二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナイレ〜memory〜  参照〜〜!!!?? ( No.885 )
日時: 2012/06/26 14:32
名前: 音愛羽 (ID: 4HN4VOsr)

*56.僕の過去*



家族がいなくなってしまって僕は天涯孤独、の一歩手前に来てしまった。

まだ親戚がいたから完全に孤独ではないけれど。

そう、その親戚っていうのが凛なんだ。
凛のお母さんとお父さんに僕は引き取られた。
凛のお母さんは僕のお母さんの妹。
だから。


「あんたが殺したんでしょっ!どうして!?どうして目の前で死んでいく姉さんを助けようとしなかったの!
  どうして見殺しにしたのよ!あんたのせいで…。成美ちゃんを、姉さんを、義兄さんを殺したのはあなたなんだから!
  あなたが死ねばよかったのよ!」


ひどく攻められた。
目の前で心臓の動きが鈍くなっていくのを、息が小さくなっていくのを見ていた僕は人殺しだと。
でも僕はまだ小学一年生だった。
ただ、心はもう色々と理解していたけれど。



だから何も言わなかった。
言い返せなかった。

引き取られてから凛のお母さんは僕に暴力をふるうようになった。
もちろん凛は知らなかった。
凛がどこかへ行ったときにしてたし。

家庭内暴力も僕は受け続けたけど、学校があった。
友達が心の支えだった。
一年生の僕は家族といった最後の買い物で買ってもらった新しいランドセルと一緒に学校へ行くのが楽しみだった。

それも地獄化したのは半年たった時だった。
大事にしていたランドセルが、ロッカーから消えていた。

ここからは凛たちと屋上で話した時の話さ。
いじめを受けるようになって僕の心を支えるものは何もなくなった。
ランドセルはバケツの水につかっていたし。

それを見たときもう、僕は何もなかった。
感情も、笑顔も、…
悲しいなんて思わなかったよ。
あぁ、これは神様が僕に下した天罰なんだなって。
家族を殺した僕への罰なんだよ。


凛のお母さんもお父さんも僕をかわいがってはくれなかったし。
だけど、その時美香がきてくれた。
僕の心の支えは美香になった。
とても大切な友達だって今も思ってる。
だけどこのままだったら美香も一緒にいじめられてしまうのは目に見えてた。
だから別れたんだ。
別れたくなかったけれど。
そんなことより美香を守りたかった。
傷つけたくなかったから。


そうやって僕は美香以外にも来てくれた子を追い払った。
自分で自分を孤独に染めたんだ。
誰も傷つかせないように。
誰も、僕のせいで傷を負わないように。

目の前で人が苦しむ姿はもう見たくなかったから。

イジメは僕の心を傷つける。
いいんだ、これで。


傷つくのは、僕だけでいいんだ。


そんな言葉で正当化してごまかして自分で自分の首を絞め続けてたんだ。

馬鹿なんだよ、僕は。



そうしているうちに凛が、学校の屋上から飛び降りて、自殺した。


僕が自分のことしか見ていなかったから。
僕が、凛を守ってあげられてたら…
僕がきがついていれば、凛は死なずに済んだかもしれないのに。

凛の死は、僕を一層苦しめた。


また人を、亡くしてしまった。



凛のお母さんとお父さんは、次の日死体で見つかった。
車ごと川に突っ込んでの溺死だった。
凛を亡くして耐えきらなかった。


そうやって僕は、計六人を亡くした。


僕はまた、親戚に引き取られることになった。
それがおばあちゃんとおじいちゃんだった。
北海道にいたのだけれど、僕の両親が死んだことを聞いて駆け付けたのだった。
おばあちゃんもおじいちゃんも、とても優しい人だった。


僕を大切にしてくれて久しぶりに愛情というものに包まれた。
でも僕の心はもう元になんか戻ったりしなかった。
無表情で、あまり口も利かなかったし、相手にしてなかった。
いつも優しくお帰りって言ってくれてたのに、不愛想にへんじしたり。
おじいちゃんもおばあちゃんも凛のお母さんにされていた家庭内暴力を知っていたから慰めてもくれた。
なのに僕は、手を払いのけたり…
何もしてあげられなかった。


やっと幸せをつかみ戻せたかもしれなかったのに僕はまた突き放したんだ、自分の手で。


幸せになりたいって思っていながらも僕自身が…------------



そうしてるうちに二人とも死んでしまった。

ついこの間の話だ。
驚いた?今まで続いてたんだよ、ずっと。
おじいちゃんとおばあちゃん、たぶんあの男に殺されたんだと思う。
まだ捕まってないし…、お前が殺したって言うメッセージもあったから。

長い話だったでしょ、ごめん。
でもさ、話したかったんだ。

君に、…聞いてほしかったんだよ、風丸。
なんでかわかんないよ、こんなのいままでなかったし。
まぁいいということにしてよ。

僕が死にたかった理由わかった?
みんなを殺したのは僕で、のうのうと生きてる自分に腹が立つから。
いじめ、暴力から逃げたかったから。
殺し、イジメのサイクルから抜け出したかったから…。


結局逃げたかったんだよね。
ただの弱虫だよ僕は。
つよがりなんかじゃない、弱い自分を隠してただけだったんだよ。
守りたかったのは他人じゃない、自分だったんだよ…



全部、僕自身の問題だったんだ。
僕は人間失格だ。




そう思わない、風丸…?








まっすぐ目を見つめ直し僕は、一息ついた。