二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナイレ〜memory〜60.61更新完了 ついに二人が!? ( No.986 )
日時: 2012/08/11 15:33
名前: 音愛羽 (ID: d3Qv8qHc)

*64.甘い口づけを*






「嘘……だろ?」



なんて。
そりゃあね、僕が人をスキになるだなんて……



「ほんと」

「嘘だろ?」

「ほんとだって」

「……またまた〜」

「失礼だな、お前は! せっかく人が気持ちを伝えてやったのに」

「やったってなんでそんな上から目線!?」

「あーもーばからしくなってきた。雰囲気台無しだ馬鹿」

「ごめん」

「は?」

「ごめんって」



自分で雰囲気を壊すようなこと言っておいて。
でもずるいじゃないか。そんな、そんな好きだって気づいた人に謝られたら許すしかないじゃん。



「べつに」



ふいに風が吹く。ひらりとワンピースが風に揺れた。



「似合ってるな」

「何が?」

「ワンピース」

「へ?」

「へってなんだよ。こっちだって恥ずかしいんだけど」

「うるさいっ」


何てこと言うんだもう。
ずるいったらありゃしない。絶対今顔赤いよこれ。


「あーもう、調子狂う。僕こういうの馴れてないんだってば」

「そんなこと一言も言ってないだろ」

「言った」

「言ってない」

「言ったー」

「言ってないだろ」

「どうでもいいし。っていうか今何してんのこれ」

「……さぁ?」


風丸はふいっと横を向いた。僕はそれを目で追う。


君の名、優しく強い目、指、すべてに見とれる。
こんなの恥ずかしいけどさ……


僕は目をそらすと、そっと手を伸ばした。
指先が風丸の指に触れる。少し驚いたようだけど、しっかりと握り返してきた。

暖かくて優しいぬくもりだった。


「好きだ」

「うるさい、僕もだ」

「お前が思ってるより思ってる」

「僕はそれより思ってるから」

「どれくらい?」

「恥ずかしいだろっ」



一度触れた手と手はしっかりとつながれていた。



「羽流、」


ふいに呼ばれた自分の名。振り向くと同時に引き寄せられる。
と、唇に何か触れた気がした。
















あれ?






ななななななな!!!!


「何、」


風丸はいたずらっ子のようににやっと笑うと


「じゃ」


と、手を振って去って行った。



青いポニーテールを揺らしながら。
僕の唇に熱い何かを残して。



もう、やられっぱなしじゃないか。


そっと指を唇に当てる。
まだ残ってる、まだ、君のぬくもりが、気持ちが。

ここに……




「ばーか」


ぽつんとつぶやくと、僕もまた、一歩歩き始めた。