二次創作小説(映像)※倉庫ログ

雨音様リク☆木漏れ日の様な。Ⅱ ( No.307 )
日時: 2011/12/14 17:23
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

『…さようならっ!!』

今日の今日まで、耳を離れなかった声。

その声は、いつも通りだった。







———————いつも通り、だったんだ。



*木漏れ日の様な。Ⅱ——+Une jeune permission、若葉+——*



〜葵side

 にっこり、と笑った瑠璃花という女性の左手にはしっかりと指輪があった。あまりにも突然な、鬼道コーチのお嫁さんだったけど…。妙な親近感が沸くのは、何でだろう。

「雷門イレブンの皆さん、初めまして!!瑠璃花、と言います。20…何歳だっけ?」
「23だろう。」
「あ、そうでした!」
「瑠璃花さんもサッカー好きなんですか!?」

天馬が早速質問した。すると瑠璃花さんは顔を輝かせて大好きです、と答え…あ。もしかして瑠璃花さんって…!!!?

「FFI決勝で2点取った…」
「…1点は魁渡と一緒にだけど、確かに2点取りました!」

…無邪気だからかな。
親近感が沸くのって、多分この人が天馬とか信助みたいに無邪気だからだ。彼女の心には、きっと綺麗な光しかないんだろうな。

「〜っ、瑠璃花ちゃん!!帰って来るなら一言くれれば良かったのに〜!!!!」
「春奈ちゃん…。ごめんね、急に帰れる事に(「瑠璃花。悪いがこの後会議が入っている。」

会議。
あ、レジスタンスの会議だったっけ…。瑠璃花さんも行けるのかと思ったらそうでもないみたい。
それにしても、帰って来たって…???

「瑠璃花さんってイナズマジャパンだったんですよね!!!!」
「天馬、少し静かにしてようか。」

キラキラと目を輝かせていう天馬を、キャプテンが肩に手を置いて止める。
…何だか、ごめんなさい。

「あ、じゃあ会議が終わるまで天馬たちに話聞かせてやってくれ。」
「それに久し振りの稲妻町でしょ、色々変わってるし案内してもらったら!」
「え…」
「良いんですか!!!?じゃあ剣城も一緒に…(「行かない。」

だ、だよね〜…;

「キャプテンは行きますよね!!」

何で人を誘いたがるんだろう、天馬は。
結局、キャプテンと霧野先輩、私と天馬の4人と音無先生、瑠璃花さんで行く事に。場所は音無先生がセレクトしたカフェになったけれど…。3年の先輩方がこっそりついていく計画を立てているのを、聞いてしまいました。←




「それじゃあ、このフランボワーズのケーキで。」
「かしこまりました。」

おしゃれな店。去年オープンしたばかりのカフェの店内で、楽しそうな顔の5人……を見る3年生達。

「何であの人鬼道コーチと結婚したんだろうな。」
「鬼道コーチは、家庭的とは言えないド。」
「まずあの髪形とゴーグルの時点で結婚出来るのか怪しいはずなのに。」

…酷い言われ様です、鬼道さん。




「早く終わって良かったな、鬼道!」

円堂がそう声をかけるが、鬼道は反応せず円堂の前を歩きだした。
レジスタンスの会議は、響木監督側の情報がまとめ終わっておらず予定時刻より随分早く終わった。それなのに鬼道が無反応なのが、円堂には不思議でならない。(元からクールではあるが。)

「鬼…」
「円堂、買い物に付き合ってくれるか。」
「…?」


















「瑠璃花は恋愛系に無知で鈍感なんだ。」

青い毛糸で編まれたマフラーを右手にとって、鬼道が呟く。円堂はそれに「まあそれは分かるけど、」と返した。ただ話を聞いていると、その鈍感さが異常だと言う事が円堂でも分かった。

「『結婚』を、一緒に仕事することだって思ってた。」
「ええ???!!」
「円堂、瑠璃花の家系を良く思い出してみろ。両親は研究者で吉良財閥から依頼を受けて島に越した。そして霧を作りその霧の作用を無効にする研究に没頭していたんだ。両親の仕事に打ち込む姿を良く見ていれば『恋愛』なんて知る訳がない。」
「……」

鬼道も苦労したなぁ、と心の中で想う。
次に手にしたマフラーの手触りを確認する鬼道の後ろ姿を見ていると、それがとても不思議な姿に思えた。

「…そう言えば、そのマフラーって何に使うんだ?」
「明日には分かる。」

明日?
レジに向かう鬼道はマフラーを購入したらしい。円堂はまだ表情が少し暗い鬼道に、喫茶店を提案した。



「春奈ちゃん、ちょっとトイレ行ってくるね。」
「うん。」

瑠璃花が席を立った。
その頃になって、神童が表情を引き締める。霧野が気付き、顔を覗き込んだ。

「神童…?」
「音無先生、あの瑠璃花さんって…日本人ですよね?」
「「Σ!?」」

春奈と葵の間の空気が凍りつく。

「っ、音無先生は、結婚ってどうしてするものだと思います??!」









(熱心だなぁ、天馬って子…)

くす、と微笑みながら瑠璃花は手を洗った。冬が近いからだろうか、水は少しぬるめになっていた。
ふと、瑠璃花が目を見開く。

「…!!!!」

そして気付くのを待っていたかのように洗面所の上にある窓がガコン、と音を立てた。彼女は顔を上げ、そして関係者オンリーの扉を開け、中へ入って行った。




「瑠璃花ちゃんは付き合うってことも良く分かって無かったんだよね。でもただ恋愛感情を知らなかっただけなのか、本当に兄さんを義理の兄としか思っていなかったのかは…」
「凄いレアなケースですね。」

霧野が真面目に返す。
俺は、携帯の辞書機能を使って『結婚』をひいてみた。

「『結婚』…夫婦になる事。『夫婦』…結婚している一組の男女。」
「結婚かぁ…」

瑠璃花さんは、結婚についてどう思っているんだろう。
今まで話や瑠璃花さんの性格からして結婚しようと言いだしたのは鬼道コーチだと想像はつくけれど…。

『好きとか、愛するとか、違いは良く分からないんだよね…』
「瑠璃花ちゃんにとって、友達も兄さんも…同じなのかもしれないな。」


————頭に、瑠璃花さんの言葉が蘇った。




「そう言えば瑠璃花さん、遅いですね。」

今まで黙っていた天馬が言うのと同時に、聞き慣れない音が聞こえた。
パトカーのサイレン。

「え…このお店の近くに停まったけど…」
「わっ、私瑠璃花さん探してきますっ!!!!」
「ダメよ葵ちゃん!!」



————嫌な予感がした。


*+*+*
全然甘くならないのは何で!!!?シリアスの入り口が見えるよ!!!!?
次で終わらせたいです、はい。
こんな駄文で本当にごめんなさい!!!!!!