二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナイレ〜memory〜60.61更新完了 ついに二人が!? ( No.975 )
- 日時: 2012/08/04 23:25
- 名前: 音愛羽 (ID: d3Qv8qHc)
*63.好きです*
いつの間にか雨は上がっていて……
まともに顔が見られない。
どうしよう、ものすごく恥ずかしい。
しばらくの沈黙の中、ちらっとみた風丸の顔は僕と同じくらい真っ赤だった……
そっと風丸が傘をたたむ。前方にうっすらと虹が見えた。
「知っておいてほしかっただけなんだ。だってさ、お前は俺のこと嫌いだろ?」
僕は何も言わない。言えない……
「なんでかなぁ……、いつの間にか気づいたらお前のことばっか考えてた。
お前のためにって。守りたいって思えたんだよなぁ……。ごめんな」
そんなふうに思ってくれてたんだ。
僕も、僕も風丸のこと----
「ここだろ?お前ん家。じゃあ」
そういって青いポニーテールを揺らしながらこちらに背を向けて歩いていく。
結局僕は何も言えないまま。
何も伝えないまま……
「風、丸……」
背中を見ながらつぶやいた。
「ごめん、それと……ありがとう……僕も、好き、だよ----」
*
今日は土曜日……そう、休みだ。
練習もなし、学校もなし。ものすごく暇である。
「なんとなくぶらぶらッと歩くか」
昼間、青空の下、散歩に出かけることにした。
おばあちゃんが最後に買ってくれた淡い桜色のワンピースを風に揺らしながら歩いていた。
待ちゆく人の雑踏を抜け、河川敷へ出る。
昨日の雨で少しだけ水かさが増しているが、流れは穏やかだった。
さらりと風が吹く。今日はくくらずおろした髪と、ワンピースが風になびいた。
思わず目を閉じてしまう。
風がやみ、そっと目を開けた。目の前にはさっきと何も変わらない風景。
フッと笑うとまた歩き出す。そのうちにいつもみんなで練習する場所まで来た。
さすがに誰もイナイか……と思ったが、予想は外れ。
今一番会いたくて、会いたくない人がいた。
思考回路は同じ、ですか。
相手もこちらに気付いたらしい。
ふっと視線を外した。
いや、そらしたのか。
いつだって僕は気づけば君を意識していた。嫌いながらも心は求めていた、君を。
そして君はいつも僕の隣にいてくれた。いつも、いつだって。
僕を救ってくれて……。命の危険を冒してまで…、必死に、守ってくれた。
気づくのに時間がかかってしまったけど……でもね。
僕は、君を。
ずっと思ってたんだよね。あの時から……、初めて言葉を交わした時から、ずっとずっと。
“よろしくな、空音”“俺は、お前がなんと言おうと来るよ”“ほんと、お前バカかよ!?”
“俺がいる”
心臓は高鳴る。足は自然と動いていく。
君はこんなにも緊張した?
僕はとても……、心臓がうるさいよ。
「ねぇ、」
「……ん?」
「あのさ」
「うん」
どくん、どくん、
そっと目を閉じる。覚悟はできてる。
風丸は昨日こんな気持ちだったんだ……
「昨日は、ありがとう」
「別に……」
「風丸の気持ちはわかった。だから、」
だから、だからだから
「僕の気持ちも知ってほしいんだ」
「気持ち……?」
「うん」
「あのね、僕は……」
「僕、僕も風丸のこと、好きなんだ」