二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 雨音様リク☆木漏れ日の様な。*Final* ( No.328 )
- 日時: 2011/12/22 00:06
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
*木漏れ日の様な。——+Finale+——*
「 I love Mr,Kido. 」
日本語訳は、と問えば『私は鬼道さんが大好きです。』との答。やっぱりそっか。「 I love my friends. 」という文章が成立するんだから、瑠璃花ちゃんにとっては『love』も『愛』にはならないよね。
そんな事を考えながら、向かうのは兄さんと瑠璃花ちゃんの家。彼女がすっかり大人しい今、1人で帰らせる事は出来ないと私が自分から送っていく、と名乗り出たのだった。その彼女は私の隣で大人しく歩いてて、声をかけなければ何も話題が無い状態。話題が無いからって兄さんの事をどう思ってる、なんて質問も空振り。答しか返って来ない。気になってたことでもあるから私にしてみれば収穫ありだけど…。
サッカー関係の話題が一番いいと思ったけど、世界大会の事はカフェでも話したし…。あ、魁渡君の事とか?!
「瑠璃花ちゃん、魁渡君とは連絡とったりしてるの?」
「え、あ…;」
…れ、反応が…。
凄くびっくりしてるのが、凄く伝わって来た。どうしたの、何か失敗しちゃったみたいな顔して…。
「魁渡?と連絡、は…してないです。」
「兄さんにしなかったのは何となく分かるけど、魁渡君にもしなかったんだ。」
「…え。」
さっきとは違う意味で驚いている様子の瑠璃花ちゃん。
きょとん、として開かれている目の瞳は綺麗に輝いている気がして、瑠璃色が目に眩しい。
「私、鬼道さんも魁渡も同じくらい大事ですよ?」
「…え。」
その言葉に、今度は私がびっくりする番だった。
…兄さん、家族(大事な)レベルだって。おめでとう。
*
とても不思議な環境に居る気がする。
浜野と2人で警察署を出て数分経つ。話といえばサッカー関連で帝国の事だとか、ホーリーロードだとか。浜野は俺が思っていた以上にサッカー部の事を真面目に考えていた、と分かって何だか安心していた。
と、話は今日の午前中の練習に移る。
「今日は釣り行く予定だったんスよ、俺。」
「…何か、悪かったな。」
夕日が、雲を綺麗に染めていた。
もう夕方、それもあと少しで日没。もうじき暗くなって、幽霊系統の話が苦手な人には辛い時間だ。←
「でもコーチに奥さんがいてあんなに良い感じだなんて知りませんでした〜」
「…良い感じ?」
「相思相愛って奴で!」
…話が良く分からない。否、ハッキリ言うと頭が理解しようとしていないのかもしれない。
今まで、完全に俺の一方通行な気がしていた。悪く言ってしまえば、瑠璃花が色々知らないのを良いことに勝手に結婚を押しつけたりしていたのだ。その内理解できるだろうと思っていたが、今日の様子を見る限り『理解』はしていないだろう。…距離が短くなっている気はしたが。
「だって瑠璃花さん、指輪取られて必死に取り返そうとしてましたから。『それだけは絶対に取られたくない』って…」
「!!」
え……。
「だから、瑠璃花さんは鬼道コーチが好きなんだな、って思って!!」
瑠璃花…。
良かった、俺の一方通行は無駄では無かったんだな。だけどそう思うと、感情が溢れて現実だと認め辛い。
俺は、その後浜野の家に着くまで一言も話せなかった。
*
ピンポーン、というインターホンの音。
その音に目を覚まして、うっかりテーブルに突っ伏したまま眠ってしまったのだと気付いた。やっぱり飛行機で移動したりすると疲れるんだな、と妙に納得したり。
でも、インターホンって誰なんだろう。鬼道さんだったら鳴らす必要は無いは、ず…。
「……って鬼道さん?」
「ボタンがあると押したくなる。」←
「あっ、でもそれすごい分かりますっ!!!」←
特にこの家のインターホンは周りの柄が可愛かったりして、押さないと損する様な気になって!
…こんな感じで鬼道さんが帰ってきました。事情聴取を警察まで行ってして来たのですから、疲れてるはずです。ご飯は久し振りに私が料理して美味しいかどうか分かりませんが、取りあえずはあります。お風呂は玄関から大して遠くないので直ぐに沸かせます。後…は?
「あっ、お風呂にしますか、ご飯にしますか、それともTVでニュースを見ますか!?」
「…(ニュース?;)じゃあ寝る。」
選択肢にありません。
「それじゃあお風呂沸かしてきます!」
寝る前にお風呂入って下さい☆、という意味で。
と、風呂場に行こうとして玄関に香る花の香りに気付きました。花は置いて無いのに、ふんわりと優しく香る…。どこから?
「瑠璃花。」
「え、…!!!!」
鬼道さんの声に振り向いて、視界に飛び込んで来たのは黄色の花。確かガーベラ…。すごく明るくて元気な感じ。弾けてます。
でも状況がいまいちわからなくて、私は硬直してしまいました。鬼道さんに名前を呼ばれて振り向いて、そしたらとても綺麗なバスケットに入ったお花が…。と、鬼道さんが笑って言いました。
「帰宅記念に。」
「でも、さっきマフラー貰って…」
「あれは今日が良い夫婦の日だからだ。」
「…」
あれ、懐かしい。
鬼道さんは、記念日には何かをくれたりします。それは毎年のように。しかも何だか多いな、と思ったら2カ月に最低1回のペースで記念日を探したり作ったりしてくれていたのでした。
「…変わりませんね、記念日を作りたがるのは。」
皮肉っぽいな、と思いながら。
バスケットを受け取って顔に近付けると、優しい花の香り。玄関に充満する癒しの空気に、思わず顔がほころびました。元気が弾けるガーベラで、世界中の全てが、一瞬にして大好きだと思えてしまいます。きっと今なら、世界中の全てが愛せます。
「…ありがとうございます。」
心の底から感謝と好きの気持ちを伝えたくて。けれど言葉に詰め込んでもまだまだ余っている気がして…。
ふと前を見ると、鬼道さんが靴を脱いで家に上がった所でした。
「…あ、」
「?」
「鬼道さん、少し良いですか?」
そのまま鬼道さんに近付いて、キスをしました。
「ッ!!?///」
「じゃあ、お風呂沸かしてきま…」
「るっ、瑠璃花!!!//」
え?
顔を赤くしている鬼道さ…え、もしかして怒らせてしまいましたか!!???でもキスは愛情表現って…。
「何で急に唇に…///」
「き、どうさんが…す、」
…あれ。
鬼道さんが好きだから。
皆が言う好きって、こういうことなのかな。一緒に居たいとか、幸せになれるとか、こういう感情の事を言うの?
「瑠璃…」
「鬼道さんが、好きだから…」
「!!//」
「愛情表現の一種ですよね!?」
…好きは分かったけど、何で鬼道さんが怒ったのか分かりません!!!愛情表現って、私が思う物と違うの!?
「…分かった、から円堂とかにはするなよ…?」
「?はい?」
こうして、また新しい生活が始まるのでした。