二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナイレ〜memory〜 テスト期間終了!NEW!56話☆彡 ( No.899 )
- 日時: 2012/06/30 21:47
- 名前: 音愛羽 (ID: 4HN4VOsr)
*57.雫*
風丸「そんな…わけないだろ」
風丸はしっかりと言った。
羽流「そんなことあるよ。だって、逃げてただけだから」
風丸「違う。逃げてたんじゃない。ちゃんとお前は他人を守ろうとしてた。
俺だったらそんな過去持ってたらもう立ち直れてなかったかもしれない。
お前は偉いよ、空音。弱くなんかないよ、十分強い。」
そんなことないに決まってる。
だって僕は、何人も人が死ぬのを見てきた。
僕を守るために、僕のせいで、僕が気付かなかったから。
いろんな理由で亡くなった命を僕は見てきた。
確かに直接手は下してないかもしれない。
心理的には、理論的に一番悪いのは、
羽流「一番悪いのは僕だから。僕さえいなければ誰も傷つかなかった。
誰も、死ななかった。秋だって暴力を振るわれずに済んだだろうし、南も僕をいじめたりなんかしなかった。
南をいじめさせたのは僕だってことになるだろう?そん考えたら。
全部僕なんだ。僕が、ぼくがいたから」
本当のことだよ?
全部。
ウソなんかじゃないよ?
僕がいなければ南はいじめのターゲットなんかきめなかっただろうし…
僕さえいなければ…
もう窓からのオレンジ色の光は薄くなってきている。
風丸「お前がいなかったら、今この時もなかったんだぞ?
お前を思ってくれてる人がいるんだってことまだわかってないのかよ?
木野や円堂、音無。染岡達だってみんなお前のこと心配してさ。
もう俺たち仲間だろ?そう思ってるのは、俺だけか?」
羽流「仲間…」
風丸「そうだよ、おれたちは仲間だ」
ナカマダ、オレタチハナカマダ-------------------------------
さっきと同じように僕の心に響くセリフ。
君はどうしてそこまでしてくれるんだい?
羽流「…風丸」
風丸「もういいよ、何も言わなくて。もうわかったから。
俺が思ってるよりもつらかったかもしれない、他人の俺がわかる痛みじゃないかもしれない。
でも、ずっとつらかったんだろ?寂しかったんだろ?」
ずっと、?
辛くて、寂しくて、悲しくて、
でも泣けなくて、わかってくれる人はみんないなくなっちゃって、
僕自身独りはいやで、傷つけたくなくて、わざと独りを選んで…
ずっとずっと…
風丸「もういいんだぞ?強がらなくて。俺はお前のこと、わかったから。
味方なんだから。我慢すんなよ。
泣いていいんだ」
やっぱりこいつの言葉は僕の心に響くようだ。
どうしてだろう、風丸の前なら。
今なら…
羽流「泣いて…」
風丸「あぁ、いいんだよ?もう、いいんだ、何もしなくていい。
今までよく頑張ったな…」
そういって風丸はそっと僕を包み込んだ。
温かいぬくもり、何年ぶりかな?
甘えられなかった今までの僕。
抑えていたその気持ちは、透明な雫となって頬を伝って…
溢れ出した雫と我慢していた、抑えていた気持ちは止まる気配もなく。
風丸にしがみついて僕は声をあげて泣いた。
家族が死んでも流さなかったこの涙。
どれだけのけ者にされ、人殺しと呼ばれても流さなかった涙を今ここで…
羽流「うぅ…うぁぁぁぁぁ…!」
必死に流し続けていた。
温かく包み込まれながら…------------------------。