二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナイレ〜memory〜 *57.雫*セツナトリップ歌った ( No.914 )
- 日時: 2012/07/04 22:26
- 名前: 音愛羽 (ID: dfKYMG8n)
- 参照: http://koebu.com/koe/30ea4c5908fc87d01e585bd559d8f345bd882cb6
*58.幸せということ*
羽流「…今までごめん!」
僕はぺこり、と頭を下げる。
学校の放課後。いつもならば屋上にいたはずの時間。
久しぶりの部活で、今までやってなかった分を謝っている。
自然とごめん、って言えるようになったのもこの人たちに会えたおかげだ。
円堂「いいに決まってるだろ?ちゃんと戻ってきてくれたんだ、それでいい。」
羽流「うん…」
木野「いいのよ、さ…久しぶりに羽流ちゃんも戻ってきたことだし、練習はじめましょ!」
秋の掛け声にみんながうなずき、微笑んだ。
僕は、周りを見回すとアイツ、を見つけ出す。
風丸、と声をかけるとこっちを振り返った。
水色のポニーテールが揺れる。
なんだ?と綺麗な声で言った。
羽流「昨日は……その…」
風丸「良いよ、いわないさだれにも。」
羽流「そうじゃなくてさ…その…あの…」
風丸「なんだよ?」
羽流「…えっと……昨日はさ、あり…が…と」
消え入りそうな小さな声でつぶやく。
そして、本当に何年も言わなかった単語だ。
《ありがとう》なんて…
風丸「ぇ?」
羽流「だから!!ありがとって言ったんだよ!!」
きっと今僕の顔は真っ赤だろう。
さっきので聞いておいてくれたらよかったのに!
秋たちは立ち止まり僕たちを見ている。
あぁ、恥ずかしい…
風丸「…お前が俺にありがとうだなんてな」
風丸は僕を見てバカにしたように笑った。
羽流「なっ…別に言ってないし!」
風丸「いや確実に言っただろ」
羽流「言ってない…。本当にいやなやつだなお前は!」
風丸「いやなやつで結構!お前ほどじゃないしー」
羽流「うるさい…!あーもう!!ほんっとうにお前なんか大っ嫌いだ!」
風丸「調子、戻ったな…」
風丸がボソッとつぶやいた。
僕の耳には届かなかったけれど。
恥ずかしさと、また元の生活に戻ってきたうれしさが入り混じる。
秋たちはこっちを見て笑っている。
木野「元気そうでよかった」
羽流「なにが!」
木野「元に戻ってるじゃない。よかったっておもって」
羽流「…うん。相変わらず風丸はむかつくけど」
風丸「お前もな」
羽流「うっさい。言い放題だなもう。…代替女みたいなお前に言われてくないし」
風丸「なっ!!それはないだろ!?」
羽流「別に。見たまんま言っただけー」
風丸「ほんとお前はそんなことしか言えないんだな!」
羽流「お前も一緒だ!!」
僕たちがにらみ合っていると、みんなが笑いだした。
何が面白いんだ?
僕はイライラしているというのに。
円堂「喧嘩もいいけど練習すんぞー」
羽流「…忘れてた!」
むかつくけど、でも君とこうして言い合えることが僕にとってはとても幸せなんだと
君の隣にいられることが幸せなんだと
君が笑ってくれることが、僕が君と笑いあえることが
こうして、サッカー部にいられることが
僕にとっての最高の幸せなんだと気付いた。
今笑顔でいくよ。
君達が取り戻してくれた感情を胸に。
羽流「みんな…本当にありがとう」
僕の心の隅に巣くった((新たな気持ち))に気付くのはあともう少し後なのだけれど。