二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナイレ〜memory〜 ☆参照5000超え? ( No.784 )
日時: 2012/05/27 18:01
名前: 音愛羽 (ID: gIPC2ITq)

*50.止めて*



ガチャリ、玄関のドアを開けると、誰もいない家へと入る。
リビングにはソファーがあり、僕はそこにカバンを投げ置く。

頭の中には記憶という記憶が駆け巡っていた。




そう、いつだって僕は、僕の隣には「人」がいた。
いてくれていたにもかかわらず、突き放し、傷つけた。
一人だと思い、さびしくて悲しかった。
だけど、傷つけたくない、その思いからその人たちを“僕自身が”傷つけて…

最低だよ…じぶん。


円堂たちは…僕を仲間だと、信じていると言ってくれた。
擦れ違いがあっても、また戻ってきてくれた。
少しだけ…僕の感情を取り戻してくれた。



羽流「僕は…最後まで…」


そう、最後なのだから、ここで泣ければな…
すっきりできたのかもしれない。

いっそ、笑って死ねれば…





すっと台所へ。
引き出しを開けるとガチャガチャと金属のすれ合う音。
その中の一つ…----包丁----を取り出した。

キラリ、と銀色に反射するそれは、不気味に見える。

今から、そう、今から。





罪滅ぼしのつもりか。


廻り続けるサイクルから逃げるためか。




わかっている、僕は卑怯者だ。








怖いから、逃げる。
卑怯者、言われても仕方ないさ。





包丁の先を自分の喉元へ向ける。



さよなら、冷たい世界。

さよなら、最後に神様がくれた仲間。

さよなら、…みんな…










(((((本当は死にたくなんかないんだ。)))))





手に力を入れる。

本当に静かだった。

誰もイナイ、この家で。

静かすぎる、奇妙なくらいに。






でもそれは気のせいだったようだ。






カラン、


僕の手から包丁が落ちた。

いや、叩き落された…というべきか。



羽流「お前…」






((((((止めてくれる人が、いてくれた。)))))