二次創作小説(映像)※倉庫ログ

小説NO.3 悪魔のゲーム〜second〜第3話 ( No.345 )
日時: 2011/12/30 18:20
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

 気付くと、私は『私』の中に居て。
そこは自分の中だって、何故かはっきり分かった。でもこんな事は初めてで、何でこうなっているのか分からない。
その時、誰かが背後に居ると雰囲気から伝わって来た。


『ほら、貴女の命をかけたゲームが始まるよ。』


物騒な言葉は、私のすぐ後ろから聞こえる。




冷たく、狂気と悲しみを滲ませた、槍の様な、鋭い声。


その正体を知ろうとを躊躇する暇も無く、操られる様に背後を振り向いた。途端、反射的に腕で目を覆う。眩しい光の塊は、人型をしていた。誰だろう、私と同い年くらいの少女だとしか分からない。段々と落ち着いてくる輝きに、私は質問を口にする。

「ゲーム、って?」
『賭けだよ。あのね、貴女が見苦しくてじれったいから、手伝おうと思う私の提案なんだ。』

見苦しくてじれったい?それって、私と…

『このままだと貴女は、一歩も進めないから。タイムリミット用意してあげる、それまでに[成功]すれば私は消えるよ。』
「…失敗したら、」
『[永遠]に一緒になれるよ。』

嫌でもね、と笑いながら少女は付け足した。

ハハハッ、という笑い声。

それだけで背筋を走りぬける、凍えるような寒気。怖い、どうして?何でこんなにも…、怖い。そうだ、消えるって言ってた。何で少女が私の中に居るの?永遠って何?その笑い声はどこから来るの?成功って、どうすれば成功なの?たくさんの疑問がぐるぐると頭の中に生れていく。

『じゃあね、健闘を祈ってる。




























                          貴女と私の為に。』








「………きっ、秋っ!!」


 白い天井がぼんやりと見える。そして、聞き覚えのある声。ああ、円堂君だ。どうしてそんな表情をしているの?たくさん心配した、って表情が訴えてる。その顔からゆっくり落ちて来る水滴。彼の涙だと、一瞬で分かった。
何してたんだっけ、私。
清潔な、少し鼻をつくような匂い。消毒液?そっか、病院だ。白いカーテンと白いシーツ、病室に居るんだ。


『ほら、貴女の命をかけたゲームが始まるよ。』


「っ!!」
「秋ちゃん、大丈夫だったか?調子は…」

丹さんが円堂君の後ろから姿を見せた。私と視線があって、良かったと安堵している。
あれは、夢、かぁ…。
でも覚えてる、あの冷たい声。僅かに狂気を含んだ笑い声。槍の様に私を突き刺した少女の全て。体に染みついて、何度でも蘇るのだろう。まるで、夢で終わらせないとでも言う様に。そして思い出した、記憶が途切れる直前のこと。円堂君とお墓参りに行って、丹さんが丁度来て、同級生の方のお墓の前…。何かが問答無用で私に入ってきた気がして、抵抗した途端に気が遠くなった。もしかして、その時に入って来たのがあの少女?

「木野さん、目を覚ましたのね。」

看護士さんが円堂君達に部屋から出るように言うと、またな、と手を振って2人は出ていった。———また、少女の言葉が蘇る。


『あのね、貴女が見苦しくてじれったいから、手伝おうと思う私の提案なんだ。』


見苦しくてじれったい…、それは私と円堂君のこと。片思いの私。
血圧とかを測定した看護師さんが、何か道具を忘れたのか部屋からパタパタと出ていった。部屋に私だけ、今の内に何をしたらいいのか考えておこう、そう思った瞬間。背筋を走る寒気。————夢の中と同じ、寒気。



誰か、いる。



私の、すぐ近く。




『————タイムリミットは、今日も含めて3日間。それまでよろしく、木野さん。』





夢の中の少女の声が頭の中で響き、やがて静かに消えていった。



* to be continued... *