二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 小説NO.3 悪魔のゲーム〜second〜第2話 ( No.235 )
- 日時: 2011/11/29 04:01
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
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『先生っ!!風花ちゃんがっ…!!!!!』
『どうした!?』
なあ、風丸。
円堂?
何で、2人して逝っちゃうんだよ…
…ごめんな。
『心停止です!!!』
声に出して何度も否定した。
事故の翌日の事。術後の状態が安定していた風花の、原因不明の心停止による死。それを知ったのは家で、暗い空気の夕飯の後だった。鳴り響いた電話に不吉な物を感じて、何となく取るのをためらっていると、台所に居た母さんに早く取って、とせかされて。それで取ったら病院からだった。
言いにくそうな看護婦の声。
台所で母さんが水を流す音。
ニュースを放送するTV。
———全てが耳に入っているはずなのに、どこか遠い世界の音たち。
『え…?』
『…姫雷風花さんが、お亡くなりになりました。』
*
「…まだ、見舞いにも行けて無かったのに…!!」
「円堂君…。」
「守?」
一般病棟に移されないと、見舞いには行けない。風花は術後で、まだ移されていなかった。
だから、廊下で俺が見ただけなんだ。あれが、最後?
兄さんが不思議そうな目で見てるけど、お構いなしに涙が溢れて行く。墓場の茶色い砂に、こぼれて黒い跡がいくつも出来ては吸い込まれて、消えて行った。
「…この墓は、俺のクラスメイトのなんだ。守と同じで、見舞いに行くまえに死んじゃって。」
「スイミング仲間?」
「いや、単なるクラスメイトの女の子。」
(見舞いに行く前に死んじゃって。……か。)
花を供える兄さんの横顔は、どこか寂しげだった。
こんな時、どう表せばいいんだろう。状況まで似るって、流石兄弟、ではない気がしてさ。
不意に顔を上げると、きらきらした何かが見えた気がした。少しだけど空から降り注ぐ、粉の様な物。
「っ…」
「!!!!!!」
声にならない声を雰囲気で察知して、振り向く。…のと、ほぼ同時に秋の体が傾いた。
倒れていく秋に、とっさに駆け寄る。石畳に頭が当たらない様に。
「秋っ!!秋!!!!」
「秋ちゃ…」
ぐったりとしていて意識の無い秋。
兄さんも気付いた。それでこっちに来ようとして足を止めて、墓を振り向く。顔をしかめて墓を見ていて、俺が呼ぶとようやくこっちに来た。墓におかしい所は無いのに…。
「とりあえず救急車呼ぼう!」
兄さんがそう言って携帯電話で救急車を呼ぶ。
……何でだ。この状況、前にも…。
嫌な記憶。
繋がっている様には見えないのに、俺の中で全ての始まりだと思う日。
「……風花が、倒れた…。」
あの日、屋上で、昼、突然に。
「っ…」
*
(…守。)
丹は弟を見て、それから救急車を呼び終わり様の済んだ携帯をカバンに戻した。
それから、墓を見る。
嫌な予感がした。墓で幽霊だ、とは少し違う様な気がするが、どこかが正常では無い。秋ちゃんはマネージャーをやっている最中にこんな風にはなった事が無いと弟は言うし、体が弱いとか持病持ちだとも聞いていないらしい。
墓に彫られた文字をじっと見ても何も分からないと分かっていても、見ずにはいられない。
「俺は、現実から目を逸らしたいのかな…」
丹の見つめる先の、クラスメイトの墓。彫られた5つの文字。
〈遥河家之墓〉
そして、何となく呟く。まだ少ししか口に出していない言葉。でも、何度も心の中で呼んだ名字。
「遥河さん…。」
*to be continued...*