、仲間は、仲間だろ?
今日は早めに行こう。
もしかしたら、アイツ屋上で傘ささずにいるかもしれないし。
さっさと朝食を食べ、用意し、足早に学校へ。
机の上にカバンを放り投げ、傘だけ持って屋上へと続く階段を上って行った。
ガチャ
勢いよくドアを開けると、“アイツ”はこっちを振り向いた。
案の定傘もささずにつっ立っている。
もうびしょびしょだ。
…おそかったか。
そんなことも思ったが、とりあえず傘を差しだした。
それを受け取る空音。
羽流「お前の分は?」
そう聞かれて気づく。
そういえば…
風丸「ない。」
羽流「は?」
そう言うから言ってやった。
風丸「ないって言ったんだけど聞こえなかった?」
でも容赦なくその倍で返してくる。
こいつはいつもそうだ。
ふと、顔をみると、ほんのり赤い。
すごくしんどそうな顔。
もしかして…
風丸「お前、熱あんのか?」
そうとしか思えない。
この季節に雨かぶってるからだよ。
風丸「ちょっといいか?」
念のため手をおでこにあてる。
熱い。すごく熱いぞ。
こいつずっと我慢してたな?
風丸「お前、熱あるぞ?」
そういっても聞こえていないようだ。
さっきから上の空。
ふらっと体から力が抜け、
風丸「空音?」
支えてやる、俺。
ついに、自分で立っていられなくなったのか、倒れこんだ。
そして空音の意識はなくなった。
風丸「お、おい!?」
あわてて空音を抱えると、俺は駆け足で保健室へと向かった。
行く途中、空音が小声で、
「タ、スケテ」
といったのを、俺は聞き逃さなかった。